町並み百選
町並み百選
2020年12月24日
白壁と金魚ちょうちんの町「柳井」
本社 プランニング事業本部:吉田 義和
山口県柳井は、室町時代から江戸時代に瀬戸内有数の商業港として栄えた街です。特に柳井縞(やないじま)を代表とする木綿、反物産業や、油の売買などを中心に瀬戸内のみならず九州や近畿地方にも柳井商人の名が知られていました。現在でも柳井には中世の町割りと旧い町並みが息づいています。
「岩国のお納戸」と呼ばれた商家の街並み
柳井は室町時代、山口を中心に勢力を誇った大内氏が治めていまいた。大内氏は足利将軍家がはじめた中国、明との勘合貿易を独占して行っており、その遣明船の港として柳井が台頭。多くの商人たちが国際貿易を支える柳井に集まりました。柳井川に向かって直角に道が敷かれている、現在も残る町割りは、この時代から続くものと言われています。江戸時代に入り、吉川氏の岩国藩に編入されると、反物や木綿、油、醤油などを瀬戸内や九州へと卸す商人たちが活躍し、全国的に知られるようになった柳井縞や甘露醤油などの名産も広まっていきました。当時の繁栄ぶりは、国の有形文化財に指定されている國森家住宅や、佐川醤油店で見ることができます。これらが残る古市・金屋地区は、道全体が白壁に囲まれ、当時のままの町の姿をご覧いただけることから重伝建にも指定されています。メインストリートの白壁の町並みは、間口こそ狭いものの、奥に細長く屋敷が続く伝統のつくりが特徴で、西日本最大級の町家「むろや」は入口が10メートル程度なのに対し、奥行きは120メートル。その細長い邸宅内に本蔵や勘定蔵など11棟の建物がひしめく造りとなっています。火災への対策として頑丈な漆喰の白壁が造られたほか、内部には強盗を防ぐ仕掛けなども様々あり、邸宅内を見て回るのも楽しいもの。こうした古い邸宅もしっかりと整備され、内部見学もできるのが柳井の魅力です。
北前船で運ばれた柳井のシンボル「金魚ちょうちん」
柳井の伝統の街並みを彩るのが「金魚ちょうちん」です。柳井の古民家の軒先には必ずといっていいほど飾られ、美しい町並みに彩りを添えています。なぜ柳井にちょうちんが並んでいるのか、そのルーツは北前船の時代に遡ります。江戸末期、北前船で青森まで行商に訪れた染物屋の主人が、弘前の金魚ねぷたを子供のお土産に持ち帰ったそう。そのねぷたを柳井伝統の柳井縞で染め付けて出来たのが柳井の「金魚ちょうちん」なのです。今では両地域の人々にもあまり知られていない繋がりですが、水運の栄えた江戸時代には、遠く離れた東北まで文化的交流があったという確かな証拠を、かわいらしい金魚が示してくれています。
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