視察レポート

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2023年05月29日

【視察レポート・韓国第3弾】地域名士が暮らす慶尚北道 韓国伝統集落を訪ねて

〈九州支店:光武 千穂〉

「屋根のない博物館」とも称される慶尚北道は、高麗や朝鮮時代におこした両班(貴族)の村が多く残る地域です。視察の後半は、韓国南東部にある慶尚北道へ。慶尚北道観光局提供の情報をもとに、知る人ぞ知る伝統韓屋集落を訪れました。日本人がまだ知らない地方の魅力をご紹介します。

【英陽・トゥドゥル村】韓食文化を世界に伝える宗家女主人に出会う

今回の韓国視察で最も楽しみにしていたことの一つが、曺貴粉さんとの対面でした。トゥドゥル村に暮らす曺貴粉さんは、1600年代から続く石渓宗宅の13代目宗婦(女主人)です。由緒深い宗家には家ごとの「伝統の味」があり、そのレシピは門外不出とされています。代々宗婦だけに口承することが主流ですが、石渓宗家では『飲食地味方』という料理本が受け継がれてきました。著者は先代女主人・張桂香(1598-1680)。いまから約350年前に書かれた料理本は、当時の食文化を知る貴重な資料です。女性が書いたアジア最古の料理本は、その歴史的価値が高く評価されています。 

著者・張桂香(1598-1680)
アジア最古の女性が書いた料理書「飲食地味方」
トゥドゥル村視察時 写真右より名古屋支店・柴崎、九州支店・柴尾、曺貴粉さん、九州支店・光武、現地手配会社・趙さん

曺貴粉さんは、石渓宗家に伝承されてきた「飲食地味方」を再解釈し、研究してきました。その過程で、“祖先が残した味”を現代に合う形に昇華させ、多くの人に伝える活動をしています。2015年には世界的フォーラムで各国の首脳陣に料理を提供したことも。トゥドゥル村では、曺貴粉さんの料理を味わう食膳体験ができます。唐辛子が入る前の時代につくられたレシピは、醤油やごま油などを基本とした優しい味で、日本人の舌にも合います。「せっかくなら食膳体験だけではなく、飲食地味方の史料や村内もゆっくり見て欲しい」という曺さんの勧めもあり、ツアーではトゥドゥル村内の韓屋様式の宿泊施設に1泊することにしました。トゥドゥル村で「飲食知味方」の奥深さをぜひ体感ください。

飲食地味方や著者の張桂香に関する史料も多く残されています
トゥドゥル村の韓屋様式の宿泊施設
丘の上に立つトゥドゥル村 英陽郡提供

【栄州・ムソム村】朝鮮時代にタイムスリップしたかのような風情ある田舎風景

車で来るならぜひ訪ねて欲しいと現地の観光局がおすすめしてくれたのが、栄州のムソム村です。村の最寄りに停まるバスの本数も少なく、公共の交通機関だけではなかなか訪れにくい場所なのだそうです。栄州市内からは車で約30分、水の上に浮かぶ蓮華のような形の村が見えてきます。三方を川で囲まれた村には、一本の木道橋が架かっています。村が築かれた朝鮮時代には、村を行き来する唯一の道でした。地元の人々は今でも川の氾濫で橋が壊れるたびに、新しい橋を築き当時の風景を守っています。村内は民俗文化財に指定された家屋がいくつも残っており、朝鮮時代にタイムスリップしたかのような風情ある雰囲気です。現在は約50世帯が暮らしており、村民の平均年齢は70歳ほど。こういった地方の小さな集落では高齢化が進み、伝統韓屋の風景が消えつつあるそうです。ぜひ今のうちに足を運んで、見ていただきたい風景です。

川に囲まれた村には木道の一本橋がかかります
重要文化財が多く残るムソム村 当時の姿のままの伝統家屋
韓国の歴史ドラマに登場しそうな素朴な村です

今回、現地の方もお勧めする紅葉が綺麗なの秋の季節にツアーを設定しました。上記の2つの村と合わせて、エリザベス女王も訪ねた世界遺産・河回村(慶尚北道)や自然豊かな韓国北部の江原道の見どころと合わせてご案内します。

雪岳山国立公園の入口にあるケンジントン・スター・ホテル(イメージ)
韓国随一の紅葉の名所・雪岳山(イメージ)
世界遺産の河回村(慶尚北道)
風光明媚な海岸線を走る海列車 ©韓国観光公社

全3回にわたって韓国の視察レポートをお届けいたしました。実際に現地を訪れ、私たちも新たな韓国の魅力を十分に肌で感じることができました。新しい韓国の旅をぜひご注目ください。

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