視察レポート

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2023年08月09日

【視察レポート】暑い夏にとっておきの”涼”をお届けします。6年ぶりの再開、水の大絶景「九寨溝」視察報告

添乗中、同行しているお客様に「一番のお勧めはどこ?」と聞かれることがよくあります。そんな時に私がお返しする答えが「九寨溝」です。世界を代表する水の絶景、九寨溝は私が初めて添乗した思い出の訪問地でもあり、以後何度訪れても、初めて訪問したときと同じようにその美しい風景に見惚れてしまう本当に好きな場所です。ただ、残念なことに2017年8月に九寨溝を震源とする大規模な地震があり、2020年まで閉園を余儀なくされていました。そしてその後のコロナ禍の渡航制限もあり、実に6年にわたってツアーを実施できないでおりました。海外旅行が正常に戻りつつある今、ぜひ皆様に再び九寨溝の旅をご案内したい、とイの一番で九寨溝に飛んで参りました。

東京支店 吉田義和

空路から陸路へ 変化したアプローチ

まずこの6年で変わったのが九寨溝へのアプローチです。以前は九寨溝空港を利用して成都から空路での訪問も可能でしたが、九寨溝空港が九寨溝まで2時間強かかること、また新設された成都の新空港が成都市街から1時間半もかかることから、陸路での移動が主流となり、成都-九寨溝便は1日2便ほどに減便。成都から九寨溝を結ぶ国道も整備が進み、1日での訪問が可能となりました。しかしかつてはまる2日ほどかけて移動していた陸路、本当に1日で行けるのか、、と心配になり、現地の長距離バスに乗って移動してきました。朝9時成都の街を出発したバスは、途中2時間半ほどのところにある汶川まで高速道路です。汶川あたりからは成都の中央を流れる岷江(みんこう)沿いのダイナミックな峡谷を縫うように走ります。途中途中、以前はなかったトンネルが整備され、道の状態も良好です。途中、岷江が堰き止められた畳渓海子などで休憩を取りながらバスはどんどん進み、19時には九寨溝に到着。たしかに長旅ではありましたが、1日で九寨溝に到着することができました。途中、高速鉄道の高架工事を行っている場所もあり、今後さらに移動手段が変化していきそうな九寨溝です。ご旅行では移動のご負担をさけるため、特に時間のかかる往路は途中の川主寺での宿泊を入れております。

車窓に広がる岷江と渓谷
国道も整備され移動も快適に
途中には羌(チャン)族の村の様子もご覧いただけます
九寨溝近くの川主寺を経由し成都から蘭州へ抜ける予定の高速鉄道

新展望台も誕生!九寨溝はいまも変わらず美しい姿を見せてくれました。

翌日は早速九寨溝へ。2017年の地震ではいくつかの海子(湖)が被害をうけたと聞いていたので心配しながら入場しました。入口から(良い意味で)以前とは全く違う姿に変わっており、内部も全く変わってしまったのか?と思いましたが、バスで九寨溝の渓谷を登ってゆくにつれ、現れるのはかつて見た美しい湖や滝の姿。幸運にも訪れた日は晴天で風もなく、現世を映す鏡のような九寨溝ならではの投影も見ることが出来ました。この日は乗り合いバスで九寨溝の上流である熊猫海や珍珠灘、珍珠灘瀑布、五花海と歩き、その後下流部分の樹正群海から臥竜海、火花海と進みました。2017年の震災では特に下流の火花海あたりが被害をうけたと聞いていましたが、水の量も湖の状態も昔の通りに戻っていましたので、ひと安心でした。また、嬉しいことにかつてはなかった新しい展望台も完成していました。特に上からの景観が美しい樹正群海を見渡す展望台がオープン。少し階段は登りますが、かつて写真家が山の上から撮影していたような写真をご自身で撮影することが可能になりました。特に木々と湖のコントラストが美しい場所ですので、秋の風景にはぜひご期待ください。

九寨溝の中でも水の色の変化が美しいとされる五花海
五花海の投影
樹正群海とチベット村の樹正寨 村の右端が新展望台
新展望台から樹正群海を俯瞰できます
2017年震災直後の火花海
現在の火花海

観光客はまだまだこれから。今のうちの訪問をお勧めします。

今回訪問した7月の中旬は、中国の夏休み期間中に当たるため、以前のような大混雑を覚悟していましたが、もちろんある程度の人手はあるものの以前のような歩きづらさを感じるほどの混雑は全くなく、肩透かしを食ったような感じでした。特に通常混雑するハイライトの五花海も、かつての混雑はなし。再開にあたって同行してもらった現地パートナーの呉さんも「こんなの見たことないよ」としきりに湖ではなく人のいない歩道を撮影していました。現地の資料によると、九寨溝の訪問者数のピークは2015年の509万人、翌2016年の500万人でしたが、現在はコロナ明けで宿の数も少なく、高速道路や鉄道などの整備が他の地域に比べ遅れていることからかつての10分の1程度になっているとのこと。外国人観光客も数人観たのみでした。もし高速道路や鉄道の開通が進めばかつての混雑が予想されるので、ぜひ今のうちの訪問をお勧めします。今回の視察では一般観光客と同様の乗り合いバスを利用しましたが、ツアーでは以前から好評のチャーターバスを利用します。チャーターバスを利用することで、乗り合いバスの下車時間と観光時間をずらしながらより静かな環境で臨機応変に観光を楽しめるようにしております。

パートナーガイドの呉慶中さんと吉田   記念撮影もゆっくり撮ることが出来ました。
かつては人で溢れていた五花海の橋
ツアーではグループ専用のチャーターバスで臨機応変に観光します

絶景の地 黄龍も2つの嬉しい進化がありました。

今回は時間の関係で訪問できませんでしたが、秋のツアーでは九寨溝と並ぶ絶景の地、黄龍も訪れる行程としています。黄龍に関しても、現地で確認したところ2つの嬉しい進化を遂げていました。まずひとつは黄龍へのアクセス。かつては4,000mを越える峠道を越えないと訪問できなかった黄龍に、2020年、九寨溝ー成都間の国道脇からのびるトンネルが完成。分岐となる川主寺という街からわずか30分ほどで訪問が可能となりました。かつては1時間20分ほど。峠に雪が降ると訪問できないなど不便な場所でしたが、非常に便利なアクセスとなりました。そしてふたつめは黄龍風景区内に設置された電気カートです。黄龍にはロープウェーが設置されていたのですが、景観保存の観点からロープウェーの下車駅から黄龍の本道まで2キロもあり、往復徒歩で観光するのとあまり変わらない状況でした。昨年このロープウェー駅から本道までの区間に電気カートが導入され、歩く距離や負担が減ることになりました。3,000mを越える高地にある黄龍の観光にとって、これほど嬉しい進化はありません。ご負担少なく、ゆっくりと美しい本道の見学に集中していただけるようになりました。

ロープウェイとカートを利用してらくらく本道へ。
黄龍のハイライト 五彩池へも気軽に訪問できるようになりました

四川省といえばパンダの故郷 愛らしいパンダも見逃せません

四川省といえば、日本でもお馴染みパンダの故郷です。四川省には成都、臥龍、雅安、都江堰と4つのパンダ基地がありますが、世界最大の規模を誇るのが成都郊外にある成都ジャイアントパンダ繁育研究基地です。ここには200頭を越えるパンダが飼育、研究されており、その一部が一般にも公開されています。日本最多のパンダを飼育する和歌山のアドベンチャーワールドはこの基地の日本支部となっており、今年2月に3頭のパンダが里帰りしたというニュースを聞き覚えのある方もいらっしゃるかと思います。さて、この基地、一番の見どころは成年パンダだけでなく、幼いパンダの飼育の様子も観察できる所です。日本では上野のシャンシャンや双子のシャオシャオ・レイレイの誕生が話題を呼びましたが、成都パンダ基地では昨年15頭のパンダが誕生。出産は主に夏場のため、秋には生後3~4か月の可愛い姿がご覧いただけるかもしれません。(公開はその時の状況によります。)今回は幸運にも6月に生まれたパンダの姿を見ることが出来ました。

成都ジャイアントパンダ基地では毎年15~20頭のパンダが生まれます。
6月に生まれたばかりの赤ちゃんパンダも公開。秋には可愛く動き回る姿を見せてくれるかもしれません。

「辛い」だけじゃない 四川料理をお試しあれ

四川省の旅というと、つきものなのが四川料理。辛いのが苦手なんだけど不安。という方もいらっしゃるかもしれません。私も辛すぎるのは苦手な方なので、現地でパートナーの呉さんと色々話してきましたが、呉さん曰く「四川料理で”辛い”料理は3割くらい。他にも色々な味がある」とのこと。今回は試しに四川の人気店「陳麻婆豆腐店」で色々な四川料理を試してみました。もちろん代表的なのはこの店が発祥(最初につくったのは成都の北門近くで豆腐を打っていた陳お婆さん)の「麻婆豆腐」。相変わらず花椒(ファージャオ)の効いた痺れる辛さです。次に「宮保鶏丁」。鶏肉とピーナツとネギを甘辛く炒めた四川の代表料理です。唐辛子は入ってますが、鶏肉に絡まった甘さの方が強く、マイルドな味わい。柔らかな鶏肉とネギとピーナツの異なる食感が癖になります。そしてスープは「開水白菜」を。開水(カイシュイ)とは中国語でお湯のことで、直訳すると白菜とお湯です。たしかに見た目もお湯の如く無色透明なのですが、「鶏肉や野菜などをじっくりと煮込んで、漉しに漉してできたのがこの透明スープ。手間がすごいんだよ。」とのこと。たしかに飲んでみるとさっぱりとしていながらも深みのある味わい。こんなさっぱりした四川料理もあるんだと目から鱗でした。他にも成都では本場の坦々麺や包子など、成都伝統の小料理もご用意するよう調整してきました。

麻婆豆腐発祥の店「陳麻婆豆腐」は四川で外せない味覚のひとつです。
さっぱりとした開水白菜も四川料理のひとつ

来年までは待てないと、木々が色づきひとき美しい風景が楽しめる秋にツアーを設定しました。ぜひ、私の大好きな九寨溝、一度は訪れていただければ幸いです。

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