佳景・名景・絶景

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2021年03月20日

日本一の星空 阿智村(長野県・下伊那郡)

『旅のひろば』編集部 上釜一郎

阿智村の星空

 長野県阿智村は環境省による全国星空継続観察(現在は休止中)で、「星がもっとも輝いて見える場所」第1位に認定された村です。山々が複雑に入り組み、光害がなく町の灯りなどが山で遮られて、美しい星空が見ることができます。阿智村は、美肌の湯として知られる昼神温泉が湧き、毎年4月中下旬から5月上旬は花桃の花が一面に咲き乱れる、花桃の里でもあります。
 さて、そんな星空で有名な阿智村ですが、夜空を眺め、降り注ぐような星々を目の前にすると、ぜひ写真を撮ってみたいと思う方もいるのではないでしょうか。今回は、そんな星空の撮り方をご紹介したいと思います。

 星空の写真は、日中の写真撮影と違い、オートで写真を撮れば写るというものではありません。それなりに、技術と機材が必要になってきます。でもきちんと理屈を理解してマスターすれば応用範囲は無限です。ある意味ここからが「シャターを切ったら写った」から「シャターを切って写した」という写真への入り口になります。どんな夜景撮影もできるようになりますし、オーロラ撮影なども思う通りでしょう。ぜひ皆さんチャレンジしてみてください。

 まず準備ですが、綺麗な星空、月の明るくない(出ていない)晴れた天候は大前提。機材は、一眼レフ(長時間のシャッターや、ピントのマニュアル調整が出来ることが必要なのでコンパクトカメラは難しいです)、レンズ(広角系空のみでなく地面も構図に入れてください)、三脚(必需品)、レリーズ(あると便利)です。

 初心者の方は暗闇でもしっかり設定ができるようになるまずは明るいうちに手順をしっかり覚えてください。練習が必要です。ピント合わせですが星空は暗すぎるので、オートフォーカス(AF)は使えません。そのためマニュアルフォーカス(MF)でレンズのフォーカスリングを回しながらピントを合わせていく必要があります。方法はいろいろあるのですが、これもマスターしておいてください。わからない方は、もう一度説明書を読んでみてください。(難しいと思いますが頑張って)ピントを合わせたら、動かさないようにズームリングも一緒に固定テープなどで固定します。(手ぶれ補正はOFFで)ピントの位置はレンズをズームさせたり、AFに切り替えたりした場合も変わってしまうので注意が必要です。
 次は、カメラの設定です。オートではなくマニュアルに設定してください。そのあとは以下の設定の組み合わせで、撮影開始です。

 星の写真は、星を「点」で撮影するのか、光跡を「線」で写すのかでシャッター速度が変わりますが、点で撮る基本は、ISO1600、絞りF2.8、シャッタースピード10秒を覚えておいてください。暗いときはISO感度を上げます。シャッタースピードが10秒を超えていくとより線になって写ってしまいます。あとはお持ちのレンズによって開放値がF4のレンズならISOを3200にというように組み合わせてください。一方、線で撮る場合はシャッタースピードをそのまま長くしていきます。ただ、1時間で星の動く角度は15度ですから、長い光跡にするためには、根気が入りますよ。とにかく、基本の「ISO1600、絞りF2.8、シャッタースピード10秒」を覚えておいてテスト撮影をしてみてください。本当に初心者の方は自宅で夜景撮影の練習をしてから臨みましょう。

ぜひ星空撮影にチャレンジしてみてください
シャッター時間をかければこんな感じで光跡となって写りますが、1時間でもわずか15度。最近では、パソコンソフトで作ることができるようですがいろいろ検索してみてください。
マスターすれば、オーロラ撮影なんかも思いのままです。(写真はフィンランドにて)

▶講師上釜一郎と行く 日本撮り旅
アルプスの桃源郷 阿智村と絶景千畳敷【3日間】

【上釜一郎】プロフィール
1964年奈良県生まれ。旅行誌(マガジンハウス/ガリバーほか)からファッション誌(集英社/ COSMOPOLITAN JAPANほか)、広告写真等のカメラマンとして活躍。また、『南オーストラリアのユートピア アデレード』(弊社菊間著・新潮社)『マカオ歴史散歩』『新モンゴル紀行」(ともに弊社菊間著・新潮社とんぼの本)の写真等も撮影。現『旅のひろば』編集部で、各地の視察も行っている。過去には紛争地や、対人地雷問題の取材などの取材経験も多数。1997年にノーベル平和賞を受賞した地雷廃絶国際キャンペーン(International Campaign To Ban Landmines=(ICBL))の日本キャンペーン(JCBL)元運営委員。
現在ワールド航空サービスの知求アカデミー講座で、写真講座の講師も務める。

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