歴史ある風景
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2021年10月26日
琉球の天下人を夢見た英雄の居城・勝連グスク
九州支店:柴尾祐樹
沖縄にはグスクとよばれる琉球時代の城址が点在しています。なかでも難攻不落の城とされる勝連グスクは、まるでヨーロッパの古城を思わせる威風堂々とした姿が特徴的です。はじめて訪れたとき、断崖の上に建つ石積みの城壁を目にしたとたん、以前訪れたスロバキアの世界遺産スピシュ城を思い浮かべました。その姿とともに強く印象に残っているのは、このグスクにまつわる英雄・ 阿麻和利(あまわり) のストーリーです。
時は15世紀、沖縄では琉球王国が成立し、着々と基盤を固めていった時代。その支配に最後まで抵抗した有力按司(あじ:地方の支配者)が、勝連グスクに居城していた阿麻和利(あまわり)です。若くして城主となった 阿麻和利でしたが、人々から慕われ、海外貿易によって力を蓄えてゆきました。それを脅威と感じたのが時の琉球国王・尚泰久で、娘の百度踏揚(ももとふみあがり)を阿麻和利に嫁がせ、懐柔を図ります。琉球の天下人を夢見た阿麻和利は、 有力按司であり国王の重臣でもあった護佐丸(ごさまる)を滅ぼし、王権の奪取を目指して国王の居城である首里城へ侵攻します。しかし妻である百度踏揚に悟られ、情報が国王に漏れ伝わると王府軍の反撃に成すすべなく敗北します。王の策の前に阿麻和利は夢破れてしまったのです。結果的に阿麻和利と護佐丸という2人の実力者が共に倒れたことで、琉球王国は1879年まで独立国家を形成していきます。
阿麻和利時代の栄華を伝える神歌に”勝連グスクは京都や鎌倉に並ぶほどの繁栄を謳歌している”という意味のフレーズが出てきます。また歌の中では阿麻和利は民衆に愛される徳の高い人物だとも讃えられています。そんな阿麻和利も眺めたであろう光景をグスクの最も高い場所から望むことができます。太平洋の美しいグラデーションと眼下に広がる街並みはまさに絶景ですが、歴史ロマンを胸にその景観を眺めるとさらに感動がこみ上げてきます。
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