2020年6月29日更新

北国で育まれたキリスト教 カトリック弘前教会

©弘前観光コンベンション協会
1867年(慶応3年)の大政奉還に続き、翌年には明治と改元され、明治維新が始まると、新政府は欧化政策や開港を推し進め、東北や北海道にまで欧州文化が入り始めます。以降、函館や弘前でもキリスト教の布教活動が盛んとなり、多くの教会が建てられました。その中で今回は「カトリック弘前教会」をご紹介いたします。

カトリック弘前教会の建設
1872年(明治5年)、カトリックの宣教師アリベ神父が弘前で福音伝道の第一歩を記し、1882年(明治15年)に現在の土地を所有することとなり、1910年、「カトリック弘前教会」が建設されました。建設を請け負ったのは明治時代の青森県において洋風建築を多く手がけた大工棟梁、堀江佐吉の弟でクリスチャンであった横山常吉でした。

ネオ・ロマネスク様式とネオ・ゴシック様式の融合
外観は装飾は少なく、中央に尖塔を配置した白い木造モルタル造りで清楚な印象です。正面扉上部と2階部分の窓を半円アーチとしていて、柔らかさとやさしさを感じさせるネオ・ロマネスク様式です。内部は、柱から延びる木製のリブが天井を這うアーチが特徴的なネオ・ゴシック様式となっています。右側の壁には縦に5枚一組、左側には縦に3枚一組の色鮮やかなステンドグラスはめ込まれていますが、そこには旧約・新約聖書の物語に加え、弘前を意識したりんごや三味線、スキー、野球のバット・ミット・ボール。そして、五重塔や弘前城、教会の奥に大きくそびえる岩木山までも描かれています。
弘前市内 畳の教会 弘前カトリック教会

最優秀賞を受けた祭壇彫刻は必見
この教会で見逃せないのが、正面の主祭壇に位置する、楢の木を彫った高さ8メートルの祭壇彫刻です。建築家イ・ア・オールの手によって1866年に完成され、ベルギーの展覧会で、ゴシック様式の彫刻として最優秀賞を受けたもので、もともとアムステルダムの聖トマス教会に設置されていました。1939年に譲り受け、この教会に設置されました。

祭壇彫刻の中央には磔にされたイエス・キリスト、左右には天使を配し、下には青銅で作られたキリストと聖ペトロの聖櫃が置かれ四人の福音史家マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネ(それぞれのシンボルは天使、ライオン、牛、鷲)の4聖人が支えます。4聖人の左右には美しい透明感のあるピンクの羽を持つ天使が跪いています。最上段には教会の守護聖人トマス、そして祭壇の右には聖母マリアとヨゼフ像が配され、祭壇の入口の仕切りには天使とブドウが浮き彫りにされています。

また、祈り机の下は畳張りとなっているところがいかにも日本的でユニークです。

文/中屋雅之