視察レポート
視察レポート
2021年08月05日
火山の島・三宅島 ここにしかない絶景を訪ねて
東京支店 相澤 満弘
7月の連休を利用して、東京支店支店長の福島と共に、三宅島の視察に出かけて参りました。せっかくならば晴天の下と思い何度か週末の予定を見送りながら、ついに三宅島の訪問が実現。足を踏み入れると、「百聞は一見に如かず」と言わんばかりの非日常の絶景が待っていました。
特に印象に残った絶景ポイントを中心に、三宅島の魅力をご紹介します。
(※別途、福島と観光協会局長の谷井さんとのインタビュー記事もございます)
火山の島・三宅島にしかない景観を楽しむ
まずは三宅島の基本情報から。三宅島は東京の南約180キロに位置する伊豆諸島のひとつで、3番目の大きさ(一周約38キロ)です。
三宅島へのアクセスは、竹芝から1日1往復のフェリー利用が一般的で、片道6時間30分の道のりです。ツアーでは八丈島と合わせての訪問となり、往路は羽田空港から八丈島へ空路で移動し、その後、海路にて八丈島~三宅島~竹芝のルートをとります。
伊豆諸島はすべて火山島ですが、中でも三宅島は特に活発であり、近年では1962年、1983年、2000年に噴火し、直近では島中央にある雄山(800メートル以上あったが、噴火により火口が大きく陥没し、現在は標高775メートル)が噴火しました。
現在も島の中央部は「立入禁止区域」、「危険区域」として入ることはできず、海沿いに環状道路が敷かれ、5つの地域に約2400人の人々が暮らしています。
島の環状道路を反時計回りに観光名所を訪ねてゆきましたが、「三宅島=マリンスポーツの島」というイメージを持っていた私の予想は裏切られ、どの観光地を訪ねても活発な火山活動によって形成された圧巻の景観が待ち構えていました。
フェリーで一緒だった方々の多くは、ダイビングなどのマリンスポーツや海水浴、または釣り目的の方がほとんどでした。不思議に思えるほど観光地で出会うことはありませんでしたが、三宅島のジオスポットはもっともっと注目されるべき驚きの絶景です!
印象に残ったのは、1983年に起こった噴火の威力を体感できる「火山体験遊歩道」です。西方向に流れ出た溶岩流は、海沿いにあった阿古の集落を一夜にして飲み込みました。幸いにも住民は一人の死傷者を出すことなく難を逃れたとのことですが、広大な溶岩原が広がり、その上に設けられた遊歩道を歩くことができます。小学校校舎がそのまま飲み込まれている様子など、溶岩流のすさまじさが感じられます。
この噴火によって、南部にあった新澪池は1日にして吹き飛び、環状道路を挟んだ海側には新鼻新山が形成されました。今から38年前の出来事で島の景観は大きく変わったのです。まさに地球の鼓動を目の当たりにする体験でした。
大路湖は野鳥の楽園
島の南部にある大路湖は、約2500年前の噴火口にできた、伊豆諸島最大の淡水湖です。一周約1.6キロで周回遊歩道が設けられています。「バードアイランド」と称される三宅島においても、年間を通して伊豆諸島の固有種(島のシンボルのアカコッコ・ツグミの仲間)や渡り鳥を観察できるスポットです。今回の視察でも何度もアカコッコに遭遇しました(残念ながら車中であったため、シャッターは切れず)。
大路湖には桟橋が設けられており、そこから眺める深い緑の山並みは感動的。澄んだ湖面は空の色を映して、鏡面のようでした。鳥のさえずりに耳を傾けながら、ゆっくり流れる島時間を感じていただけるスポットです。
伊豆岬で見る三宅島の地層
今回の視察で最後に訪ねた場所は、島の北西にある伊豆岬です。明治期に建造された四角型無人灯台と海の景観。足を運ぶ前にはそのくらいのイメージしかありませんでしたが、実は三宅島でも最大のジオスポットです。
灯台のある海岸線はまるで月面世界に降り立ったかのように、クレーターのような特徴的な地表があらわれています。これは1万年~2500年以上前の噴火の影響によるもので、道路の反対側にはそれ以降の噴火で堆積した地層を観察することができます。伊豆大島で有名な地表切断面(バームクーヘン)と比較して小規模なものですが、三宅島の噴火史を明らかにする大変貴重なものです。
半日ほどの滞在でしたが、あまり知られていない三宅島の魅力を発見できました。東京からわずか180キロで出会える火山島の神秘。直近の2000年の噴火の影響を受けて島の人々の生活は一変し、景観も大きく変容しました。しかしながら数年にわたる全島避難を経て人々は島に戻り、火山灰、溶岩流で覆われた場所にも木々が再生するように、地球の息吹を感じられます。
三宅島の景色は1日として同じものはない、と言っても過言ではありません。皆様にもご覧いただきたい、非日常的な絶景。ぜひ、三宅島へお出かけください。
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