歴史ある風景
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歴史ある風景
2021年06月01日
地形・地質を制する者、世を制す。幕末、薩摩藩の底力
本社 プランニング事業本部:乗田憲一
大河ドラマ『青天を衝け』に出てきた西郷隆盛を見て、何となく上野の「西郷さん」を見たくなり、行ってみました。そう、やっぱりこれだなと思いながら懐かしくなり、久しぶりに幕末の関連本を読み漁っていました。
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何処となく愛嬌のある西郷さんも人気ですが、彼を世に送り出した島津斉彬公もまた時代が生んだ名プロデューサーです。
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島津家は鹿児島の地を700年近く治めた名家。ヨーロッパのハプスブルク家でも600年です。江戸から見れば僻地ですが琉球を通じ、中国と繋がって儲けていました。噴煙を上げる桜島のイメージは強いと思いますが、鹿児島は火山の地。多くのカルデラを持ち、溶結凝灰岩の種類は20種類を数えると言います。
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素人目には分かりませんが、その特徴に合わせて様々な用途があるようなのです。火山帯というのは決して恵まれた地ではありません。島津斉彬は限られた条件下で、最善を引き出し、最高の結果を生もうとしたのです。
有名観光地で知られる仙厳園。桜島を築山とし、鹿児島湾を池に見立てた借景技法は実に見事で、国の名勝に指定されています。ここを産業革命の現場にしようとしたのが島津斉彬でした。
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鹿児島にふんだんにある「石」を使って事業は進められました。反射炉には加工しやすい「たんたど石」、機械工場には断熱性に優れた「小野石」、石碑には膨張・収縮しにくい「山川石」など、石の特徴をよく使い分けていました。
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反射炉の動力源の水も、かつての用水路を再利用して引いたもの。産業革命の表面部分ばかりが良く紹介されますが実は限られた条件下で、与えられた地形と地質を有効活用し、最先端技術を駆使しようした発想・工夫こそが素晴らしい、と私は思っています。
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