歴史ある風景

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2020年12月22日

茨城・古河 鷹見泉石が見聞した世界

本社:プランニング事業本部 乗田憲一

幕末は日本史上でも激動の時代で、実に魅力的な人物や物語に溢れています。その華やかな「表舞台」だけを見ていると見落としてしまう何気ない歴史の中に、意外な傑物がいたりするのです。

歴史教科書で必ず出てくる大塩平八郎の乱。幕府瓦解を予測させる事件として知られますが、これを鎮圧した人物が、鷹見泉石。実は彼の肖像画は国宝で、東京国立博物館で見ることができます。描いたのは蘭学者の渡辺崋山。蛮社の獄という言論弾圧のはしりとして教科書に必ず出てきます。

そんな有名人と関わりを持ちつつ、知名度は高いとは言えない鷹見泉石。古河藩家老ですが、実に博学で多彩、ややもすると同時代人の中で最も「世界事情」に通じていたかもしれません。古河歴史博物館にある彼の所蔵品を見ると、その博学さに驚愕します。オランダやロシアなど正確な地図を自ら模写し、当時のロシア軍人の服装もかなり詳細まで描いています。几帳面な性格なようで詳細な日記も残されていて、相当な事情通であったこともわかっています。大黒屋光太夫とも親交あり、彼の自筆サインが残されていて希少価値の高いものです。博学で世界の最先端技術を取り入れていた藩主・島津斉彬とも交流があったようで、彼らの知恵袋であった可能性もあり、そんなことを思い描いていると、幕末というのはとにかく面白いと感じてしまいます。

渡辺崋山筆の鷹見泉石像(国宝)
「鷹見泉石生誕之地」の碑(古河第一小学校北側)

鷹見泉石が模写したオランダ地図。今とほぼ変わらぬ正確さに驚かされます。
「新訳和蘭国全図」(古河歴史博物館蔵)
鷹見泉石記念館(入り口)
鷹見泉石記念館(鷹見泉石旧宅)
古河歴史博物館

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