2020年5月20日更新

第8回 長野県井戸尻考古館×水煙土器

「料額印面」の絵柄
水煙渦巻深鉢
「水煙土器」

山梨県・長野県の諏訪湖周辺で多く出土する土器が「水煙土器」です。縄文土器の中で最も知名度が高いのは「火焔土器」でしょう。しかし、この水煙土器もそれに負けない美しさと迫力があります。火焔土器は燃え上がる炎を連想させますが、水煙土器はその渦巻や螺旋状の模様が水煙を連想させることからこう呼ばれています。水煙土器は縄文時代中期(紀元前3500年~紀元前2500年頃)山梨・長野の八ヶ岳を中心にその南北で花開いた「装飾土器」です。
長野県の井戸尻考古館には水煙土器を代表する美しい土器が展示されています。この土器は曽利4号住居址から出土した土器7点のうちの1点であり、「水煙渦巻深鉢」と呼ばれています。昭和38年には、この土器がパリで開催された「日本古美術展」に出品され、芸術性豊かなこの土器を通じて、世界の人々に日本の縄文文化の素晴らしさを伝えたそうです。

また、この土器は昭和47年から4年間、官製はがきの料金が8円から10円に改定された際、郵便料金を示す「料額印面」の絵柄に採用され、馴染みの深いものになりました。この官製はがきは「土器はがき」と呼ばれ、マニアの間では大変貴重なものです。

井戸尻考古館にはほかにも「神人交会文深鉢」や「蛇文装飾深鉢」などの装飾豊かな土器も展示されているほか、坂上遺跡から出土した珍しい土偶、「始祖女神像」もあります。これは八ヶ岳西麓の棚畑遺跡から出土した「縄文のビーナス」や同じく中ッ原遺跡から出土した「仮面の女神」(いずれも国宝 茅野市尖石縄文考古館蔵)の丁度中間にあたる縄文時代中期のもので興味は尽きません。
始祖女神像

 

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次回は岩手県・岩手県立博物館をご紹介します。お楽しみに!
次回更新予定:5月27日(水)

東京支店:中屋雅之


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