2020年8月5日更新

第19回 サウジアラビア・首都リヤド マスマク城塞の「アブドゥル・アジズの槍の跡」

 

サウジアラビア・首都リヤド

高層ビルが立ち並ぶサウジアラビアの首都リヤド
サウジアラビアはイスラム教の聖地メッカとメディナを有し、現在でもイスラム教の総本山として毎年たくさんの巡礼者が訪れています。

そのサウジアラビアの首都がリヤドです。現在のリヤドは高層ビルが建ち並び、超近代的な近未来都市の様相を呈していますが、その中にあって最も有名な歴史的建造物が「マスマク城塞」です。
国王アブドゥル・アジズ

サウジアラビアはその名前の通り、サウド家のアラビアの国ですが、古くからサウド家がこの地域を支配していたものの、17世紀にはその支配権を奪われ、1902年になってサウド家のイブン・サウド・アブドゥルアジズが40人の部下と共にリヤドのマスマク城塞に居を構えていたラシッド家のアジュラーン総督を打ち破り、サウド家の復活を宣言しました。

この戦いの勝利によってイブン・サウドは王となり、現在のサウジアラビア王国が建国されました。



 

マスマク城塞

マスマク城塞
このマスマク城塞を巡る戦いの様子は、現在博物館となっているマスマク城塞の中で短編映画としてご覧いただくことができます。その映画の中で、40名の部下を引き連れてリヤドの町に向かう行軍の様子、マスマク城塞を取り囲み、一斉に城塞になだれ込み、敵と戦う様子などが描かれていますが、この城塞を最初に攻撃する際、アブドゥル・アジズは城塞の入口の扉に向けて槍を投げ、それが木製の扉に命中して突き刺さったのを合図に、全員が攻撃を開始しました。この槍は現在でも扉に槍先の金属部分を残したまま今に至っています。この博物館に入る際には、歴史の生き証人としての槍先もご覧ください。
マスマク城塞入り口
木製の扉に命中して突き刺さった槍先の跡
この建物は1995年にリニューアルされて博物館として一般公開されました。内部には当時の戦いで使用された銃や戦いの様子を描いた絵が展示されているほか、籠城に耐えうるように深さ17メートルの井戸も掘られています。また、初代の国王アブドゥル・アジズから現国王まで歴代国王の肖像もあります。内部は修復された上で保存され、当時の城の造りもよくわかります。また、デザインの煌びやかさにも驚かされます。マスマク城砦はリヤドの町では見逃せない歴史遺産です。


次回は第20回 フランス・オータンロラン博物館の「イブの誘惑」をご紹介します。お楽しみに!
次回更新予定:8月12日(水)

東京支店:中屋雅之


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