佳景・名景・絶景

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2021年03月13日

東山魁夷の世界 御射鹿池(長野県・茅野市・奥蓼科)

『旅のひろば』編集部 上釜一郎

「御射鹿池」(みしゃかいけ)をご存じですか?
東山魁夷画伯が描いた有名な作品「緑響く」のモチーフになった場所です。昔、吉永小百合さんが出演していたシャープのテレビAQUOSのCMで思い出される方もいるのではないでしょうか。完成度の高いCMでは東山魁夷の絵とダブるようにからまつ林の青の湖と白い馬、そして吉永さんが登場しています。
「御射鹿池」。いったいどこの山奥?秘境?と思われるかもしれませんが、拍子抜けするほど、車なら簡単にいくことができる場所です。重い機材を背負って山中を歩く必要もありません。実はこの池は昭和初期に作られた農業用のため池で、標高1500メートルほどのところにあり、この池で水を温め、稲作に今でも利用しているそうです。

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今回はちょっと切り口を変えて、東山魁夷画伯に敬意を込めて「東山画伯風」青の世界を写真で再現する方法です。
まず撮影場所ですが、池の横の歩道からのみの撮影となります。堤防内は立ち入り禁止で、池に近づくことはできません。レンズは35mm換算で70〜100mm程度です。普通の中望遠のズームレンズでOK。湖の映り込みを調整したい方はPLフィルタを。湖はほぼずっと逆光です。時間帯は早朝がおすすめ(水面も静かです)です。実際の撮り方は以下の手順です。

水面の具合は比較的朝がベスト
曇りの日でも十分撮影はできます
「池」というくらいですから大きくはありません。左が堤防
ここからが実際の撮影です。まずは一枚。どこを切り取るか十分構図に気にして
カメラの設定で色温度(K=ケルビン)が調整できれば3000K前後に設定し青くなるように補正。色温度が設定できなければ(電球マーク)に。フィルタをレンズに付けてもいいでしょう。もちろんあとからパソコン等で補正しても。
やはり構図が大切です。どこまで水面を入れるかはお好みで。いろいろ試して撮影し、あとで見比べたり、友人の意見を聞いてみるのも勉強になります。
こちらが完成版。PhotoshopやLightroomなどのパソコンソフトを使って、オリジナルの写真の上にコピーレイヤーを作り、そのレイヤーをぼかします。2枚重なった状態です。コラム一番上の写真が映り込みなどもきれいでベストでしょうか。
青の世界ではなくこちらは緑の世界
フィルターワークで緑を強調
仕上げはしっかりシャープにピントが合った写真とぼかしを作った写真のレイヤーの2枚重ねで完成です。

御射鹿池は四季を通して様々な表情を見せてくれます。地元で大切に利用されている農業施設ですので、環境維持に十分配慮して、マナーを守って撮影していただきたいと思います。

▶今日の御射鹿池(茅野観光ナビサイト内)

▶講師上釜一郎と行く 日本撮り旅
白馬 2つの高山植物園と蓼科・東山魁夷の風景【4日間】

【上釜一郎】プロフィール
1964年奈良県生まれ。旅行誌(マガジンハウス/ガリバーほか)からファッション誌(集英社/ COSMOPOLITAN JAPANほか)、広告写真等のカメラマンとして活躍。また、『南オーストラリアのユートピア アデレード』(弊社菊間著・新潮社)『マカオ歴史散歩』『新モンゴル紀行」(ともに弊社菊間著・新潮社とんぼの本)の写真等も撮影。現『旅のひろば』編集部で、各地の視察も行っている。過去には紛争地や、対人地雷問題の取材などの取材経験も多数。1997年にノーベル平和賞を受賞した地雷廃絶国際キャンペーン(International Campaign To Ban Landmines=(ICBL))の日本キャンペーン(JCBL)元運営委員。
現在ワールド航空サービスの知求アカデミー講座で、写真講座の講師も務める。

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