歴史ある風景
歴史ある風景
2021年05月18日
しまなみ海道は古代日本の国際ターミナル?
本社 プランニング事業本部:乗田憲一
絶景ドライブルートとして知られるしまなみ海道。広島県尾道市と愛媛県今治市を繋ぐ全長約60㎞の道路で、いくつもの島を橋でつないでいます。亀老山展望台からの眺めは素晴らしく、世界初の三連吊り橋「来島海峡大橋」、瀬戸内の海と島々の美しさは、ヨーロッパのアドリア海を彷彿とさせます。(ちなみにこのパノラマ展望台の設計は隈研吾氏です。)
観光では村上水軍や平山郁夫美術館、レモンや塩といった特産品が有名です。派手さでこれらに劣るのですが、個人的には大山祇神社がお勧めです。実は日本総鎮守なのです。
1500年程前、中国へ向いている九州が文化面で、朝鮮半島に向いている出雲が技術面で特に優れていたと言われます。その間にあったのが吉備、今の瀬戸内でした。政治的中心地は畿内(大和朝廷)でしたので、九州・出雲を繋ぐ架け橋でもありました。当時はまだ国内の道が整備されていませんでしたので、人の流れ・モノの流れは専ら海運でした。
大和朝廷にとって九州・出雲は「異国」であり、その境界に建つ吉備・瀬戸内は国境のようなものだったのかもしれません。そこに今の中国地方と四国地方とを分かつ線のようにして並ぶ、しまなみ海道は国際ターミナル的な役割を果たしていたのでは?と展望台から海を眺めていて思います。
大山祇神社の創建は594年、聖徳太子の時代。大和朝廷が日本をまとめ上げていく過程、吉備を制して海運を手中にし、出雲・九州を統合していった時代です。 大山祇神社は大和朝廷がわざわざ建てたもの。つまり互いの神々を融合させることで「異国」との融合を図ったのです。それだけ、大和朝廷にとって九州・出雲とを繋ぐ大事な場所であったのかもしれません。
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