【国内】帰着しました。添乗員レポート
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2021年03月15日
【帰着レポート】五島列島巡礼と小値賀諸島の文化的景観【4日間】
2021年3月6日(土)~3月9日(火) 4日間 添乗員:東京支店 山田 周
<3/6発 添乗員:山田周> 潜伏キリシタンの関連遺産が2018年6月に世界遺産となり注目を集める五島列島、小値賀諸島、長崎の旅より戻りました。3月9日発「五島列島巡礼と小値賀諸島の文化的景観」の若生春香添乗員のレポートとあわせてご覧ください。
豊臣秀吉によるキリスト教禁教令が発布され、江戸時代に入り、農業移民として1797年に長崎県の外海地区から露漕ぎ舟で海を渡り、五島列島へと渡った潜伏キリシタンは、宣教師不在の中においても、独自の信仰を密かに守り続けてきました。明治6年にようやく禁教令が解かれ、五島列島に多数現存する潜伏キリシタンの集落跡地に50もの見事な教会が建設されました。東シナ海に浮かぶ美しい島々に点在する歴史遺産を、潜伏キリシタンの人々が守り続けた信仰を受け継いだ巡礼ガイドさんの解説を聞きながらじっくりと見てまいりました。
小値賀諸島の辺境地の世界遺産、鉄川与助の最高傑作・野首教会を訪問
上五島の中通島最北端の津和崎港から漁船に乗り約15分、小値賀諸島の辺境地・野崎島へ上陸しました。野崎島では島に住む神社の氏子に匿われた潜伏キリシタンが小さな集落を建設し、人目を偲ぶように密かに信仰を守り続けていました。明治時代に禁教令が解かれ、キリスト教集落に簡素な木造教会が建設されましたが、明治40年には信徒たちが費用を工面し、後に鉄川与助の最高傑作といわれる煉瓦造りの野首教会を完成させました。しかしながら、最盛期には住民650人を数えた野崎島も現在は1名を残すのみとなり3つの集落は放棄され、野首教会のみが残されてしまいます。私たちは港から上り下りの続く山道を約30分歩き、眼下に海岸線や小さな島々、野生のシカ、段々畑が残るキリシタン集落跡地など、世界遺産に指定された野崎島の文化的景観を楽しみながら野首教会まで歩きました。教会のステンドグラスが太陽の光に照らされ、幻想的な雰囲気の中、島唯一の住民である教会守の前田さんによる野崎島の潜伏キリシタンの暮らしぶりや野崎島の歴史の解説を聞きながら、小値賀諸島の辺境の島での貴重な滞在を楽しみました。
海上タクシーで巡礼ガイドと世界遺産の島を巡る
五島列島最大の福江島から海上タクシーをチャーターして、2つの世界遺産の島(久賀島、奈留島)に上陸しました。五島列島の巡礼ガイドの多くの方は長崎県・外海地区から海を渡ってやってきた潜伏キリシタンの子孫だそうです。明治になってからもなお厳しい迫害を受けた潜伏キリシタンの人々が暮らした島に建てられた見事な木造教会を巡礼ガイドさんの解説を聞きながら見学しました。奈留島には小さな小中高一貫校「奈留高校」があります。かつて分校だった「奈留高校」には校歌がなく、自分たちの校歌が欲しいとの生徒の願いがかない、完成したのが荒井由実(松任谷由美)の名曲 「瞳を閉じて」です。巡礼ガイドさんが奈留高校の生徒さんたちの代わりに歌ってくれました。
世界遺産の頭ヶ島潜伏キリシタン集落跡地を訪れる
江戸時代に疫病の人々を隔離する療養島だった頭ヶ島は潜伏キリシタンたちが人目を避けて信仰を守り続ける拠点となる入植地となり、小さな集落が作られました。キリスト教禁教令が解かれた後に、小さな木造教会が建てられましたが、復帰したキリスト教徒の人々が集まり、明治43年から約10年間の歳月をかけて鉄川与助氏によって石造りの見事なロマネスク教会「頭ヶ島天主堂」が完成しました。教会建築の第一人者である鉄川与助氏は渡欧したことが一度もないそうですが、明治になってからやってきた宣教師のつてをたどり、設計図を取り寄せたり、当時日本になかった道具を取り寄せたりしながら、細部までこだわり完成した頭ヶ島天主堂で巡礼ガイドさんの解説を聞きながら潜伏キリシタンの歴史を学ぶ貴重な時間を過ごしました。
五島の美しき自然とご当地の食も楽しみました
五島列島は東シナ海に浮かぶ小さな島ですがマリンブルーの海と白砂のビーチ、色彩やかな花を一年中見ることができます。3月は椿が真っ盛りの季節ですが、原種のヤブツバキの突然変異種で下五島でしか見ることができない「玉之浦」も見事に咲いていました。天然の獲れたて海の幸、名物の鯨料理、英虞だしと卵醤油で食す上五島名物「地獄炊き五島うどん」など、シンプルながら最高の素材をそのまま味わう五島の食も皆様にたいへんご好評いただきました。
牧歌的な島風景、素朴な人々の暮らしぶりが印象的だった五島列島。一方で、五島に来なければ知ることのなかった歴史を学ぶ貴重な時間でした。3泊4日の滞在はあっという間に過ぎ、後ろ髪をひかれる思いで当地を後にしました。皆様もぜひ、五島列島を訪れてみてください。
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