佳景・名景・絶景

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2021年06月05日

本家もお墨付き「モネの庭」(高知県・北川村)

『旅のひろば』編集部 上釜一郎

先週はこのコラムで仁淀川を紹介しましたが、その視察で高知を訪れた際訪ねた「モネの庭」。
「モネの庭」といえば、画家モネの愛した庭があるフランス、ジヴェルニーが本家本元。ここは高知県安芸郡北川村。なぜこの地に「モネの庭」が?
実はこの庭のサクセスストーリーは「映画を一本撮れるのでは」と思えるほどなのです。

モネの庭は2000年に開園しました。それまで、北川村は村の発展のため様々な模索をしていたそうです。高知県の東部に位置する典型的な山村である北川村は高齢化と人口の減少が進む中、1990年当時、日本屈指の収穫量と質を誇った柚子を基幹とした村おこしを目指し、柚子のワイナリー事業の誘致を目指したそうです。しかし、その計画も1996年春に大幅な縮小へ。開発中の土地の活用や新たな事業への展開を模索するなかで、思い切った180度の方向転換へ。当時役場の財政担当だった上村誠さん(今は北川村の村長さんです)が、たまたま飛行機の機内誌に載ったジヴェルニーのモネの庭の記事を見て「これだ!」と。その後、こんな庭を造りたいと関係者を説得。単独でジヴェルニーにアポ無し交渉に向かったのだとか。多くの障害を乗り越えて、幸運にもフランス・ジヴェルニーとの交流が生まれ、奇跡の北川村〈モネの庭〉作りへとつながったそうです。

気候も植物も違う中で、モネの精神を宿し、しかし、本家の「まね」をするのではなく造りあげた庭師の方々や関係者の皆様の情熱にはただただ脱帽するばかりです。1999年、それまでは門外不出であった〈モネの庭〉が世界で唯一クロード・モネ財団の公認となりました。
公式ホームページによると、北川村「モネの庭」マルモッタンでは、環境問題についても取り組んでいるそうで、極力、農薬など使わず、人のチカラで病虫害から花・木を守ることで次世代に悪影響を残さないよう庭を維持しているそうです。正直、ものすごく感動しました。大変美しい素晴らしい安らぎの庭園です。

モネが咲かせたいと夢見た青い睡蓮。本家ジヴェルニーでは気候の関係で咲かすことはできなかったのですが、温暖な気候の北川村では花を咲かすことができました。(例年では6月下旬〜10月下旬)

「モネの庭」

2021年5月22日上釜撮影
【上釜一郎】プロフィール
1964年奈良県生まれ。旅行誌(マガジンハウス/ガリバーほか)からファッション誌(集英社/ COSMOPOLITAN JAPANほか)、広告写真等のカメラマンとして活躍。また、『南オーストラリアのユートピア アデレード』(弊社菊間著・新潮社)『マカオ歴史散歩』『新モンゴル紀行」(ともに弊社菊間著・新潮社とんぼの本)の写真等も撮影。現『旅のひろば』編集部で、各地の視察も行っている。過去には紛争地や、地雷敷設地での対人地雷問題などの取材経験も多数。1997年にノーベル平和賞を受賞した地雷廃絶国際キャンペーン(International Campaign To Ban Landmines=(ICBL))の日本キャンペーン(JCBL)元運営委員。
現在ワールド航空サービスの知求アカデミー講座で、写真講座の講師も務める。

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