黒石市は青森県中央部に位置し、十和田八幡平国立公園の北西の玄関口にあたる町です。
この町の中心を南北に走るのが「こみせ（小見世）通り」です。ここは重伝建にも登録され、さらに「日本の道百選」にも選ばれています。
この通りは江戸時代から残る伝統的建造物とアーケードが風情ある景観を紡ぎだしています。

ここでは「ひさし」のことを「こみせ（小見世）」と呼びます。夏の日差しや雨、そして何より冬の降雪や吹雪から人々を守ってくれるのです。等間隔の柱がひさしを支え、石畳の歩道を歩けば全く雨や雪に晒されることなく町を歩くことができます。現代のアーケード街に通ずるものが江戸時代からあったことに驚きです。しかもそれがほぼ完全な形で残っているのです。
通りを歩くと巨大な杉玉を飾った造り酒屋の中村酒造や鳴海酒造、そして江戸時代中期の建設といわれる高橋家住宅など風格のある建物が目白押しです。

保存地区は約300メートルほどの短い区画ではありますが、その分密度が濃く見応え十分です。全国でも類を見ない「こみせ」をぜひ歩いてみてください。

ちょっと足を延ばして　国指定名勝「盛美園」

黒石のお隣、平川市にある盛美園は、津軽地方に数多くみられる大石武学流の造園を代表する庭園として、国の名勝に指定されています。3600坪の広大な庭園に建つ盛美園は、1階は和風、2階は洋風建築となっていて、和洋折衷の建物のなかでも珍しいもの。明治期の津軽の文化を偲ばせます。