【国内】注目の旅

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2024年02月28日

【視察レポート】初夏の爽やか北海道再発見 その①

【視察レポート 東京支店 吉田 義和/2024年2月20日】

「より深く北海道を知ってほしい」との想いから、視察へ。
視察で出会った名士の方々の協力で、唯一無二のプログラムとなりました。

夏季の訪問先として日本有数の人気を誇る北海道。梅雨もなく、本州以南の気候とは一線を画す爽やかさや、雄大で豊かな自然が今や世界中の人々の心を掴んでいます。今回、その北海道をより多角的に、深く知っていただきたいと企画を考えておりました。特にご紹介したいと考えたのはアイヌ民族の文化や芸術です。2020年の「ウポポイ」オープン、今年の映画『ゴールデンカムイ』公開など、アイヌ民族の文化への関心は年々高まっています。しかし、実際に観光で北海道を訪れただけではアイヌ文化に触れることはなかなかできません。そこで、アイヌ文化をはじめとする「知られざる北海道」を皆様にご紹介すべく、東京支店の春名・吉田と札幌支店の真島が2月に現地に赴きました。

アイヌ文化と芸術の里 二風谷(にぶたに)へ

 下調べしていく中で、今回注目したのは「二風谷」です。二風谷は日高地方の北端、二風谷は沙流(さる)川の流域に位置するアイヌコタンで、地理的に観光で訪れる機会は少ないものの、アイヌの文化、芸術が色濃く残る場所として知られていました。今回の視察でも、最初に訪れたのは二風谷のアイヌ民族博物館です。まずは担当の笠原さんにこちらの思いをお話ししたところ、学芸員による展示解説や、アイヌ民族舞踊など、出来ることは協力していただける、という運びとなりました。博物館の垣根を越え、アイヌ料理のお弁当などもご提案いただき、1日二風谷でじっくり滞在する特別プログラムの基礎が出来上がっていきました。

アイヌ伝統民居チセが並ぶ二風谷コタン
博物館で職員の笠原さんと打ち合わせを行う春名・吉田
周辺のアイヌの方にお越しいただき、伝統舞踊をご覧いただくプログラムも組み込みました。

博物館やコタンの視察にあわせて、どうしても訪問したかったのがアイヌ工芸家の工房です。二風谷はアイヌ芸術の里としても知られ、その作品は海を渡り海外でも高く評価されています。中でも大英博物館に常設展示される作品の生みの親である貝澤徹さんや、アイヌ工芸で何度も賞を受賞している貝澤守さん、木の皮を用いた織物「アットゥシ」を作る貝澤雪子さんなど、名だたる職人の工房がコタンのすぐ隣に並んでいます。幸いにも博物館の笠原さんは貝澤さんの「いとこ」にあたるということで、工房にも同行して紹介いただきました。世界的なアーティストながら、訪れると気さくに話してくれた3人の貝澤さん。6月にお客様をお連れすることを話すと、「自分の作品や仕事道具のある工房にぜひ遊びに来てください。」と嬉しいお言葉をいただきました。

アットゥシを織る貝澤雪子さん
樹皮を糸状にして織物にするアイヌ独特の「アットゥシ」づくりの現場を見せていただきました。
イタ(アイヌ伝統のお盆)を彫る貝澤守さん
大英博物館にも常設展示のある貝澤徹さん(中央)と吉田(左)春名(右)
独特のアイヌ文様の美しいアイヌのイタ(お盆)貝澤徹さんの作品
札幌駅地下通路に展示されている貝澤徹さんの作品

旅の設定は日本一の「すずらん」の開花にあわせて

 今回の旅は6月の上旬、初夏に合わせていますが、これには理由があります。二風谷の笠原さんとの話の中にあった「せっかくお越しになるなら、すずらんの時期がいいですよ。」という提案です。聞くと、二風谷から車で約30分、芽生(めむ)という地域にあるすずらんの群生がすごい、とのこと。開発により無くなりかけていたすずらんの群生を10年かけて保護し、今では日本一の規模とも言われているそうです。少し足を延ばしますが、可憐な花が幾重にも咲く絶景をお楽しみいただくべく、今回の設定となりました。

北海道に初夏の訪れを告げるすずらん
敷地内には無数のすずらんの群生が

目指した「日本の奥地」はここだった!イザベラ・バードの足跡を発見

 企画の骨子が固まったところで、二風谷のある平取町の町役場へ協力のお願いに。その道中、気になる案内板を見かけました。なんでも、この平取町は、明治期に日本を旅して「日本奥地紀行」に残したイザベラ・バードが目的とした地だそう。東北の旅でよく話題となるイザベラ・バードが目指した地がここだったとは。と、観光協会の山口さんにお伺いしたところ、「実はイザベラ・バードの旅の目的は、アイヌ民族の暮らしを見ること。それを提案したのは、あの進化論のダーウィンなんです。彼女はこの近くの義経神社の前にあったアイヌの長老の家でアイヌとの交流を楽しんだと言われています。」との回答。そういう事を知るのも旅の醍醐味だよね。とイザベラ・バードについてお話いただける方をご紹介いただき、プログラムに組み込むことができました。ご案内いただくのは、イザベラ・バードを辿る会事務局長の平村徹郎さん。普段は建設会社の社長さんですが、イザベラ・バードが辿った道をフットパスとして整備するなど、語り部としても活動されています。二風谷で過ごす1日のプログラムは、彼女の目指した地から始めるようにいたしました。

平取観光協会との打ち合わせ。二風谷やイザベラ・バードについて話を伺いました。
イザベラバードのゴール地点には義経伝説の残る義経神社がありました。
イザベラ・バード 目的地到達の案内板

二風谷のプログラム 最後のキーパーソンが決定

 特別プログラムの骨子が固まっていくなかで、アイヌの民族や文化について語っていただける方が二風谷にいればいいよね。とメンバーで話していました。しかし二風谷ではそれぞれの専門家はいても総合的に語っていただける方がうまく見つからず、最後まで悩みの種でした。かつてワールド航空とも縁のあった、札幌にある北海道博物館館長の石森さんに相談したところ、「じゃあ自分が行くよ」とお返事をいただきました。石森さんは大阪の国立民族博物館で活躍され、北海道博物館の開館当初から館長を務める文化人類学の権威。アイヌだけでなく世界の民族に詳しく、ワールドのお客様への解説にはまたとない方です。二風谷の特別な1日、最後のピースがはまった瞬間でした。

北海道博物館館長の石森秀三さん(中央)と吉田(左)、真島(右)
北海道立アイヌ民族文化研究センターを前身とする北海道博物館にはアイヌ展示も充実しています。

宿泊は新冠の温泉宿に

二風谷を訪れるにあたり、宿泊は日高地方の温泉宿「新冠温泉ホテルヒルズ」をご用意することにしました。太平洋を望む高台にあり、露天風呂やサウナなどもお楽しみいただける温泉ホテルです。地元では「レコードの湯」としても親しまれています。というのも、館内には懐かしのレコードがたくさん。夜にはホテルスタッフがお勧めのレコードを流す「レコードコンサート」も開かれます。(流れているだけですが、音と雰囲気は満点です。)お食事も日高の名産を使った落ち着いた和食をいただくことができます。馬産地のため夏のシーズンはセリなどに来る馬の関係者で混み合うホテルですが、今回はその少し前のシーズンということで、お取りすることができました。宿の滞在もお楽しみください。

ホテルから太平洋を望みます。
懐かしのレコードが並ぶホテルの館内。選んで聞くことも可能です。
ウェルカムドリンクならぬウェルカム日高昆布出汁も美味です。
毛がになど日高の食材を使った夕食もお楽しみいただけます。

こうして石森館長はじめ視察で出会った多くの名士の方々の力を結集した、唯一無二のプログラムが完成しました。視察チームが自信を持ってお届けします。これまでにない北海道を、ぜひ再発見してください。

初夏の爽やか北海道再発見の旅では、まだまだご紹介しきれないプログラムが盛りだくさん。視察レポートその②では、日高のプログラムなどをご紹介いたします。お楽しみに。

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