視察レポート

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2021年02月09日

街道をゆく 中山道レポート③(奈良井・妻籠・中津川・大井・美濃太田)

本社 プランニング事業本部:吉田義和

中山道レポート 3回目の今回は、いよいよ中山道のハイライト区間、木曽路へと入ります。江戸の宿場町の風情を色濃く残す奈良井・妻籠・馬籠を中心に、山間の風光明媚な区間ですが、徒歩で越えた江戸時代はさぞ苦労した事でしょう。車で走る現在の道は、山間を縫うように続く旧街道(歩道)と並行して走っています。旅人に想いを馳せながら、木曽路を南へと進みます。

木曽路の入口にあたる関所「贄川(にえかわ)」

レポート②でご紹介した下諏訪から塩尻宿で善光寺街道と分岐し、中山道は中央アルプスに沿って南へと進路を変えていきます。馬籠出身の文人、島崎藤村が『夜明け前』の中で「木曽路はすべて山の中」と描きだした通り、木曽路に入るとすぐに両側は山に挟まれ、奈良井川と木曽川に沿った細い渓谷の道を進むことになります。木曽路に入って最初の宿場は贄川(にえかわ)宿。宿場の少し北の街道沿いには「此より南、木曽路」という碑も残されています。贄川の宿場の北端には贄川関所が現在も資料館として残されています。贄川関所は木曽路の北の要害として、木曽路の特産である漆器の搬出などを取り締まりました。現在は考古館も併設しており、内部には中山道の資料や、安藤広重の中山道の浮世絵が展示されています。

木曽路の北の要害として通行を取り締まった 贄川関所
贄川宿に残る伝統家屋 深澤家住宅

木曽路最大の宿場町、「奈良井」と間の宿「平沢」

贄川から奈良井川に沿って南下すると、次の宿場は間の宿(あいのしゅく)平沢です。宿場と宿場を結ぶ中間地点にあり、休憩所の役割も果たした間の宿は、小規模ながら風情ある街並みが残るところが多いです。平沢宿の特徴はなんといっても漆産業。木曽路の代表的な工芸である漆器は、ここ平沢で主に生産されており、街道筋の商家はほぼすべてが漆器を取り扱っています。町全体でひとつの産業を生み出している稀有な町です。各工場で独自の漆器を作っているので、自分好みの漆器を探しながらそぞろ歩きを楽しめます。

平沢から車で5分ほど、中央本線の奈良井駅を過ぎると、突如として現れるのが江戸時代さながらの宿場町、奈良井です。当時の姿を今にとどめる木造の旅籠や食堂が1.5キロメートルも続く中山道一の宿場町です。かつて漆器や桧製品など工芸で栄え「奈良井千軒」と言われた存在感は今も変わらず。現在も姿を残しながら宿泊施設や食堂として利用されており、江戸時代の旅人気分で食事や買い物を楽しむことができます。

間の宿、平沢には漆器店が所狭しと並びます
1.5キロメートルにわたり宿場が続く奈良井

町並み保存の原点 山間の宿場町 「妻籠(つまご)」

 奈良井を過ぎると、トンネルをひとつ越えて木曽川の峡谷へと中山道は入っていきます。宿場は木曽義仲の暮らした宮ノ越、関所のおかれた福島を通り、妻籠へと続きます。妻籠は保存より開発が推し進められてきた高度成長期の日本にあって、いち早く町並みの保存に取り組み、重伝建の第一号に登録された町並み保存の旗手というべき存在。その名のとおり宿場の街道沿いには近代的な建築が一切なく、ポストや看板なども統一されており、町並みの景観にそぐわないものは殆ど見当たりません。奈良井と雰囲気を異にするのが、山間の宿場町であるということ。まっすぐ平坦な一本道が続く奈良井に比べ、木曽川に沿うように緩やかな斜面にある妻籠は、独特の落ち着きを保っています。他の宿場では「史跡碑」でうかがい知ることのできる高札場跡や本陣、脇本陣跡、桝形、常夜灯といった宿場の構造は、妻籠を一通り歩くことでぐっと理解が深まることでしょう。妻籠から馬籠へは馬籠峠を越える7キロメートルの峠道。歩いて越える旧街道も整備され、人気のハイキングルートとなっています。

山間の宿場町の風情を残す妻籠
妻籠宿から馬籠宿まで 馬籠峠を越える旧道

旅籠の宿が残る町 「大井」

妻籠から馬籠峠を越えると、いよいよ中山道は岐阜県へと入ります。馬籠は2005年まで長野県木曽郡に属していましたが、越境合併によって岐阜県の中津川市となった珍しい県境です。島崎藤村の生誕地である馬籠を越えると、木曽路が終わり中津川から美濃路が始まります。名菓「栗きんとん」で全国的に知られる中津川ですが、桂小五郎が藩主毛利慶親を説得し、薩長同盟、尊王討幕へと転換させた歴史の舞台でもあります。現在本陣跡には「中山道歴史資料館」があり、幕末から明治維新にかけての中山道の歴史を展示しています。

そして次の宿場は大井宿。大河ドラマでも話題となった明智光秀の故郷、明知郷にもほど近い大井宿には、400年続く旅籠を受け継ぐ歴史の宿「いち川」があります。寛永年間に開業した旅籠屋「角屋」を受け継ぎ、料理にこだわった「料理旅館」とし国内外の旅行者に人気です。徒歩圏内には安藤広重中山道美術館や、明治天皇の行在所として利用された岩井家(改装中で4月オープン予定)などもあり、宿を中心に歴史散歩を楽しむことができます。訪問した際は第十六代女将の市川祥子さんが宿を案内してくれました。宿の外観はそのままに、快適に宿泊できるよう整えられたつくり。他の宿場にも旅籠を改装した宿はありますが、10部屋という部屋数と快適性のある宿は少なく、稀有な宿といえます。ツアーでは全10室を利用できる日を選んで設定をさせていただきました。

美濃路 中津川宿の町並み
400年の歴史を持つ旅籠の宿 いち川
大井宿の第十六代女将市川祥子さん(左下)とスタッフの安藤さん(右下) 東京支店福島、吉田

和宮や尾張藩主が滞在した木曽川の渡し場    「美濃太田」

中山道は大井から美濃地方へ。川幅の広くなった木曽川を渡る中山道三大難所「太田の渡し」を控えた太田宿へと進みます。下呂方面へと進む飛騨街道、郡上八幡へと進む郡上街道の分岐点として栄え、現在でも高山本線や長良川鉄道が走る要衝です。駅前は開発が進みましたが、中山道沿いには本陣跡や脇本陣の建築がそのままに残ります。本陣は残念ながら残されていませんが、宿場ガイドと相談し、ツアーの際には本陣を管理する福田家にお邪魔し、和宮が実際に利用したお膳や、尾張藩主から滞在のお礼として賜ったという茶器などを特別に見せていただく予定にしています。昼食は太田宿にほど近いホテルにて和宮が食した夕餉を再現した「和宮本膳」もご用意しています。シェフの解説と共に歴史の味をお楽しみください。

太田宿、中山道会館とガイドの水口さん
皇女和宮が食した「和宮本膳」

今回ご紹介した中山道を歩く旅がこちら。是非、ご検討ください。

街道をゆく 中山道六十九次の旅【7日間】

出発日:3月29日(月) 、 4月10日(土) 、 5月10日(月)、5月22日(土)
旅行代金:¥255,000

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