2020年7月8日更新

第15回 オーストリア・ウィーン 美術史美術館殿×ブリューゲル「バベルの塔」

 

聖書物語「バベルの塔」

皆様は「バベルの塔」の物語をご存じでしょうか。それは旧約聖書の「創世記」11章にある記述で、ノアの方舟の物語の後の話です。
少し引用すると...

「人々は言った『さあ、我々は町を建て、頂が天に届く塔を建て、名を上げよう。我々が全地に散らされるといけないから。』そのとき主は、人間の建てた町と塔をご覧になるため降りて来られた。主は仰せになった。『彼らが皆一つの民、一つの言葉でこのようなことをし始めたなら、今や彼らがしようと思うことで留められることはない。』主はそこで、人々の言葉を乱し、そこから人を全地に散らされたので、彼らは町を建てるのをやめた。その為にこの町はバベルと名付けられた。」
「創世記」11章4-9節。

これは旧約聖書の物語の中でも特に有名な話ですが、実際に紀元前6世紀ごろ、現在のイラクの首都バグダッドの南80キロメートルに位置するバビロンの町にはマルドゥク神殿に築かれた「エ・エメン・アン・キのジグラット」(聖なる塔)の遺跡があり、この塔がバベルの塔のモデルになっていると言われています。

 

バベルの塔のモデル 螺旋型のミナレット

エジプト・カイロ
イブン・トゥールーンモスク
イラク サラマのミナレット

この物語を題材に、多くの画家が絵画を描きました。画家によって塔の形は様々ですが、螺旋形の塔を描く画家が多いようです。これは現在イラクのサマラに残るモスクのミナレットをモデルにしているようです。螺旋型ミナレットは最も古い形式のミナレットであり、簡単に見られるのはエジプトのカイロにあるイブン・トゥールーン・モスクです。

「大バベル」と「小バベル」

ブリューゲル作 バベルの塔

ブリューゲルは実際には「バベルの塔」を3つ描いたと言われていますが、一つは失われ、現存するのは2枚のみ。それぞれキャンパスのサイズから「大バベル」、「小バベル」と呼ばれています。
そのうち「大バベル」はウィーンの美術史美術館に、「小バベル」はバイマンス・ファン・ブーニンゲン美術館に収蔵されていますが、一般的にブリューゲルの「バベルの塔」と言えば「大バベル」とされています。  

この「大バベル」は非常に細かく細部にわたって描写されており、絵の中に1400人もの人物が描かれています。一人の人物は1ミリ~3ミリ程度の大きさであり、極細の筆先で描かれました。
人間の大きさから推測するとここに描かれたバベルの塔の高さは約510メートル。
現代の建築物と比較すると「台北101」と同程度です。



次回はスペイン・バルセロナ サクラダファミリアをご紹介します。お楽しみに!
次回更新予定:7月15日(水)

東京支店:中屋雅之


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