視察レポート

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2023年08月15日

【視察レポート】【百済文化祭を訪ねる 百済の古都探訪の旅】 扶余と公州の見どころ再発見してきました

ソウル市内や仁川空港からは約2時間のドライブ。韓国中西部の忠清南道は心洗われる田園風景が広がっています。そこに位置しているのが、韓国の古代、三国時代を高句麗と新羅と共に形成した百済の古都です。百済と言えば、渡来人として多くの人が日本に大陸の文化を伝え、白村江の戦いにて大和朝廷が援軍を送るも大敗する等、日本史上でも深い関係があることは触れるまでもありません。

この度は、百済文化財団の招待を受けて、好評募集中の「百済文化祭を訪ねる 百済の古都探訪の旅」で訪れる、公州と扶余の名所を改めて視察してきましたのでレポートします。

札幌支店 真島 智

日本が生誕地である百済の賢王 武寧王 公州に眠る

「日本書紀」の記述によると、時の百済王の妊婦が倭国へ移動中、今の佐賀県・加唐島にて産気づき、母子ともに百済へ戻った、との逸話が残されています。その子こそが武寧王。百済は漢城(今のソウル。数少ないソウルの百済の遺跡、夢村土城跡地をツアーでは初日にご案内)に都を置いていた時期もありましたが、高句麗に押され公州に遷都し、武寧王の時代には公州を拠点に時の中国王朝と交流する等、隆盛の時を迎えていました。尚、公州は当時、熊津という名で呼ばれていました。雌熊と人間の男性との悲恋とも言える伝説が残ることから「熊」の名が地名になり、まるで日本の昔話にもありそうで、どこか親しみを覚えます。

世界遺産の武寧王陵の発見はドラマチックでした。1971年夏、大雨に見舞われた丘陵で排水工事が行われていたところ、多数のレンガでできた遺構が姿を現し、墓室は盗掘されていない状態。入り口部分に設置されていた石板には、はっきりと武寧王の墓であるという記載が残されていたのでした。また、黄金の飾りや、緑色をした巨大な靴などの副葬品は圧巻で、驚くことに木棺は日本にしか自生していない高野槙で作られていました。その出生だけでなく、埋葬される棺にも日本との関連を感じさせてくれる武寧王。王陵自体は非公開ですが、付近に王陵内部を再現した展示施設があり、木棺や副葬品の実物は、国立公州博物館で見ることができます。今年は武寧王の没後1,500年。百済文化祭の主役の1人は武寧王で間違いないでしょう。

高野槙で作られた武寧王と王妃の木棺
鮮やかな緑色が残る、巨大な靴の副葬品
国立公州博物館。その前に置かれた墓を守る「鎮墓獣」はユーモラス
武寧王陵をイメージした展示室への入り口

つわものどもが夢の跡 百済の残照を扶余で感じる

30年前のことでした。滅びの運命を辿った百済の高い文化性は、現代にはもう残されていない面が多いのですが、幸いにも忠清南道の片田舎の棚田から、金銅の大香炉が発掘されました。(実物は国立扶余博物館で間近にご覧いただけます)謎多き百済ですが、この大香炉から感じられる美的意識は驚異的で、香炉の内側には実際に香を炊いた痕跡が残り、高い芸術品でありながら実用性も備えていたことも驚きでした。間近に眺めてみると小さな人々の異なる動きが彫られていますので、ぜひじっくりご覧いただきたいと思います。

今回の韓国視察団のメンバーの1人に仏教ジャーナリストの方がいて、印象的であったコメントを聞きました。近江の百済寺など、百済の人々との繋がりが深い古刹は日本国内に少なくありませんが、法隆寺、東大寺など、時代が重なる数多くの名刹の境内構造は、扶余の世界遺産である定林寺などに源流部分での明らかな関係性が感じられるとのことでした。当然のことかもしれないですが、1,500年前の人々と文化の交流にロマンを感じました。

百済の美の傑作、金銅大香炉
世界遺産の定林寺
百済文化祭の総監督を務めるキム・ソンチョルさんより説明を受けました
百済文化祭の開催予定地、百済文化団地の広場
百済文化団地を見下ろす丘より。伝統家屋もご覧いただけます
2泊する扶余のロッテリゾート。祭典開催中の貴重な客室を確保しています
扶余は栗が名産です。地酒のマッコリも栗風味
扶余のお土産には、蓮の実入り饅頭がお勧めです
視察団の現地受け入れ代表のイ・ハンソクさんと真島

百済文化祭にご期待ください

百済文化祭では、マルチメディアを利用したショー、公演プログラム、展示プログラム、体験プログラム、等、様々な楽しみ方がございます。この度のツアーではその全てを味わうことはできませんが、スケジュールに沿ってご案内いたします。

目下、日韓両国は友好関係構築への新たなステップを踏む道半ば。古代からの隣国との文化の交流を感じに、華やぐ祭典が開かれる時期に訪れてみてはいかがでしょうか

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