佳景・名景・絶景

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2021年01月16日

「潮待ちの港」鞆の浦(広島県福山市)

『旅のひろば』編集部 上釜一郎

港のシンボル「常夜灯」を、ちょうど点灯する時間、夕暮れにタイムラプスで撮影してみました。

 

日本遺産にも登録され、2017年には国の重要伝統的建造物群保存地区に選定ている鞆の浦。ここは古くから「潮待ちの港」として栄え、その歴史は万葉の時代から続き、江戸期の豪商の屋敷や町家がひしめく港町です。瀬戸内の風光明媚な景色と相まって写真撮影にはどこを切り取っても絵になる風景が連続します。そのため宮崎駿監督が滞在し「崖の上のポニョ」の構想を練った場所としても有名で、日本のみならず、ハリウッド映画のロケ地にもなっています。

港のランドマークは夕暮れ時になると灯りのともる石造りの「常夜燈」。高さは約5.5m、海中の基礎部分まで入れると約11mもあり、現存する江戸時代の常夜燈としては日本一の大きさです。港をめざす船と港の人々を 160 年間見守ってきた鞆の浦のシンボルです。常夜灯の下は「雁木」と呼ばれる瀬戸内海の干満に合わせて見え隠れする石段が港を包み、港の先には石積みの防波堤「波止」が横たわり、江戸期の港湾施設がまとまって現存する国内唯一の港町でもあります。撮影スポットは港周辺、町家の続く大通りとそこから一歩入った路地、高台から全景をという人には町の西に位置するお寺「医王寺」。鞆の浦で2番目に古いお寺で、826年に弘法大師・空海によって開基されたと伝えられています。カメラ片手にレトロでノスタルジックな路地裏をぶらりと歩いてみませんか。

今回は、港のシンボル常夜灯を「タイムラプス」という方法で撮影したものもご紹介します。タイムラプスとは「低速度撮影」「微速度撮影」と呼ばれ、数秒(ときには数分)に1コマずつ撮影したものを繋げて再生することで、コマ送り動画のように見える撮影方法です。「ラプス(lapse)」とは、「(時間の)経過・推移」を意味します。時間の変化が凝縮されて表現されるので、「非日常」な雰囲気が出るのも魅力です。写真講座再開時には、詳しい撮影方法をご紹介しますのでご期待ください。

瀬戸内時間 鞆の浦【3日間】の旅はこちら

 

日暮れの常夜灯

街歩きが楽しい鞆の浦。のんびり撮影に出かけてみれば、お気に入りの場所がきっと見つかります

 

鞆の浦グルメはなんと言っても鯛。いろいろな料理屋でいただくことが出来るのですが、私のおすすめは「御舟宿いろは」。いろは丸事件談判のため坂本龍馬が利用した町家を、スタジオジブリ・宮崎駿監督のスケッチをもとに再生した施設です。ジブリファンにもグルメファンにもたまらないスポットです。ちなみに「鯛漬け」はお持ち帰りも出来ます。

 

【上釜一郎】プロフィール
1964年奈良県生まれ。旅行誌(マガジンハウス/ガリバーほか)からファッション誌(集英社/ COSMOPOLITAN JAPANほか)、広告写真等のカメラマンとして活躍。また、『南オーストラリアのユートピア アデレード』(弊社菊間著・新潮社)『マカオ歴史散歩』『新モンゴル紀行」(ともに弊社菊間著・新潮社とんぼの本)の写真等も撮影。現『旅のひろば』編集部で、各地の視察も行っている。過去には紛争地や、対人地雷問題の取材などの取材経験も多数。1997年にノーベル平和賞を受賞した地雷廃絶国際キャンペーン(International Campaign To Ban Landmines=(ICBL))の日本キャンペーン(JCBL)元運営委員。
現在ワールド航空サービスの知求アカデミー講座で、写真講座の講師も務める。

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