歴史ある風景

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2021年04月13日

日本の至宝。東京・迎賓館赤坂離宮

本社 プランニング事業本部:乗田憲一

東京・赤坂にある迎賓館赤坂離宮。コロナ禍で登場する場面が少ないですが、トランプ前大統領と安倍前総理との首脳会談の様子は記憶に新しいところかもしれません。

安部前首相とトランプ前大統領の共同記者会見が行われた花鳥の間©内閣府

ここは明治42年(1909年)、東宮御所として建設。当時の日本の建築、美術、工芸分野の総力を結集した近代洋風建築の金字塔と私は感じています。昭和49年(1974年)、日本の迎賓館として華々しく復活。平成21年の大改修を経て国宝となりました。

迎賓館はよく鎧兜や日本刀など日本の意匠が刻まれていることが語られますが、私が注目しているのは、欧州建築の特徴を上手く融合させた外観の美しさです。

前庭から見た迎賓館はベルサイユ宮殿を思わせるつくり。中央に対し左右に突き出した両翼の建物はまさにそう。ですが中央と両翼を繋ぐ部分は美しい流線型です。これはベルサイユにはなく、ローマのサンピエトロ大聖堂の回廊を思わせる美しく優しい楕円です。

両翼が美しい滑らかな曲線を描く姿はまさに西洋建築のようです。©内閣府
華やかな宮廷文化を体現したベルサイユ宮殿。
バチカン・サンピエトロ大聖堂の回廊は天国の鍵を表しているかのようなカーブを描いています。

主庭側から見るとその印象は一変。直線に配置された中央と両翼は力強い印象があり、ずらりと並んだ柱がそれを強調します。船底のような屋根は北イタリア・ヴェネチア周辺で見られる貴族のヴィラとよく似ています。そして、その前に配された噴水は逆に優美で、シェーンブルン宮殿を彷彿とさせます。さらに面白いのは迎賓館と噴水の間には日本の松が配されていて、これが意外と絵になるのです。

主邸側から見た赤坂迎賓館はまた違った印象を受けます。噴水の奥には松が植えられ、和風のテイストが加わります。©内閣府
建物の前に噴水という構図はシェーンブルン宮殿にそっくり。
船底屋根が印象的なイタリア・ヴィツェンツァのバジリカ

挙げたらキリがないのですが、日本人の感性の豊かさ、本質を見抜き、見事に融合させる巧みさを訪ねる度に感じます。欧州建築の歴史を垣間見られると同時に、日本の至宝です。

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