町並み百選

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2021年08月12日

安芸の小京都 製塩と酒造の町、竹原

東京支店 福島伸彦

 町並み百選、今回は先日「新たな宿のかたち Azumi Setoda& yubuneの旅」の添乗から戻った東京支店の福島が多くの映画の舞台ともなった瀬戸内の美しい町「竹原」をご紹介いたします。

製塩業と酒造で栄えた町

 京都の下鴨神社の荘園として誕生した竹原の町は広島県南部、瀬戸内海に面した、ちょうど中央に位置しています。広島南部には沢山の町がありますが、その中にあって竹原が栄えたのは、第一に大変豊富な地下水があった為で、今でも市の水源の75%は地下水を利用している程です。豊富な地下水を利用したお酒造り、製塩業などの産業も栄え、さらに江戸時代に入ると廻船により海運業も発達し、今に残る瀟洒な町並みが生まれました。

 その後、塩田に海水を引き込むための堀が埋め立てられて道路となり、竹原駅を中心として塩田跡地に市街地が広がったため、安芸の小京都、竹原の上市・下市地区は、 古いたたずまいをそのまま残しています。

なまこ壁の家並みなどそれぞれの家ごとにデザインが異なります。
街中のいくつかの古民家は今では宿やレストランに改修されています。

江戸時代がそのまま息づく本町通り

 竹原を訪れたらまず歩いておきたいのが本町通。その名の通り、町の中心を走っているのですが、通りの北端には胡堂、南端には町屋があり、全体を見通せない作りになっております。ここには竹鶴酒造や旧吉井家住宅(旧郵便局)、旧松坂家住宅、吉井家住宅など当時の豪商が建てた見事な家並みが残ります。それぞれの家は変化がつけてあり、格子の文様や、壁の作りなどが異なっており、それが不思議と統一感を持った美しさを作り出しているのが竹原の魅力かもしれません。

本町通り湾曲したつくりにして、全体を見渡せないようになっています。
旧松坂家住宅。波打つような屋根を持つ商家の邸宅です。
旧上吉井家の住宅。その後郵便局として使われていました。
本町通りの竹鶴酒造。ニッカウィスキーの創業者、竹鶴政孝の生家です。
ニッカウィスキーの生みの親、竹鶴政孝とリタの像。

 竹原の名産品はいくつかありますが、そのうちのひとつは竹で、繊細なフォルムと和モダンな雰囲気の竹工芸品が目を引きます。家々の軒先を覗いてみると、竹の花瓶がさりげなく置かれており、活けられた花々がモノトーンの町並みに映えて、非常にお洒落です。

竹の花瓶が花の彩りを引き立てます。
欄干など目立たない場所にも工夫とこだわりが見られます。

瀬戸内の景観を楽しむ「呉線」の絶景もお見逃しなく。

 竹原を通るJR呉線は、瀬戸内の海辺を走る絶景路線としても知られており、呉や尾道などから移動する際は鉄道移動がお勧めです。車窓からの瀬戸内海の景観は旅の目的になりえる程。特に三原駅から広駅区間は「瀬戸内さざなみ鉄道」の愛称で知られています。電車に心地よくゆられながら車窓から外を眺めるとのどかな景観には心が癒されます。電車の線路が海岸線のギリギリを走っており、瀬戸内海の海の穏やかさも感じられます。

 竹原への旅は、秋に10出発日の催行が決まっている「秋の尾道旅情としまなみ海道の旅」でも訪れます。ぜひのんびりと、尾道に連泊して多島美あふれる瀬戸内旅情を味わってみませんか?

呉線は瀬戸内海ギリギリを走ります。ここまで海が近い電車もなかなかありません。
呉線の車窓かなら眺める美しい瀬戸内海の情景。一幅の絵のようです。

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