2020年5月6日更新

第6回 ドイツ・ドレスデン アルテ・マイスター絵画館×システィーナのマドンナ

「システィーナのマドンナ」
「ラファエロのシスティーナのマドンナ」
ラファエロは16世紀のイタリアの天才画家であり、レオナルド・ダ・ビンチ、ミケランジェロとともにルネッサンスの三大巨匠と呼ばれています。彼は大規模な工房を経営し、37歳という若さで死去したとは考えられないほどの多数の作品を制作しました。代表的な作品はヴァチカン宮殿にある「ラファエロの間」の「アテネの学堂」を中心とするフレスコ壁画、「ひわの聖母」、「牧場の聖母」などの聖母子像が有名です。彼は多くの聖母子像を描いていますが、そこに描かれた聖母マリアは若くて美しく、彼に影響を与えたレオナルド・ダ・ビンチのモナ・リザに似ているとも言われています。

今回ご紹介したいのは、ドイツ・ドレスデンのアルテ・マイスター絵画館にある「システィーナのマドンナ」です。これはラファエロの晩年1513年から1514年頃に描かれたもので、やはり彼の得意とする聖母子像の一つです。もともとはローマ教皇ユリウスの依頼を受け、教皇の故郷イタリアのピアチャンツァの聖シスト教会の主祭壇を飾る祭壇画の一翼として描かれたものです。画面中央上部に幼子イエスを抱く聖母マリアが描かれ、画面の左右に聖シクストゥスと聖バルバラが描かれています。そして下部には幼い2人の天使が配置され、全体として十字型の構成を取っているのが特徴です。

「システィーナのマドンナ」の絵画そのものはラファエロの代表作の一つとも言われる重要なものですが。聖母子像の下でやや退屈そうな表情を浮かべ、上部を見上げる天使2人はこの絵画の評価とは無関係に大変有名なイメージとなっています。この天使たちのポーズは諸説ありますが、ラファエロが「システィーナのマドンナ」を描いていた時に、マリアのモデルとなっていた女性の子供たちが見学に来ていて、子供たちが見学する様子に惹かれたラファエロはその姿勢を忠実に再現した。とも言われています。

今では全体の絵画より、この天使像が有名になり、美術館のショップには2人の天使像の絵ハガキやTシャツなどがたくさん売られています。また、日本でもかつてはグリコのコマーシャルに登場、最近ではイタリアン・レストラン「サイゼリア」にこの天使像が描かれ、今の学生たちはこの絵を見ると「サイゼリアの天使」と呼んでいるそうです。

この絵画が納められているアルテ・マイスター絵画館には、ほかにもジョルジョーネの「眠れるヴィーナス」、レンブラントの「ガニュメデスの誘拐」など世界的に有名な作品が数多くあります。

次回は倉敷・大原美術館をご紹介します。お楽しみに!
次回更新予定:5月13日(水)

東京支店:中屋雅之
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