視察レポート

視察レポート

2021年03月01日

「人のぬくもり」の魅力。人情溢れる神子田(みこだ)の朝市

東京支店 支店長 福島伸彦

 夜行バスに揺られながら、吉田と共に盛岡に到着したのは朝の05:50。あまり雪が降らないと言われる盛岡ですが、今年は多かったようで、道路脇にはどこも残雪がありました。
 今回、わざわざ夜行バスを利用したのは神子(みこ)()の朝市を訪ねてみたかったため。ここは早朝5時過ぎには始まり、8時半頃には閉まってしまう文字通り「朝市」なので、新幹線などの日中移動ではなかなか訪れることが出来ません。

神子田の朝市 市場の中の区画ごとに生産者がそれぞれの品を販売しています。
懐かしの達磨ストーブがなんとも暖かそうです。

 東北各地では周辺の市町村から人々がそれぞれ生産したものを持ちよって販売する朝市が各地にありますが、どの朝市もその土地ならではの季節感を感じる、様々な品が売られています。 
 今回は白菜やリンゴなど冬の品々が並んでおりましたが、季節によって売られているものは様々です。春には山東菜(さんとうさい)、夏にはスイカやとうもろこし、秋にはリンゴや栗、キノコなどなど。

色とりどりのリンゴをよく見かけました。
お値段も安い!

生鮮食料品だけなら近所の八百屋でも、、、とお思いかもしれませんが、神子田の朝市は、こういった農産品だけではなく、それを加工した自家製の漬物や干物など様々な品も買うことが出来ます。地元の人向けの市場なので加工食料品の多くは1~2人前が小分けになって売られており、実際見ていると近所の方々が顔なじみの店主さんと談笑しながらが朝食のお惣菜を購入する姿をよく見かけました。商品のお値段も非常に安く、年間300日以上開催されるという非常に活発な市場なので、近所の人々にとっても台所感覚で利用され、愛されているのもよく分かります。

漬物(左端:沢庵と思いきやぬか漬けでした)、山のキノコの煮つけなど
海の幸も売っています(筋子のしょうゆ漬け)
八戸産のにしん。新鮮そのものです

 また、何と言っても楽しいのが売っている人々との掛け合いです。売られている様々な漬物や加工食品、山で採れたキノコなどは地元岩手の人にとっては常識であっても、旅人には見慣れないものが大半です。
 買う前にそれがどんな品物で、どのような食べ方がおいしいかなどを売っている方にお聞きすると、「裏山で秋に採ったキノコのしょうゆ漬けだよ。あんた、キノコ好きかい?じゃあ、こっちもおすすめ。大根おろしと敢えてご飯と食べると最高だよ。」など色々と教えてくれます。そんなに購入するつもりはなかったのですが、会話が楽しいのと、値段が安くて美味しそうなのも手伝って、気づくと野菜の漬物を3種類、キノコの煮つけを4種類、そして「寒干大根」を買っていました。

神子田の朝市のおばあちゃん。食べ方など色々教えてくれました。とてもお勧め上手。
岩手の冬の保存食、寒干大根

 神子田市場の中にはおでん屋さん、ラーメン屋さん、ひっつみ屋さん(小麦粉のお団子が入った煮込み料理。農林水産省選定「農山漁村の郷土料理百選」にも選ばれている岩手県の郷土料理です!)などのお店もあり、お買い物がてらに美味しそうに食べている方も多く、つられてしまい、かす汁、おでん、ひっつみ、と食べましたが(非常に空腹でした)、寒い日に食べるとまさに心身に沁みる素朴なおいしさです。
盛岡を訪れた際、お時間があれば是非神子田の朝市を訪れてみてください。

お買い物のついでに食べる人が多かった
人気のおでん屋さん
岩手の郷土料理、ひっつみも是非
お試しください

<おまけ:帰宅後に寒干大根を調理してみました>

寒干大根とは、秋に大根を収穫すると皮をむいて適当な大きさに切ってから茹で上げて、外に干して出来る、伝統の保存食です。夜に大根が凍り、日中は解けて水分が抜けていくことで出来上がります。(以上は全て、市場のおばあちゃんからの受け売り情報です。寒干大根は岩手のみならず、日本各地の寒冷な山間部で伝統的に作られてきたようです。)食べ方を聞くと、水で戻してから、みそ汁、煮物、鍋、おでん、なんでもうまい!とのことでしたので、早速着手してみます。

 接写で撮影した寒干大根です。新聞を出す時に使う紐で括っている手作り感がたまりません。
 今回は全体の半分を利用してみました。おおよそ小さめの大根が1本分使われている感じです。

1、紐で括られている寒干大根

はじめて扱う食品なので、色々興味しんしん。まずは計測してみました。 この時点での総重量は僅か15グラムです。触った感触で近いのは、身体を洗うひょうたん、でしょうか。

2、乾いた状態で計量 僅か15グラムです

おばあちゃんのアドヴァイス通り、ひと晩かけて、水で戻します。スローフードです。(大根の穴は、ひもを通していた跡)

3、ひと晩かけて水で戻します

翌朝、かなり大根らしく戻っているので再度計測。軽く水を切ってから秤に乗せると、驚きの339グラム、重量は実に22倍です。「ちょっとみそ汁に」と思っていたのですが、量が多すぎる為、この時点でメニューは煮込みうどんに変更。

4、水で戻したところで計量。339グラムです

余談ですが、今回はおばあちゃんのアドヴァイス通り、一晩かけて水で戻しましたが、感覚的にはお湯で戻せば遥かに早く、1時間もかからず戻せると思います。でも、スローフードが寒干大根の魅力。お湯は野暮かもしれません。

5、戻した寒干大根は半月切りに。水は軽く
切るだけで絞りませんでした。

今回の材料です(4人前)。
しいたけ3つ、人参1本、白菜の大きめの葉4枚、油揚げ2枚、牛バラ肉150グラム。(豚肉の方が合うと思いますが、冷蔵庫の在庫が100グラム138円の安さにつられて買ったこれしかありませんでした)



6、家にある食材の中で「東北のイメージ」な具材を使いました。

これに和風だしの素大匙2、水750CC、味噌大匙2を入れ、30分程煮込んでみました。寒干大根は煮込んでも煮崩れせず、むしろ普通の大根よりも崩れにくいかもしれません。最後にうどんを加えて完成です。

7、寒干大根 32㎝の深皿フライパンがいっぱいに

出来上がった寒干大根を食べてみると、意外なことに、大根としての歯ごたえをしっかり残していながら、汁のうまみをいっぱいに吸い込んでいるので、噛んだ瞬間にじゅわっとうまみが口内に広がり、たまらないうまさです。寒干大根は軽いので、荷物としての負担がありません。お土産にもお勧めです。

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