視察レポート
視察レポート
2021年06月25日
ザ・リッツカールトン日光
松崎 浩
緑が眩しく生い茂る6月、昨年オープンしたばかりの「ザ・リッツカールトン・日光」へ。これまで、海外でも日本国内でも、大阪、東京、京都などその国を代表する都市に展開するイメージが強かったのですが、国内5つ目となるホテルを都市部ではなく、なぜ日光なのかその理由にも興味がありました。
各国要人の避暑地としての、奥日光の魅力
日光というと東照宮や山輪王寺が有名ですが、実際ホテルが建てられたのは、霊峰男体山の麓に広がる中禅寺湖畔の奥日光。山輪王寺の別院である中善寺立木観音や二荒山神社中宮祠が鎮座していましたが、また異なる視点で見てみると、海抜1200mにあり夏でも涼しいことから、明治中頃から昭和初期にかけて、欧州各国の要人の別荘が立ち、夏は避暑地として、日本でも初めてに近い、国際的なリゾートとしての賑わいを見せていた地でした。そのため、今も当時を偲ぶかのようにフランス、ベルギー、イギリス、イタリアなどの各国大使館の別荘が湖畔沿いに建っており、神社仏閣の日本古来の文化だけではない、明治以降の西洋文化への受け入れが融合し、これまでの日光に抱く印象とは全く異なるものでした。
「モダン」で「シンプル」なデザインが光る
二荒山神社の大鳥居の目の前、中禅寺湖から華厳の滝へと流れる大谷川と中禅寺湖に挟まれた地に、モダンでシンプルなデザインのリッツカールトン。昨今、外国資本のホテルが日本国内へ進出する中、外資ならではの「和」のデザインを取り入れたものが多く見られるようになってきました。中へ入るとまず中禅寺湖を眺めるロビーラウンジへと通され、大きな一枚ガラスを多用した光の取り込みとガラス越しに見る風景は見事。ガラスの向こう側には奥日光の豊かな緑が広がり、ゆっくりと視線を外からホテル内に移すと、幾何学模様のライブラリーや、壁面のボトルのデコレーションをひとつのデザインとしたバーのセンスの良さが際立っていました。
和のデザインと、日光の自然を随所に感じられる演出
お部屋へのアプローチも目で楽しめる工夫が施され、箱庭のような庭園美や一輪挿しのようなデザインの廊下を通って案内されます。旅館のように玄関で靴を脱いでお部屋の中へ。日光の伝統工芸のような和のデザインで全体が統一された心地良い空間が広がり、ベッドルームの他にもリビングエリアのあるスイート仕様になっています。その向こう側には緑が生い茂り、テラスへと続きます。お部屋はお部屋から緑が眺められるガーデンビュー、その上層階からは男体山を眺められるお部屋、そして中禅寺湖を眺めるレイクビューなどのカテゴリーがあります。
嬉しい細やかな心遣い
洗面も陶磁器のお洒落な和のデザインのものが2つあり、これは女性2名でご参加される方には嬉しい心遣い。アメニティも豊富で全てシンプルなデザイン性を損なわないよう配慮され引き出しの中におさまっています。
リビングエリアのテーブルには、現地のフルーツが伝統細工の箱の中に用意されており、併設のコーヒーや紅茶をいれながら、しばしテラスで緑を見ながら寛ぐもよし、ラウンジに赴き、アフタヌーンティーをラウンジで楽しむのも良し、チェックインしてからはのんびり過ごしいただきたいものです。
日光湯元から引いた自慢の温泉
スパと温泉施設もあり、特に温泉は1200年の歴史を誇る日光湯元から引いてきており、内風呂と露天の2種類。一日の疲れを癒すにはおすすめなので是非一度はご体験を(あまり入る方が少ないのか結構空いているのでおすすめです)。心地良い硫黄臭がより温泉気分を高めてくれ、併設されているスパとあわせ、本格的なマッサージやエステもお楽しみいただけるので、連泊してホテルライフを楽しみたい方にも好評の施設です。
地元の素材をふんだんに使ったお料理も楽しみ
レストランは和食と洋食のレイクハウスの2つのメインダイニングが用意されており、日光の素材をふんだんに使った料理は宿泊者以外の方にも好評で、特に和会席は事前に予約をしないとすぐに埋まってしまうほどの人気。アラカルトも用意されており、お寿司もつまめるので気になった方は是非お試しを。また、朝も日本料理レストランにて和洋どちらも取れますが、お部屋での朝食にも対応してくれるので、のんびりお部屋で朝食をとりながらのひとときもまた、リッツカールトンの滞在をより有意義なものに高めてくれるので、お試しください。
長き江戸幕府が幕を下ろし、欧米列強国がうずまく中、西洋の文化を迎え入れた日本。各国大使館を東京に構え、明治中頃になると自然豊かなこの中禅寺湖畔へと避暑に訪れた要人たち。当時を駆け抜けた方々の思いや背景を思い描きながら、夕方、中禅寺湖畔を歩きました。
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