視察レポート
視察レポート
2022年05月25日
先人たちが脈々と築き上げた天空の遺産 奥九州の秘境を訪ねて
九州支店 柴尾祐樹
新緑の5月、熊本県と宮崎県を分かつように聳える九州中央山地を訪ねました。この地域は1982年に国定公園の指定を受け、九州の背骨とも呼ばれる山深い地。その中にある秘境・五家荘(ごかのしょう)と椎葉村が旅の目的地です。
それぞれの集落には民謡や伝説が残り、この地に暮らす人々によって紡がれてきた山村文化は、まさに民俗学の宝庫。壇之浦の戦い後、九州奥地へ逃げ延びた平家落人伝説の舞台でもあり、歴史ロマンが旅心をくすぐります。
険しくも美しい自然に人々が暮らす奥九州の秘境の様子をレポートいたします。
平家落人伝説の舞台、渓谷美も楽しむ五家荘(ごかのしょう)
熊本市内から南へ約50㎞。標高1500ⅿ前後の九州中央山地を貫く道を進みたどり着くのが五家荘です。集落までの道は、鬱蒼と茂る原生林と清冽な渓流の連続。険しいつづら折りの道を行くと、容易に人を受け入れない秘境の雰囲気を強く感じさせると同時に、これだけの山奥に人が暮らしていることに驚かされます。
さてこの五家荘ですが、日本全国に残る平家落人伝説の中でも屈指の存在。壇ノ浦で平家が敗れた後、平清盛の孫・清経が豊後竹田(現在の大分県)の緒方家を頼り、九州奥地へと逃げ延びます。その緒方家の娘と結婚し、名を変えた清経の子供達がこの五家荘に移り住んだと伝えられているのです。確かに、深い山と渓谷に囲まれる五家荘の険しい地形は隠れ里にはもってこいだったに違いありません。
そんな平家落人にまつわる品々や貴重な遺品が、「平家の里」とよばれる資料館に集められていました。ここには平清盛と深い関わりのあった広島・厳島神社のそれを模した能舞台も備えており、なかなかの迫力。そして、平清経の子孫の邸宅「緒方家」が築300年を超える今でも大切に保存されており、人里離れた地で受け継がれてきた平家の歴史を感じることができます。
また、近代の暮らしに目を向けると、いくつもの渓谷が連なる五家荘の生活には、吊り橋が欠かせない存在といえます。生活路を確保するため数か所に吊り橋が設けられていますが、中でも通学路にも使われていたという「樅木の吊り橋」は必見。2つの吊り橋が重なる珍しい場所で、壮大な原生林の森と美しい渓流を臨むことがでるきる絶好の写真スポットです。五家荘では歴史ロマンだけでなく、自然美もぜひご堪能ください。
日本三大秘境・椎葉村
宮崎北西部にある、日本三大秘境のひとつ、椎葉村。九州山地の中央、急峻な山々に囲まれる場所に位置しているため、なんと村の96%が森林で、人が暮らす場所はわずか4%に留まっています。
村を訪れるにも、決してアクセス良好とは言い難いのですが、険しい土地を切り拓いて築かれた村には、棚田や石垣などの日本の原風景といえる景観が残されています。険しい立地がゆえに手付かずの自然と古の文化が今でも受け継がれているのです。
特に標高550ⅿに位置する十根川地区は、狭い斜面に張り付くように石垣が作られ、「椎葉型」と呼ばれる建築様式の横広家屋が並びます。この独自の歴史的景観は、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。
昼食は、村内にある食事処「平家本陣」にてお蕎麦をいただきました。希少な椎葉産蕎麦粉100%の麺は香り高く粘り強いコシがあり、食べ応え満点。地元の椎茸を使ったお出汁も良いお味です。季節によって様々な野菜が入った菜豆腐もいただき、椎葉の山の幸をたっぷりと味わうことができました。豪華な食事というわけにはいきませんが、山の味わいを体験するにはぴったりの食事処です。
さらに椎葉村の奥深くへ車を進めると、「仙人の棚田」と呼ばれる大スケールの風景を望む展望台があります。今日では見かけることも少なくなった棚田も、まさに“日本の原風景”。秋(10~11月頃)の実りの季節には、山々の斜面を覆うような棚田が黄金色に輝く絶景が広がるそうです.
ツアーでは、この五家荘と椎葉村に加えて、鹿児島県の大隅半島にもご案内します。エメラルドグリーンの滝壺が神秘的な秘境・雄川の滝を含め、奥九州三大秘境の旅といたしました。旅の最後には海を見渡す本土最南端の佐多岬に宿泊し、九州在住者もなかなか訪れる機会が少ない奥深き九州の魅力をご紹介いたします。
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