佳景・名景・絶景

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2021年10月23日

北の国は冬がいちばん美しい-第2回

『旅のひろば』編集部 上釜一郎

 

雪景色の白川郷

 「北の国は冬がいちばん美しい」と題し、前回は北海道の美瑛や、流氷、東北、山形の蔵王の樹氷など、自然を中心にご紹介しましたが、前回に引き続き第2回目は、雪深い人里風景です。今回は、ワールド航空サービスの添乗員や、ツアー企画を作っているプランニング事業部の社員に聞いてみました。わたしも含め以下がみんなの一致した冬の美しき日本の里風景です。
 

・世界遺産 白川郷(岐阜県)

1995年にユネスコ世界遺産に登録された「合掌造り集落」は大小100棟余りの合掌造りが数多く残り、また今でもそこで人々の生活が営まれている集落として、日本の原風景である農村文化・生活・暮らしを深く感じることができる「日本の故郷」のような場所です。今は外国人の姿はありませんが、「最も日本を感じさせる場所」として日本人のみならず外国人にも人気です。いろいろな季節に訪ねてみて欲しい場所ですが、やはり合掌造りに似合うのは冬ではないでしょうか。

五箇山の雪景色

・世界遺産 五箇山(富山県)

五箇山は、白川郷に近い富山県の南西端、庄川沿いに位置します。立ち並ぶ合掌造りの建物、のどかな山村風景、どこか懐かしい小さな山里が点在します。その中で、相倉集落と菅沼集落が岐阜県の白川郷と一緒に世界遺産に登録されました。白川郷よりは有名ではないかもしれませんが、その佇まいは全くひけをとりません。というか比べるものではないですね。夜のライトアップも雪の中で一段と引き立ちます。五箇山は民謡の宝庫として知られ、「こきりこなどの民謡がうたい踊りつがれ、時代を越えて息づいています。また、和紙作りでも有名で五箇山和紙、国の伝統工芸品にも指定され、全国的にも注目されています。

ちなみに、白川郷と五箇山、同じ合掌造りでも、屋根勾配や玄関の位置に違いがみられます。湿気が多く重たい雪が降る五箇山は、白川郷と比べ雪を落としやすいより急な屋根になっています。また、玄関が白川郷では屋根の横、五箇山では妻側(正面)にある家屋が多いのが特徴です。2か所を一緒に訪ねてその違いを感じてみるのも合掌造り集落を訪ねるちょっとした楽しみになるのでは。

左が白川郷の「和田家住宅」。入り口が家に対して横にあります。一方、右が五箇山の住宅。入り口が妻側にあります
ちなみにこちらが合掌造りの中です。写真は白川郷「和田家住宅」。(写真左)2階は養蚕の場所で、1階(右)には囲炉裏が切ってありその熱も養蚕にいかしています

角館の武家屋敷

・角館 重要伝統的建造物群保存地区(秋田県)

東北の小京都と呼ぶのにふさわしい風情を誇り、深い木立と重厚な屋敷構えが今もなお藩政時代の面影を残す町、角館。春は桜の名所として有名ですが、冬も格別の風情を感じさせてくれます。この町は1620年、角館地方を治めていた芦名義勝によって造られました。角館の町並みの特徴は南北に延びる町の中央に土塁を築いた「火除け」を設け、武家居住区の「内町」と町人居住区「外町」とに分断したことです。見所の武家屋敷は生活の場所であると同時に、ひとつの城郭をなしていて実に絵になる風景です。

秋田の郷土料理といえば「きりたんぽ」その起源は諸説いろいろですが、寒い冬には格別。おいしい日本酒と比内地鶏、体も心もあったまる北国秋田の最高の一品です。

大内宿。見晴台があって絶好の撮影スポットです。小高い丘になっています。なだらかな階段と急な階段がありますが、どちらから行ってもつながっています。くれぐれも滑らないような靴で登ってください。

・大内宿 重要伝統的建造物群保存地区(福島県)

江戸時代の面影そのままに茅葺屋根の民家が街道沿いに建ち並び、実際に人々が生活しています。大内宿では宿場の景観を未来に引き継いで行くために、住民憲章を作り「売らない・貸さない・壊さない」の3原則を守り景観の保存に取り組んでいて、同時に伝統的な屋根葺きの技術習得、継承にも全員で取り組んでいるそうです。冬には雪灯籠に照らし出される幻想的な雪まつりなどのイベントが行われ幻想的な「大内宿」を見せてくれます。

大内宿の名物は「ねぎ蕎麦」。箸の代わりに一本ねぎを使い、そばを食べる独特な文化です。長野県の高遠そばが会津の地で広まった事から始まりと言われ「ネギのように細く長く、白髪の生えるまで長く生きる」というお祝いの意味も込めて、ねぎを添えるようになったそうです。

只見線の第一橋梁。三島町の道の駅「尾瀬街道みしま宿」から徒歩で向かいます。何か所かビュースポットまで登ります。風景写真は写真の腕前もさることながら、足腰も鍛えないと「いい写真」が撮れません。ここは比較的簡単な登りです。

・冬の雪景色番外編 JR只見線(福島県)

北国の鉄道の中でも、社員から一目置かれているのが福島県の会津を走る只見線。現地からの情報ではそろそろ紅葉が色づき始めたそうで、この十月の末から11月の初めにかけて見頃を迎えると。秋もいいのですが冬もまた絶景です。東日本大震災、さらに追い打ちをかけた2011年7月の新潟・福島豪雨。只見線は鉄橋の流出や土砂崩れによる線路の崩壊など、甚大な被害を受けました。特に会津川口・只見駅間は被害が大きく、只見川に架かる第5、第6、第7の橋りょうが流出したほか、第8只見川橋りょう付近でも盛土の崩壊などが起きました。災害後、JR東日本の懸命な復旧作業により、只見線の大部分で運行が再開されましたが、被害が特に大きかった会津川口・只見駅間は現在でも不通となっています。(現在、2022年度中の運行再開に向け、復旧工事が行われています。)見所は第一橋梁を行く只見線。三島町の道の駅「尾瀬街道みしま宿」からすぐのところにビュースポットがあって、「撮り鉄」ファンはそこから狙うのがおすすめです。

 こちらは第4橋梁

いかがでしたか?まだまだ絵になる日本の冬景色はたくさんあります。機会があればご紹介しますのでご期待ください。

【上釜一郎】プロフィール
1964年奈良県生まれ。旅行誌(マガジンハウス/ガリバーほか)からファッション誌(集英社/ COSMOPOLITAN JAPANほか)、広告写真等のカメラマンとして活躍。また、『南オーストラリアのユートピア アデレード』(弊社菊間著・新潮社)『マカオ歴史散歩』『新モンゴル紀行」(ともに弊社菊間著・新潮社とんぼの本)の写真等も撮影。現『旅のひろば』編集部で、各地の視察も行っている。過去には紛争地や、対人地雷問題の取材などの取材経験も多数。1997年にノーベル平和賞を受賞した地雷廃絶国際キャンペーン(International Campaign To Ban Landmines=(ICBL))の日本キャンペーン(JCBL)元運営委員。
現在ワールド航空サービスの知求アカデミー講座で、写真講座の講師も務める。

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