佳景・名景・絶景

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2021年01月23日

吉野山の桜(奈良)

『旅のひろば』編集部 上釜一郎

一目千本! 矢倉の展望台近くから見た中千本

多くの人が知っている奈良は、大仏に奈良公園など、修学旅行で一度は訪ねたことがあるスポットでしょう。実は皆さんが訪ねたことのあるスポットは、ごくごく奈良の一部の平野部分で、皆さんがご存じの室生寺などがある地域は大和高原、そして県全体の77%は山岳地帯です。そんな山岳地帯の中で、奈良県民のみならず、日本中の人から一目置かれる桜の名所は吉野山です。

桜の名所と聞いて真っ先に思い浮かぶのが、「吉野の千本桜」という方も多いのではないでしょうか? かつて豊臣秀吉が吉水神社に5日間滞在して豪遊したり、徳川家康、前田利家、伊達政宗ら武将をはじめとする、総勢5,000人ほどを引き連れて開催された大お花見大会。古くから歴史の舞台に登場し、数多くの詩歌に詠まれてきた吉野山の桜。昨年自粛でお花見が出来なかった方も、万全の体制で今年の春こそ、その美しさを味わいに出かけましょう!

吉野山には桜ポイントが4カ所あり、それぞれ「下千本」「中千本」「上千本」「奥千本」と呼ばれています。例年4月の上旬から中旬にかけて、シロヤマザクラを中心に約200種3万本もの桜が山下(近鉄吉野駅周辺からケーブルカーのあたりが下千本)から山上(吉水神社より上が上千本、奥千本)へと少しずつ開花。移りゆく桜の色彩を約1カ月にわたり楽しむことができます。他の桜の名所とはちょっとスケールが違うのです。見どころは花矢倉からの遠望、吉水神社から如意輪寺方面への一目千本。中千本の谷を眺める景観も素晴らしいものがあります。

例年大変な賑わいですが、本当に堪能したい方はぜひ吉野山に宿泊を。時間によって刻々と変化するその景色、夜のライトアップなど圧巻です。宿の確保はかなり難しく、宿泊料も高騰するのですが今回、長年狙ってきた写真撮影ツアーを開催するにあたって、「竹林院群芳園」という宿が2泊とれました。(4月14、15日)(本当はもう1週ほど早くとりたかったんですが……。)近日ホームページで公開、募集開始しますのでご期待ください。

ここ吉野では修験道の開祖・役行者が桜の木に蔵王権現の姿を彫ったと伝えられることから、桜は御神木として守られてきました。 そこには日本固有の宗教・修験道が息づき、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」に登録されています。吉野の美しさは、桜の花と信仰が長い歳月をかけて作りあげた風景なのです。

講師上釜一郎と行く 日本撮り旅
「日本の絶景 吉野山の春景色 4日間」はこちら

同じ場所でも時間でこんなに違って見えます。手前は上千本
上千本エリアの滝桜
花が散り始めても、様々な色が混ざり合い山里を彩ります
お花見に疲れたら、ぜひ名物の吉野葛を使った葛餅や葛きりを。おすすめは中井春風堂。ここでしか味わうことが出来ない「賞味時間10分」の繊細な味わいをぜひご堪能ください。お店は金峯山寺の目の前です。(外観撮影・社長松本)
http://nakasyun.com/(葛屋 中居春風堂)
【上釜一郎】プロフィール
1964年奈良県生まれ。旅行誌(マガジンハウス/ガリバーほか)からファッション誌(集英社/ COSMOPOLITAN JAPANほか)、広告写真等のカメラマンとして活躍。また、『南オーストラリアのユートピア アデレード』(弊社菊間著・新潮社)『マカオ歴史散歩』『新モンゴル紀行」(ともに弊社菊間著・新潮社とんぼの本)の写真等も撮影。現『旅のひろば』編集部で、各地の視察も行っている。過去には紛争地や、対人地雷問題の取材などの取材経験も多数。1997年にノーベル平和賞を受賞した地雷廃絶国際キャンペーン(International Campaign To Ban Landmines=(ICBL))の日本キャンペーン(JCBL)元運営委員。
現在ワールド航空サービスの知求アカデミー講座で、写真講座の講師も務める。

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