視察レポート

視察レポート

2021年02月03日

街道をゆく 中山道レポート②(高崎、安中、碓氷峠、下諏訪)

本社 プランニング事業本部:吉田義和

東京支店の福島と視察をした埼玉県の中山道に続き、群馬県の高崎から長野県の下諏訪まで、木曽路に至る中山道ルートをたどってきました。高崎から先もツアーではご紹介する機会の少ない訪問地ですが、各所に風情ある宿場が残り、かつ周囲の景観も美しいエリアでした。

大都市の各所に史跡が残る「高崎」

高崎は群馬県を代表する大都市で、新幹線の停車駅でもあり、駅周辺は開発が進んでいます。江戸時代には中山道と三国街道(高崎から新潟、寺泊へと至る街道)の合流地点として北関東の交通の要衝となり、徳川家康が江戸を拠点とした際に家臣の井伊直政が城を築きました。現在は一部隅櫓や堀を残すのみとなっており、中心には21階の高崎市役所が建っています。視察日は幸いにも晴天だったため、無料開放されている展望階へと登りました。上階からは赤城・榛名・妙義の上毛三山や高崎市内が一望できます。眼下には高崎市内を流れる碓氷川も。高崎からの中山道は、碓氷川に沿って道が伸びており、川の長さに道の壮大さを感じることができます。
また、高崎市内の旧中山道沿いには、ぜひ立ち寄りたい歴史ある醤油屋さん、岡醤油醸造があります。明治期に造られたレトロな醤油の醸造場が残り、店内も風情あるつくり。醤油の他に醤油ベースのタバスコ「しょうゆすこ」などオリジナル商品にも取り組んでおり、御土産にもお勧めです。(実際に使ってみましたが結構辛め。和食にも洋食にも合うのが嬉しいところ。)

高崎市役所から、かつての中山道沿いを流れる碓氷川を望む
レトロな岡醤油醸造の醤油工房

和宮降嫁の歴史がわかる「板鼻」と武家屋敷の残る「安中」

中山道をたどってゆくと、「皇女和宮」の話題が多く出てきます。幕末の動乱を収めるため、幕府と朝廷が一体となる「公武合体」の象徴として将軍家茂に嫁いだ仁孝天皇の皇女和宮。皇女が将軍家に嫁ぐのは異例中の異例で、和宮の江戸入りには東海道よりも安全性の高い中山道が選ばれ、その行列の長さはなんと50km。現在でも降嫁の行列は各地で語り継がれ、行列を再現した祭りが開催されているほどです。高崎からすぐ隣の宿、板鼻では、和宮が宿泊に利用した本陣書院が残されており、降嫁の道中の様子を窺い知ることができます。

公武合体のシンボル和宮の資料館
和宮が宿泊した本陣書院
各地で開催される和宮行列(馬籠宿のもの)

板鼻からさらに西へ。その隣は安中宿です。高崎城を築城した井伊直政の息子直勝が藩主となり開いた宿場で、武士が暮らす城内と商人が暮らす宿場とに分かれた町割りがされていました。宿場には面影が少ないものの、かつての城内には郡奉行(こおりぶぎょう)屋敷や武家長屋が残されています。郡奉行はこの地で警察や裁判を司った猪狩幾右衛門懐忠の邸宅で、平成に入るまでは子孫の方が実際にお住まいだった建築です。かつての中山道沿いの武家の暮らしを垣間見ることができる貴重な史跡です。安中を過ぎると中山道の正面には荒々しい形をした妙義山が近づいてきます。中山道は街並みももちろんですが、山間部をゆくため、それぞれの土地で美しい山並みを眺められるのも魅力です。

安中に残る武家長屋の跡
松井田宿の常夜灯と妙義山の絶景

上州から信濃へ 「碓氷峠」と「追分」

江戸から歩いて中山道最初の難所である上州(群馬)と信濃(長野)を隔てる碓氷峠。「峠の釜めし」でも知られている横川から軽井沢へと至る峠道です。「入鉄砲・出女」などを取り締まる碓氷関所は箱根関所と並び江戸の重要な関所でした。鉄道が敷設されてからも急勾配で「鉄道有数の難所」とも呼ばれた碓氷峠。かつて走っていた信越本線横川軽井沢間は長野新幹線の開通により1993年に廃線となりましたが、レンガ造りの碓氷第三橋梁をはじめとする鉄道遺産は、国の重要文化財に指定されています。

碓氷峠を越えると、軽井沢に到着。かつての宿場は旧軽銀座へと姿を変えました。かつての中山道の姿を残すのは中軽井沢の別荘地に近い追分です。名前の通り北へと延びる北国街道との分岐点となっています。加賀藩など北陸の大名たちは中山道からここ追分を通り、北国街道を参勤交代で利用しました。現在は杉並木や分去れ(わかされ)の道標が当時を偲びます。

めがね橋の愛称で知られる碓氷第三橋梁
追分に残る分去れの碑。右が北国街道、左が中山道

千曲川河岸の宿「塩名田」に名店を訪ねて

追分から佐久を抜けると、日本最大の河川千曲川(信濃川)に合流します。ここには千曲川を渡るために宿場が必要とされ、設けられた23番目の宿場、塩名田宿があります。(ここでやっと全行程の3分の1なので、中山道の長さを実感します。)宿場の端、ちょうど千曲川に沿った一角に、中山道の名店「竹廼家」があります。ハヤの天婦羅など川魚料理が絶品で、佐藤栄作や永六輔など著名人が軽井沢の別荘から車を飛ばして食べに来たという名店です。視察では時間が合わずありつけませんでしたが、ツアーではお願いしましたので、ぜひお楽しみに。

永六輔など著名人が訪れた名店です。
千曲川沿いにある川魚料理店「竹廼家」

旅人が一息つく温泉の宿場町 「下諏訪」

碓氷峠や和田峠など、山道難所を越えてきた旅人が一息つけるのが下諏訪宿です。下諏訪宿は甲州街道(現在の中央高速道路に並行)と中山道の合流地点であり、古くから諏訪大社、善光寺への参拝道中の宿場町として栄えました。現在の宿場も諏訪大社下社秋宮の門前に広がっています。現在も旅籠の建物を利用した小規模な温泉旅館が点在する湯田坂には歴史の小径があり、宿場町情緒のなか散策を楽しむことができます。下諏訪宿には宿がないため、旅では上諏訪の諏訪湖が見える温泉宿を手配しました。山々が続く中山道にあって、貴重な水辺の風景をお楽しみいただければ幸いです。

下諏訪宿の中心に鎮座する諏訪大社下社秋宮
宿泊はゆったり諏訪湖を望む温泉宿で。
下諏訪宿の老舗菓子店「新鶴」
下諏訪で合流する中山道と甲州街道

今回ご紹介した中山道を歩く旅がこちら。是非、ご検討ください。

街道をゆく 中山道六十九次の旅【7日間】

出発日:3月29日(月) 、 4月10日(土) 、 5月10日(月)
旅行代金:¥255,000

この記事に関するキーワード

お気軽にお問い合わせください

電話相談はこちら

受付時間:午前9:30~午後5:30

東京
03-3501-4111
大阪
06-6343-0111
名古屋
052-252-2110
九州
092-473-0111
札幌
011-232-9111
藤沢
0466-27-0111