2020年5月8日更新

第6回 ヘルシンキ(フィンランド)とアルヴァ・アアルト

アルヴァ・アアルト

アルヴァ・アアルト(以下アアルト)は1898年に生まれ、1916年ヘルシンキ工科大学に入学。その翌年1917年フィンランドはロシアより独立。

ル・コルビジェとほぼ同世代、ガウディは既に晩年でサグラダファミリアを手掛けていた頃です。世界がガラスやコンクリートを使う中、アアルトは「フィンランドらしさ」にこだわりました。シンプルかつモダン、機能主義的な形をフィンランドの木を使って表現できないだろうかと。

フィンランドらしさの追求と実現にこだわったアアルト作品は、独立を勝ち得た人々の共感を得て続々と世にでていきました。そして彼が遺した作品は何年経とうとも常にモダンさを感じる。時代の前、後ろにとらわれない。
徹底的に機能的、使いやすい。
アカデミア書店
ヘルシンキを訪れた方も多いと思いますが、次回行く機会があれば、アアルトの作品越にフィンランドの生活習慣や自然への優しさを感じてみてください。最も行きやすい場所であれば、目抜き通りのエスプラナーデ通りにある老舗デパート「ストックマン」の隣にある「アカデミア書店」がアアルトの作品です。吹き抜けの開放的な空間、天窓は本を開いたようなかたちで、そこからは北欧の国にとって大切な光が柔らかく降り注ぎます。でもアアルトの作品です、なんていう押しつけがましい主張は全くなく、人々の生活に溶け込み、豊かにしてくれているんですね。
また、フィンランティアホールも見逃せません。海や湖の穏やかな波のような窓が印象的で、木の温もりが至るところで感じられます。でも私がヘルシンキで個人的に最も好きでおすすめしたいのが、アアルト自邸です。

ヘルシンキ中心部に彼が40年過ごした家が残っています。初期の建築ですが、この家は彼のその後の活躍を示唆するようなコンセプトで溢れています。自然との調和を大切にしていますので外観が際立って目立つことはありません。でも中に入って部屋をまわっていくと、窓枠、本棚、イス、照明、そのひとつひとつがアアルトの作品であり、さり気なさの中に新鮮さがあり、心をつかまれていきます。ここもガイドツアーのみで予約制ですが、もし一つアアルトを見たいのであれば、この自邸を訪ねてみてください。

では、アアルトの言葉で締めましょう。
「建築、その真の姿は、その中に身を置いたときに初めて理解されるのである」。
 

フィンランディアホール
アアルトハウス
◆◆個人的な趣味になりますが、、、
私のお気に入りのグラスにフィンランドのイッタラ社の「アイノ・アアルト」といいグラスがあります。毎日のように使っています。何てことはないグラスですが、飽きがこない、丈夫(本当に割れずに長持ちします!)、手にしっかりフィットするんですね。今回テーマのアルヴァ・アアルトの妻が80年以上前にデザインしたものです。主張しすぎない、機能的、温かみがある、そして今でも新しさを感じる、グラスひとつからフィンランドという国が垣間見えてきます。

次回はカウナス(リトアニア)と杉原千畝を予定しております。
お楽しみに!

次回更新予定:5月15日(金)

藤沢営業所所長:近 博之
 
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