視察レポート
視察レポート
2021年05月06日
高級感漂う阿蘇の秘湯・黒川温泉と嬉野の名旅館を訪ねて
九州支店 柴尾祐樹
すっかり春らしくなった4月最初の週末、社長の松本とともに1泊2日で黒川温泉と嬉野へ視察に出かけました。黒川へ出かけるのは私自身も久しぶり。というのも、ここしばらく、訪日観光客の黒川温泉人気は大変なもので、福岡空港に到着するなりそのまま高速バスで黒川へと向かう客が多数いたほどです。その混雑具合から、なんとなく足が遠のいていましたが、今回訪れてみるとその心配は杞憂に終り、一安心。日本人観光客でさえ少なく、黒川温泉が本来持つ、“豊かな自然に囲まれた山の中の秘湯“という雰囲気を存分に味わうことができました。これには松本も感動したようで、この旅を企画するにあたってインスピレーションをもらったという一枚の写真(温泉街を流れる川にかかる橋の写真でした)、そのままの景観・雰囲気が広がっていました。
グループでの宿泊予約が難しい中、「奥の湯」を3出発日で確保
黒川温泉は、小規模な旅館が多くグループで宿泊すること自体がなかなか難しい温泉地ですが、黒川温泉全体を流れる田の原川上流の静かな場所に佇む旅館「奥の湯」の本館にてお部屋を確保することができました。約2000坪の敷地の中には宿泊棟を囲むように、露天風呂から家族風呂まで全9種の多彩な湯船が点在しています。川沿いに造られた滝が見える混浴露天風呂(20:00~22:00は女性専用です)、神秘的な雰囲気の洞窟風呂など多彩なお風呂で湯巡りが楽しめます。もちろん全て源泉かけ流しです。広々とした敷地の中には、黒川では奥の湯にしかない蒸し処(蒸し卵が名物)や、スタッフが大切に手入れを行う中庭や小道などがあり、四季折々の自然風景も楽しみです。
入湯手形で黒川温泉を満喫
黒川温泉の名を一躍全国区に押し上げたのが、「入湯手形」の存在です。温泉街全体を“一つの旅館”に、それぞれの旅館は“離れ部屋”に、そして旅館をつなぐ小径は“渡り廊下”にという考えで考案された、お好きな黒川温泉の湯を3か所楽しめる手形です。せっかく2泊いたしますので、ツアーでは半日の自由時間もご用意。入湯手形を活用されて、浴衣姿で風情ある温泉郷の散策と湯めぐりをお楽しみください。各旅館で湯の効能もそれぞれ、お肌にあわせた湯めぐり法なども紹介されています。
阿蘇久住国立公園の涼やかな風を感じて
黒川温泉は世界ジオパークに認定される阿蘇久住国立公園に隣接しており、夏でも涼やかで豊かな自然を体感できる場所です。特に阿蘇エリアは、昨年から今年にかけて震災からの復興が大きく進み、国道や橋、鉄道が開通。今まさに活気に溢れています。阿蘇観光に外せない絶景ポイントの大観峰はもちろん、昨秋からアクセスが再開された阿蘇中岳の火口見学や、阿蘇五岳と外輪山の二つの山並みに挟まれるカルデラを走りぬける南阿蘇鉄道トロッコ列車をツアーに組み込み、阿蘇の大自然を様々な角度からお楽しみいただくプログラムにいたしました。
九州の古い町・日田と竹田の新たな観光スポット
阿蘇から北へ車を走らせ、江戸時代、幕府の直轄地・天領として栄えた日田・豆田町を訪れました。旧家や蔵が建ち並ぶ碁盤目状の町並みはそぞろ歩きにもってこいで、ついつい時間を忘れて資料館や店を覗いてしまいます。昼食には豆田の町に溶け込むように佇む江戸末期の酒蔵を利用した瀟洒なレストラン「秋子想(ときこそう)」を視察。地元の新鮮な野菜などの食材を使った欧風懐石は、きっとお客様に喜んでいただけるであろうと、ツアーに組み込むことに決めました。また、城下町・竹田にも足を延ばし、2020年にリニューアルオープンした「竹田市歴史文化館・由学館」へ。新国立競技場の設計も手がけた世界的建築家・隈研吾の建築作品です。 竹田の歴史を紹介するともに、江戸時代後期の南画(文人画)家、田能村竹田(たのむらちくでん)旧宅が隣接しており、なかなかの見ごたえでした。
嬉野温泉の名旅館・大正屋で心地よい時間を
旅の締めくくりは大正14年創業、嬉野温泉の老舗・大正屋を選びました。旅館の建て替えは、皇居新宮殿や八ケ岳高原音楽堂などを手がけた建築家・吉村順三の設計によるもので、本人が残した「優れた建築には”心地良い驚き”がある」という言葉通り、杉木立に囲まれた空間に調和した建築は、温泉街の中心にありながら、落ち着いた佇まいで大変心地良く、部屋や温泉などいたるところに工夫やこだわりを感じます。日本三大美肌の湯に数えられる嬉野温泉の湯は、宿泊する大正屋に加え、渓谷沿いの大自然に抱かれた姉妹館・椎葉山荘でも楽しむことにいたしました。
九州を代表する二つの温泉地でのんびり湯めぐりを楽しみ、大自然と古い町歩きをお楽しみください。
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