【国内】帰着しました。添乗員レポート

【国内】帰着しました。添乗員レポート

2023年02月06日

【帰着レポート】琉球王朝 伝統手工芸アートの世界を訪ねました。

2023年1月25日(水)~1月29日(日) 5日間 本社営業部 山田 周

<1月25日発 添乗員・本社営業部 山田周>  

 東南アジア、インド、中国より海のシルクロードを通って琉球王国に渡り、琉球王朝時代に独自の進化を遂げ、現代まで人々の手に伝えられてきた伝統手工芸の現場を見る旅に行ってまいりました。独立国だった琉球王国の伝統手工芸の多くは明治時代の廃藩置県による琉球王国の崩壊後、存続が危ぶまれ、衰退の一途をたどりましたが、地元の人々の地道な努力により、技術が途絶えることなく残されました。琉球の織物、染め物の独自の技術は王族、貴族など上流階級の人々に献上される衣装などを作るためのものでしたが、その質の高さは日本各地に評判が伝わり、現在では琉球織物の9割以上は県外へ出荷されるほどの人気です。なかなか見る機会のなかった琉球の伝統手工芸の現場を皆様にレポートします。

琉球を代表する伝統手工芸「紅型」の工房を訪問 

 豊見城市の「工房あい染」で紅型の製造工程を見学しました。紅型は琉球を代表する伝統手工芸のひとつで、主に王族、士族の衣装として用いられていました。型紙を作るため、薄い紙に下絵を描き、渋紙に貼り、下絵を貼った渋紙を突き彫りで型紙を作り、布地に型紙を置いて上から防染糊をのせてヘラでしごく型付けをしてから色差し、ぼかし染を施し、さらに防染糊をのせて、地染め、複数回の水洗いと乾燥を繰り返す作業を一人の職人が行います。膨大な作業を経て検査に通過したものがはじめて商品として認められるわけですが、とにかく手間がかかり、「本当に好きでないとできない」という言葉が印象的でした。沖縄県内で流通するのは一割程度でほとんどが県外に出荷されるそうです。紅型の製造工程を職人の方の解説付きで目の前で見学することで理解を深めることができました。

紅型の型紙を作成についてレクチャーを受けます
紅型の製造工程を職人の方が目の前で実演

幻の伝統手工芸「知花花織」の後継者育成の現場を訪問しました

 沖縄市(コザ)の知花花織事業協同組合を訪問しました。知花花織は南アジア(インド)をルーツとする技術が中国、東南アジア経由で琉球王国に伝わり、花織の織物は王府への貢布の対象でした。知花花織の正確な期限ははっきりとわかっていませんが、おそらく18世紀ごろからと信じられています。明治時代に衰退、完全に技術が途絶えてしまいましたが、1989年(平成元年)に約100年ぶりに復元されたため幻の織物といわれています。知花花織事業協同組合では組合員の技術習得と後継者育成の場となっており、組合員の方の説明を聞きながら実際に花織を作っている現場を間近に見ることができました。

知花花織の伝統手工芸・後継者育成の現場を訪問しました
琉球王朝時代から伝わる「花織」に触れてみました

南風原(はえばる)かすりロードを歩く

 琉球の国指定の伝統手工芸16品のうち12品目は織物で、その代表的なものが琉球絣(かすり)です。絣は日本国内以外にインド、タイ、ラオス、フィリピン、カンボジアなどでも作られています。絣の技術が生まれたのは紀元前3~4世紀頃でインドが発祥で15世紀頃に東南アジアから琉球王国に伝わりました。日本国内では久留米絣(福岡)、伊予絣(愛媛)、備後絣(広島)などでも生産されていますが、その原点は琉球絣です。植物、動物、日用品など身近なものをモチーフとした模様は実に600種類。織り上げる図柄を決めてから糸の段階で配置を計算して染色します。県内の植物染料を主原料として、染めたくない部分は糸で縛ります。染色後、糊付けをして伸ばし、整え、防染のために縛った糸を解き、図柄通りに柄を合わせて固定と、織り始める前の工程が多岐にわたり、すべて手作業で行います。あまりにも複雑な工程のため、沖縄の伝統手工芸の中で唯一、分業制です。※他の伝統手工芸は一人がすべての工程を行うことが一般的です。絣会館の組合員の方の案内で公園に植えられた染料の原料となる樹木(センダン、アカギなど)、共同糸張り場を見学するところから始まり、丸正織物工房、大城廣四郎織物工房では絣製造の苦労話を聞かせていただいたり、藍染染色や織りの現場も見せてもらいました。

丸正織物工房で琉球絣の逸品をみせてもらいました
大城廣四郎織物工房で琉球藍染のレクチャーを受けました
南風原の古民家(謝名家)も訪問しました
全国で2軒しかない絣の機織り機の製造工房

琉球王国の宮廷料理を名店「美瑛」で食す

 琉球料理「美瑛」は最後の琉球国王尚泰王の四男で美食家だった尚順男爵の料理に所縁のある老舗(1958年創業)です。今回の旅では琉球宮廷や士族に献上された宮廷料理を忠実に再現した極上の懐石料理をいただきました。琉球の食材を一品一品、工夫を凝らし、琉球漆器の食器に美しく盛り付けられた懐石料理は、まるで芸術作品のようでした。

琉球宮廷料理を名店「美瑛」でいただきました
琉球漆器とやさしい味のお料理に癒されました

 今回の旅では沖縄県内在住の人々にもそれほど知られていない、琉球王国時代から伝わる伝統手工芸の現場のリアルな姿を見る、たいへん貴重な機会を得ることができました。琉球王朝時代から伝わる伝統技術を継承し、未来へと伝える人々の心意気とおもてなしの心に触れる旅となりました。

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