町並み百選

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2021年01月28日

奈良橿原・今井町の町並み

プランニング事業本部 吉田義和

今回は、江戸時代に「海の堺 陸の今井」と呼ばれた商人の町「今井町」をご紹介します。

近鉄大和八木駅のお隣、八木西口駅を出てすぐ。飛鳥川に掛かる赤い橋を渡ると、江戸時代にタイムスリップしたかのような街並みが現れます。

要塞のような商業都市

何の変哲もない地方都市の風景に突如現れる江戸の街並み。近年そのギャップが話題と なり、人気の観光エリアとなりつつある今井町。その成り立ちは 寺内町(じないまち ) と言われるもので、戦国時代、浄土真宗本願寺派の稱念寺を中心に一向宗が堀で囲ん だ要塞都市を築き上げました。同じように寺内町として栄えた街には、大阪の富田林があります。今井町は当時一向宗に敵対していた織田信長と争い、その後の和睦には織田信長 自らが訪れ、和睦の証に日本刀「備前長船」を下賜したという伝説も残されています。和睦後は商人町として商人たちが自治を任され、堺とともに近畿地方有数の商人町となった のです。現在でも500棟ほどの町家が残り、その数は日本一とも言われています。

直角に仕切られた町割りのようで、所々道を鍵型にずらして作られている今井町 。攻め込まれた時に進軍を阻む仕組みです。
周囲には近代建築もなく、江戸時代の姿そのままに街並みが残されています。

メディアでも多く取り上げられる今井町

整然とした江戸時代の町並みが残る今井町は、多くのメディアにも取り上げられています。歩いていると、どこかで見たような風景や街並みに出会えるのも楽しみです。例えば、本木雅弘と宮沢りえが出演した「伊右衛門茶」のCMは、有形文化財の米谷家の縁側が使われました。金具や肥料を取り扱った商家で、大きな土間や5つ並んだ竈が印象的。他にも建設会社のCMに使われた恒岡醤油など、絵になる場所が豊富。近年は古民居を改装したカフェも増えてきています。それでも、今井町はいわゆる観光用の商店が殆どなく、町家にも実際に人々の暮らしが息づいています。江戸時代の町並みを残しながら、実際に人々が暮らす「生きた」街並みなのです。

伊右衛門茶のロケ地となった米谷(こめたに)家住宅。
古民家を利用したおしゃれなカフェも増えてきました。
昔ながらの杉樽で醤油づくりをする恒岡醤油もCMのロケ地に。

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