2020年7月15日更新

第16回 スペイン・バルセロナ サグラダ・ファミリアの「ハープを奏でる天使」

 

サグラダ・ファミリア(聖家族教会)

サクラダ・ファミリア(聖家族教会)は世界で最も有名な教会の一つでしょう。1882年に着工。すでに140年近く建設が続いているのにも拘わらず、いまだに完成していないことでも有名です。

また、スペインではマドリードのプラド美術館やアルハンブラ宮殿を抜いて最も観光客を集めるモニュメントでもあり、毎年300万人近くの人々がここを訪れています。

まだ未完成でありながらこれだけの観光客を集めているわけですから、完成したら一体どうなるのでしょう。9代目の設計責任者であるジョルディ・ファウリ氏はガウディの没後100年にあたる2026年に完成予定と発表しています。

スペインが誇る天才建築家アントニオ・ガウディ

サグラダ・ファミリア
この教会の建設に従事したのがスペインの誇る天才建築家アントニオ・ガウディです。彼はもともとスペイン独自のムデハル建築に傾倒しましたが、後にモデルニスモ建築に目覚めました。スペインのモデルニスモは一種のアールヌーヴォーであり、建築の中に自然界に存在するような曲線を多用した建築です。

本来、アールヌーヴォーは鉄という曲げやすい素材を利用するのですが、アントニオ・ガウディはこれを石で表現しようとしたのです。その特徴がサグラダ・ファミリアの至る所で見ることができます。

そして、この教会の建築には日本人の彫刻家も参加しています。それが外尾悦郎氏。1978年から従事しています。

ご誕生の門と「ハープを奏でる天使」

サグラダ・ファミリア「ご誕生の門」

サグラダ・ファミリアの中で唯一、ガウディが生きていた時代に完成したのが4つの門の一つ「ご誕生の門」です。そのファサード中央にはイエス・キリストの誕生の場面が描かれ、その周りでは楽器を奏でる天使や祝福する羊飼いなど、多くの人々が喜びの表情で見守っています。

そのうちの15体の天使像は外尾悦郎氏の作品です。現在ではとても賑やかな「ご誕生の門」ですが、外尾氏が仕事を始めた1978年当時は生まれたばかりのイエス・キリストと聖母マリア、そしてヨセフの3人だけでした。

やっと、彫刻一体分の資金ができた時、外尾氏に声がかかりました。彼が最初に完成させた彫刻が「ハープを奏でる天使」でした。これがご誕生の門の右上に設置されると地元の人々から「あんなに素晴らしい彫刻が彫れる彫刻家にほかの彫刻も彫ってほしい」と寄付が相次いだそうです。その資金によってほかの天使像も外尾氏が彫ることになりました。

サグラダ・ファミリアを訪問した際にはぜひ、ご誕生の門の外尾氏の作品にもご注目ください。

 
「ハープを奏でる天使」


次回はカンボジア・アンコールワットをご紹介します。お楽しみに!
次回更新予定:7月22日(水)

東京支店:中屋雅之


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