2020年6月24日更新

第13回 ロンドン・大英博物館×キュロス2世の円筒碑文

ロンドン・大英博物館
「キュロス2世の円筒碑文」

大英博物館は世界三大博物館の一つにも数えられる大博物館であり、古今東西の美術品や遺跡の一部をはじめ、標本、硬貨、工芸品など約800万点が収蔵されています。あまりの数の多さから、常設展だけでも一日で見ることはほぼ不可能といわれています。展示品の中にはナポレオンの発見したロゼッタ・ストーンをはじめ、エジプトのミイラやラムセス二世の胸像、ギリシャのパルテノン神殿の破風の一部、インドのカニシカ王の舎利容器、日本の和鏡、アフリカのベナン王国の象牙のマスク、イースター島のモアイ像など世界各地の貴重な遺宝が目白押しです。
中屋所有 キュロス2世の円筒碑文のレプリカ

その中で今日ご紹介したいのは、アケメネス朝ペルシャの初代の王キュロス二世の円筒碑文(キュロス・シリンダー)です。
キュロス2世(在位紀元前550年~紀元前529年)は古代エジプトを除くすべての古代オリエント諸国を統一して空前の大帝国、アケメネス朝ペルシャ帝国を建設しました。現在のイラン人はキュロス2世をイランの建国者と称えています。

ペルシャ帝国建国の少し前の紀元前586年、新バビロニア王国のネブカドネザル2世王はユダヤ人のユダ王国を征服、ユダの住民を新バビロニア王国の都バビロンに強制連行しました。これが世界史で言う有名な「バビロン捕囚」です。その約50年後、キュロス2世は新バビロニア王国を滅ぼし、紀元前538年、囚われのユダヤ人を開放しました。これは歴史の教科書に必ず書かれていることですが、ユダヤ人の物語の原点はほとんどが「旧約聖書」です。しかしながら、旧約聖書は正式な歴史文書とは言えず、その信憑性にも疑問があります。
キュロス2世は自分の功績を円筒形の石に刻みました。これを読むことによって旧約聖書の物語の裏付けができたという意味で大変重要な意味を持っているのです。その内容は、「バビロニアの神マルドゥク神は罪なるバビロニア王に代わってキュロスに世界の王としての地位を与えた。キュロスはマルドゥク神の命令により諸国を征服、バビロンに無血入城した。キュロスは信仰を奪われた各国に対してその神々の像を返し、かつてのバビロニア王がバビロンに連れ去った各国の住民をもとの国に返した。」というものです。

この円筒碑文は現在のイランで発見されましたが、英国人によってイギリスに運ばれ、現在は大英博物館に納められています。
次回はロシア・サンクトペテルブルク郊外 エカテリーナ宮殿をご紹介します。お楽しみに!
次回更新予定:7月1日(水)

東京支店:中屋雅之


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