視察レポート

視察レポート

2021年06月29日

みちのく潮風トレイルを歩く

本社プランニング事業本部 冨川 優

 

 6月25日(金)~27日(日)にかけて、全線開通から丸2年を迎えた、「みちのく潮風トレイル」を歩いてきました。天気予報では雨が心配されましたが、幸いにも天気に恵まれ、みちのくの爽やかな風を感じながら気持ちのよいハイキングを楽しむことができました。

注目を集め出した「ロングトレイル」。歩いて、そのコンセプトに共感。

 みちのく潮風トレイルは、東日本大震災からの復興プロジェクトにも位置づけられ、青森県八戸市から福島県相馬市までをつなぐ約1,025キロの一本の歩く道「ロングトレイル」として整備され、2019年6月に全線開通しました。日本各地には、みちのく潮風トレイル以外にも様々なロングトレイルがあり、日本ロングトレイル協会に加盟しているものだけで、その数は20コースにおよびます(2021年6月現在)。

 「ロングトレイル」の旅は、登頂を目的とする登山とは異なり、登山道やハイキング道、自然散策路、里山のあぜ道、ときには車道などを歩きながら、その地域の自然や歴史、文化に触れることを目的としています。この目的に惹かれ、自然好きな私は歩いてみたくなり、今回の視察へとつながりました。実際に歩いてみると、このロングトレイルのコンセプトに心から共感。ぜひ皆様にもトレイル歩きをご体験いただき、ロングトレイル歩きの魅力を感じていただければと思います。

 今回、約1,025キロにおよぶコースのうち、「海のアルプスをゆく」のツアーでご案内する、①唐桑半島(宮城県気仙沼市)、②真崎海岸~沢尻海岸(岩手県宮古市田老近郊)、③潮吹穴展望台~浄土ヶ浜(岩手県宮古市)の3ヶ所を歩いてきましたので、写真とともにご紹介いたします。

①海の千畳敷と奇岩群が美しい、唐桑(からくわ)半島

 1か所目のトレイル歩きの舞台は、「唐桑半島」。気仙沼市唐桑町は宮城県の最北東端に位置し、北西から南東に細長く三方を海に臨む地形は長さ約20キロ、周囲約50キロあります。海岸線はリアス式海岸となっており、素晴らしい景観が広がります。「森は海の恋人運動」の発祥地としても知られ、牡蠣のほか、ホタテやワカメなど、良質な海産物が生産されています。NHK連続テレビ小説「おかえりモネ」の舞台としても話題になっています。

 私は、半島の先端にある「唐桑半島ビジターセンター」を訪ねました。そこで出迎えてくれたのはスタッフの熊谷さん。親切な彼女の案内の下、約1時間、「御崎(おさき)遊歩道」の散策を楽しみました。このコースのハイライトは、八隻曳(はっそうびき)。幅30メートル、長さ50メートルの千畳敷とも呼ばれる平らな岩場で、およそ2億5000万年前の海底の堆積岩でできており、岩肌をよく観察すると、年輪のように節理を描いているのがわかります。

 今回訪問した際には、ニッコウキスゲの花があちこちに咲いていましたが、ツアーでご案内する8月から9月にかけては、八隻曳の岩場の陰からオレンジ色の「スカシユリ」の花が顔をのぞかせ、見頃を迎えるとのこと。岩場に打ち付ける荒々しい波とオレンジの可憐な花の組み合わせは、きっと絵になる風景だろうな、と期待が持てました。

■ハイキング情報
歩行時間:約1時間 高低差:ほとんどなし

御崎遊歩道を散策します
美しい海岸線を眺めながらの散策
唐桑半島の先端・八隻曳
スカシユリの咲く季節にツアーは訪ねます
ご案内いただいた唐桑観光協会の熊谷さん

②松林からのぞく美しい沢尻海岸の絶景を求めて

 2か所目のトレイル歩きの舞台は、岩手県宮古市田老地区です。地区の中心部から東へ向かい、細い山道を抜けるとそこに広がるのは全長2キロにもおよぶ「真崎海岸」です。リアス式海岸の美しい景観に囲まれ、穏やかな砂浜が広がり、夏になると海水浴を楽しむ人々でにぎわう場所です。海岸のすぐ横には小港漁港があり、網を修理している漁師さんたちに出会いました。

トレイル歩きは、真崎海岸から対岸の沢尻海岸までの約2キロを楽しみます。真崎海岸を出発するとすぐに森の中へ。うっそうと茂る木々の間に道が設けられ、山道をのぼること約15分。視界が開けたかと思うと、眼下には美しい海岸線。はるか遠くまで絶景をのぞむことができます。そして耳を澄ますと聞こえる「波の音」。素晴らしい景観と自然のBGMは、歩くからこそ味わえる特権です。

波の音を聴きながら、松林の中を進みます

■ハイキング情報
歩行時間:約1時間 高低差:約90メートル(スタート地点から登り始め、しばらく尾根を歩き、最後は下りです) 

高台からのぞむ美しい海岸線
ゴール地点・沢尻海岸

③奇岩・森・集落・渓流、トレイルの魅力が満載

 3か所目のトレイル歩きは、岩手県宮古市の潮吹穴展望台から景勝地・浄土ヶ浜までを歩く約5.5キロ。みちのく潮風トレイルのハイライトコースと言っても過言ではない、魅力たっぷりのルートです。

 約5.5キロのルートの中でたくさんの「出会い」を楽しみました。海岸の奇岩群が作り出す絶景、小さな入り江の漁港で働く漁師や釣りを楽しむ人々、集落で暮らす人々、森の中を流れる涼やかな渓流、そしてゴールで待っている景勝地・浄土ヶ浜の景観、こういった様々な「出会い」が詰まったルートです。

■ハイキング情報
歩行時間:約3時間 高低差:約100メートル(上り・下りを繰り返しながら進みます) 

潮吹穴展望台~浄土ヶ浜を歩きます
ルート上には小さな漁港も
ゴールの浄土ヶ浜を目指して歩きます
集落の間を通ります
コース上の目印を頼りに歩きます
森から流れる渓流沿いを歩きます

休暇村 陸中宮古に宿泊してきました

 「海のアルプスをゆく」のツアーで2連泊する「休暇村 陸中宮古」に宿泊をしてきました。3か所目のトレイル歩きのスタート地点、潮吹穴展望台から近く、休暇村の敷地内も「みちのく潮風トレイル」のルートの一部になっています。休暇村のスタッフとともに朝の散策へ出掛け、2つの展望台からリアス式海岸の絶景を楽しむことができました。

休暇村のスタッフとともに朝の散策へ
浄土ヶ浜展望台からの眺め

 もちろんお食事も楽しみのひとつ。宮古の新しいご当地グルメ「瓶ドン」は、朝ごはんの人気ナンバーワン。牛乳瓶の中にウニ、イクラ、宮古で水揚げされる魚介をふんだんに詰め込んで、どんぶりの温かいごはんの上に、自分で盛り付けて味わうという、​まさに見て・盛って・食べる体験型の海鮮丼です。ぜひ滞在中にお楽しみいただければと思います。「瓶ドン」以外に私のおすすめがもうひとつ。その名も「岩泉ヨーグルト」。宮古市の北、景勝地・龍泉洞がある岩泉町は、豊かな森と清らかな水に恵まれた地域です。新鮮で濃厚なヨーグルトで、ブルーベリーソースをかけて美味しくいただきました。

宮古のご当地グルメ「瓶ドン」
岩泉ヨーグルトもおすすめ

 もうひとつ、ぜひ皆様をご案内したいのが「浄土ヶ浜ナイトツアー」です。実費でのご案内となりますが、ネイチャーガイドの案内の下、夜の浄土ヶ浜を訪ねます。天気が良ければ満天の星空、日によっては月に照らされた浄土ヶ浜の絶景と、夜ならではの光景を楽しむことができおすすめです。私は満天の星空に出会えました。手元のライトを消して徐々に目が暗闇に慣れると、空には無数の星たちが。うっすらと天の川を見ることもできました。

天気が良ければ満天の星空を楽しめます(イメージ)

 ツアーでご案内するのは8月下旬から9月中旬にかけて。現地のガイドさんによると、お盆を過ぎると東北には秋が訪れ始めるとのこと。初秋の爽やかな空気の下、歩くからこそ出会える絶景を求めて旅に出ませんか。

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