2015年6月12日更新

南極大陸(前編)

地球の果てにある氷に覆われた大地、南極大陸

短い夏にこの地を訪れると、そこには人類の手を拒み続けてきた悠久の氷の世界が広がります。神秘的ですらある凛とした青白い氷山は、巨大なテーブル型など様々に変形してダイナミックな景観を作り出し、人を恐れないペンギンやアザラシはその愛嬌ある仕草を見せてくれるでしょう。この極地でさえも領土権を主張し合う人類が、とてつもなく小さな存在に見えるほどの大自然の驚異を、ぜひ体感してください。今回は、かつて超人的な探検家たちのロマンをかき立てた究極の秘境、南極をご紹介します。
 

地球上の氷の9割が南極に集中

南極が地球の南の極に位置する大陸であるということは知っていても、大陸の実際の大きさは案外想像できないのではないでしょうか。日本から直線距離で約1万1000キロ離れた南極大陸の面積は日本の国土の約37倍、約1400万平方キロ(注1)です。アフリカ大陸のほぼ半分の大きさに匹敵します。

南極大陸は、ゾウの鼻のように南米大陸に向かって突き出た南極半島を除くと、ほぼ丸い形をしています。南極横断山脈を境に、南極半島がある西半球側を西南極、東半球側を東南極と呼び、南極半島からロス海に浮かぶロス島にかけて10以上の火山が分布しています。

諸説あるものの、環境省地球観光局によると、南極大陸は3000万年前頃には、降り積もった雪が圧縮されてできた氷の塊(氷 床)で覆われるようになったと推測されるそうです。現在、氷床の厚さは平均約2450メートルにもなり、最も厚い氷床は4000メートル超。富士山(標高 3776メートル)以上の厚さの氷で覆われている地域があることになります。
 

注1)面積には棚氷も含みます。
※南極大陸にかかわる数字は『地球環境を映す鏡 南極の科学』の表記としました。また、生物の個体数などについては国立極地研究所公式サイトも併せて参考にしています。


巨大なテーブル型氷山

氷床はしばしば「鏡餅」にたとえられます。内陸部にある氷床はその重みによって斜面の下へ、つまり沿岸部へと流れます。このため氷原にある南極点は一年に10メートルほど西経43度の方向へ動くので、毎年測量し直し、本当の南極点を示すリアルポールが立てられるそう。記念撮影用というわけではないのでしょうが、アメリカのアムンゼン・スコット南極点基地の側には、南極点を示す標識とともに紅白のポールの上に銀の玉を載せたセレモニーポールがあります。玉の周りには南極条約の原署名国12カ国(日本含む)の旗が建てられ、2008年にリアルとセレモニーの両ポールがほぼ同じ場所に来たそうです。

さて、沿岸部へと流された氷床は、さらに海上へと押し出されて海に浮かびます。南極半島のあるヴェッテル海、あるいはロス海といった、海流がほとんどない湾に浮かんだ氷床部分を棚氷と呼びます。この棚氷の先端部が風や海流の影響で割れ、海へと流れ出たものが、頂上部が平坦な「テーブル型氷山」です。海面上に見える氷山の高さは30~50メートルほどで、なかには長さ200キロ、幅100キロにもなる巨大なテーブル型氷山もあるといいます。氷河から切り離された大小様々な形の氷山は20万個以上に上ります。

主な参考文献
南極ってどんなところ?(著者/国立極地研究所 柴田鉄治 中山由美 朝日新聞社 2005年)
地球環境を映す鏡 南極の科学(著者/神沼克伊 講談社 2009年)
 
南極関連の公式サイト
国立極地研究所公式サイト
環境省地球環境局公式サイト「南極地域の環境保護」