町並み百選

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2021年05月13日

知っているようで知らない 古都鎌倉の町並み

東京支店 福島伸彦

関東にお住まいの方にとっては「ちょっと遊びに行く、勝手知ったる鎌倉」。しかし、訪ね方や見方を変えると沢山の発見があり、それをお伝えしたく、今週はちょっとお願いをして、記事を書かせてもらいました。

古都鎌倉の魅力を知るには、まずは横浜と金沢文庫の観光がお勧めです

古都鎌倉の成立の背景や歴史を分かり易く説明してくれる博物館で最も分かり易いものの一つは横浜にある「神奈川県立歴史博物館」。建物そのものが昔の銀行を改装したノスタルジー溢れる魅力的なものですが、ここでご覧いただきたいのが、常設展のテーマ2:中世「都市鎌倉と中世びと」です。鎌倉、と聞くとすぐに1192年に鎌倉幕府成立、と思いがちですが、ここの常設展には平安時代中期から兵(つわもの)と呼ばれる軍事貴族が、当時の中心地であった西国より東国に反乱鎮圧のために派遣され、やがて東国に拠点を形成し、勢力を築き上げ、ついには東国武士団を率いて源頼朝が幕府を開くまでを分かり易く展示しています。

鎌倉の歴史を分かり易く展示する、鎌倉歴史文化交流館。2017年開業で展示品も新しく、見やすいです。
武家全盛の鎌倉時代だけではなく、古代から現代までを歴史順に分かり易く展示しています。
歴史が古いだけあって、鎌倉では今でも住宅工事などをすると沢山の出土品が発掘されるそうです。写真は中世の櫛。

もうひとつ、是非訪ねていただきたいのは、神奈川県立金沢文庫です。現在の金沢文庫は金沢北条氏ゆかりの地。一見、鎌倉幕府との関連が見えませんが、ここには鎌倉時代の前半の歴史が記載された東鑑(あずまかがみ)という書物の後の時代の貴重な資料が残されています。元々は金沢北条家の菩提寺として称名寺(しょうみょうじ)が築かれ、そこには貴重な鎌倉時代後期の書物や手紙など2万点近くあったのですが、それが神奈川県立金沢文庫に移されております。書物のみならず、運慶作の迫力ある仏像など中世美術の宝庫がありますので、是非ご覧いただいて、鎌倉時代に思いを馳せてください。

鎌倉時代後期、北条氏が実権を握った後の時代の歴史が分かり易く展示される県立金沢文庫。鎌倉を訪れる前にお訪ねください。
県立金沢文庫に隣接する称名寺(しょうみょうじ)の仁王門。
称名寺の美しい本殿と庭園。金沢文庫が所蔵する国宝を含む約二万点の文化財の大半は称名寺からの寄贈です。

若宮大路と周辺の散策、昔の鎌倉に触れる

鎌倉成立の歴史や背景などを学んだあとは、いよいよ鎌倉へ。平安時代末期の1180年に「以仁王(もちひとおう)」が諸国の兵士に「平氏討伐」の命を下したことに呼応して源頼朝が伊豆で挙兵、最終的に平氏を滅ぼし、武家政権が始まります。 頼朝が幕府を置く地として選んだのは鎌倉。東・西・北の三方を山で囲まれ、南は海に面したこの地は天然の要害でした。鎌倉時代になってから、周辺との交流をするために、山の尾根を垂直に切り下げて道を作り出した7つの「切通」が作られています。

現在も現役の刀鍛冶(24代目)が活躍する正宗工芸美術製作所。北条氏以来700年の歴史を持ちます。
「古我邸」として知られる古い個人邸宅。鎌倉を歩くと中世から大正、現代まで様々な街の表情が楽しめます。

まだあまり開拓が進んでいない鎌倉でしたが、頼朝は由比郷鶴岡にあった八幡宮を現在の鶴岡八幡宮の地に移した後、まず鶴岡八幡宮の参道の作成に着手します。それが現在も鎌倉のメインストリートとして残る「若宮大路」です。建設当時の道幅は33メートルもあり、現在よりもだいぶ広く、また長さも倍以上もある立派なものでした。道路を建設した当初は湿地帯の中を切り開いていた為、両脇に堀も作って水を逃し、更に石を積んで周囲の地面よりかさ上げする工事が行われました。現在も段葛(だんかずら)と呼ばれている両脇の車道より一段高くなった中央の歩道が残っています。

源頼朝は京都の町をイメージして鎌倉を切り開いたと言われており、今の地図を見ても若宮大路を中心としてざっくりと碁盤の目のように道と家並みが広がっていることが分かります。

若宮大路の二の鳥居と狛犬。時節柄大きなマスクをしております。
二の鳥居近くの段葛(だんかづら:道)。道幅が広く、大人10人程が横に並んで歩けます。
三ノ鳥居近くの段葛。半分ほどの広さになっております。遠近法を利用して道を長く見せる工夫だったと言われています。
歴代の権力者の庇護を受けてきた鶴岡八幡宮。

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