視察レポート

視察レポート
2022年09月26日
特別企画「遥かなる琉球」 第3回 沖縄視察レポート
2022年8月14日(日)~2022年8月17日(水):九州支店・柴尾祐樹
今回のレポートでは、第1回でご紹介したワールドスペシャル「遥かなる琉球」のプログラム、現代版組踊にまつわる地をご案内いたします。
琉球王国のドラマチックな歴史を知ればより旅が楽しくなる
琉球諸島には、先史時代を経て、日本の鎌倉時代にあたる12世紀頃から一定の政治的勢力が現れはじめたとされています。各地に按司(あじ)とよばれる豪族が現れ、互いに抗争と和解を繰り返しながら次第に整理・淘汰されていきました。その中から、1429年に尚巴志(しょうはし)が初めて統一権力を確立。これが尚(しょう)氏を頂点とする琉球王国の始まりです。尚氏は統一を実現したものの、政情は依然不安定で有力按司との諍いが続いていました。琉球王朝成立前後の時代はまさに群雄割拠、日本の戦国時代の様相を呈していたのです。各地にはグスクとよばれる城砦が築かれ、戦国武将ならぬ按司たちがしのぎを削っていました。現在、これらのグスクは、琉球王朝の居城である首里城とともに世界遺産に登録されています。

天下人を夢見た 阿麻和利(あまわり) が治めた勝連城
そんなグスクの中でも難攻不落とされたのが、現在のうるま市に位置する勝連城です。今回の視察でもこの勝連城跡を訪ねました。自然の断崖を利用した城はまさしく難攻不落。頂上に登ると太平洋に輝く青い海が一望できる沖縄有数の景勝地です。海外貿易により勝連に繁栄をもたらした有力按司、阿麻和利(あまわり)が居城したとして有名です。


阿麻和利 はその生い立ちについての詳細は分かっていませんが、15世紀に勝連に現れ、民衆の心を掴んで按司となり繁栄を作り上げた英雄であることは様々な資料から伝えられています。
一方それを脅威と感じたのが首里の王府でした。時の王は娘の百度踏揚(ももとふみあがり)を 阿麻和利に嫁がせ、懐柔を図ったといわれます。王女を迎え、繁栄を極めた 阿麻和利 は、天下取りを目指して動き出しますが、1458年に起きた護佐丸 (ごさまる)・ 阿麻和利の乱で一気に歴史から姿を消してしまいます。
琉球王になる野心を抱いた 阿麻和利 は、王の臣下・護佐丸が謀反を企んでいると忠言し、自ら王軍を率いて護佐丸を征伐します。護佐丸を討ち取った 阿麻和利 は返す刀で首里を攻めようしました。しかし計画が露見し、今度は逆に王府軍に攻め滅ぼされたと言われています。
このドラマチックな阿麻和利の半生をミュージカル仕立てで語られるのが現代版組踊「肝高(きむたか)の阿麻和利」です。
(阿麻和利についてはこちらのコラムでもご紹介しております。併せてご覧ください)

30人の地元学生が熱く演じる現代版組踊「肝高の阿麻和利」 (きむたかのあまわり)
さて、護佐丸・ 阿麻和利の乱は琉球の歴史のなかでも最大の謎と言われていますが、そんな阿麻和利の名を冠した施設、あまわりパークが昨年秋に勝連城前にオープンしたとのことで、さっそく視察いたしました。メイン施設のひとつである歴史文化施設は 阿麻和利を紹介する展示に加え、世界遺産勝連城跡の出土品や勝連城跡を中心とするうるま市の歴史や文化についての展示が充実。出土品の中には交易で栄えた琉球らしく、ローマ帝国やオスマン帝国、中国の貨幣もありました。


そして最も目を引いたのは、阿麻和利の物語をライブパフォーマンスで楽しむことができるシアターです。週末には地元うるま市の学生がパフォーマーとしてライブで勝連城跡にまつわる物語を紹介しています。通常、このあまわりパークで披露されているパフォーマンスの出演者は3名ほどですが、今回はワールドスペシャル「遥かなる琉球」公演として、総勢30名の学生による現代版組踊 「肝高の阿麻和利」 で歴史物語をお楽しみいただきます。
現代版組踊「肝高の阿麻和利」とは、沖縄に古くから伝わる伝統芸能「組踊」をベースに、現代音楽とダンスを取り入れて、阿麻和利の半生を描く、いわば「沖縄版ミュージカル」。 出演するのは全員うるま市の中高校生です。
1999年に、当時の勝連町教育委員会が、子ども達の感動体験と居場所づくり、ふるさと再発見・子どもと大人が参画する地域おこしを目的に企画したもので、2000年3月初演以来、公演回数は333回を数え、観客動員は延べ19万人を達成。日本各地のみならずハワイ公演も実現しています。舞台だけでなく、子ども達の居場所づくりや人材育成、地域づくりの場として県内外から注目を浴びているのです。
今回はワールド航空サービスのお客様のためだけに公演をご用意いたしました。

勝連城を後にし、実際の会場となるうるま市民芸術劇場も視察。運営の方とも打ち合わせを行い、ワールドスペシャル「遥かなる琉球」公演の計画が実現へと進むことになりました。


次回、第4回は非日常空間が味わえるリゾートホテル・ハレクラニホテルと琉球の食文化についてご紹介します。
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