歴史ある風景

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2021年07月20日

小岩井農場 近代日本の最先端を歩み続けた130年

本社 プランニング事業本部:乗田憲一

子供の頃、「小岩井コーヒー」が大好きでした。ミルクたっぷりでコーヒーを飲んでるとちょっと大人びた気がしたものです。「生乳100%ヨーグルト」は常に冷蔵庫に入っています。現在、小岩井乳業として分離独立していますが、もとは小岩井農場。創業は何と130年の歴史をもつ農場です。

日本最大の民間総合農場 小岩井農場

創業者・井上勝の想いが個人的には素晴らしいと感じています。横浜-新橋間の日本初の鉄道敷設を始め、日本の鉄道事業の礎を築き、「鉄道の父」と呼ばれました。幕末、伊藤博文らと長州から英国へ密航したメンバーでもありました。その後、帰国した伊藤、残って西洋の最先端を学んだ井上。どちらも日本の近代化を支えた傑物です。

浮世絵に描かれた開業当初の鉄道(横浜)

井上は、岩手山の南麓、小岩井の荒れ地を見たとき、鉄道敷設に尽力してきたがそれにより、多くの田畑を、自然を壊してきたことへの悔恨の念を抱きました。それをここで大農場を開き、美しい自然を取り戻すことで償いたい。それはきっと国家公共のためになる、という強い使命感をもったと言います。今でこそ、環境保全がうたわれていますが130年前にこの発想に立つことができるのは学ぶべき部分があるなと感じています。この想いに共感した三菱の小野義眞と社長の岩崎彌之助、井上の3人で小岩井農場を開設。3名の頭文字をもって「小岩井」となりました。

小野義眞
岩崎彌之助
井上勝
四季折々に表情をかえる農場
バター・チーズなどの乳製品の貯蔵庫として建造され、昭和27年まで本格的に使われていた天然冷蔵庫

土地の改良、植林など苦難の創業期を経て、岩崎家が経営を引き継ぎます。三菱の創業者、岩崎彌太郎の長男、岩崎久彌は元々農牧業に造詣が深ったことから「小岩井農場」は大きな転換期を迎えます。事業展開には3つの柱があり、ブリーダー事業、乳業事業、そしてサラブレッド生産です。

小岩井農場で飼養されている乳牛は、明治時代に輸入した品種を改良し続け、全て自家生産をしている

ブリーダー事業は日本の酪農の草分けであり、西洋から輸入した種牛を元に品種改良し、優秀な血統の牛を全国に行きわたらせることに成功しました。乳業は牛乳、チーズ、バターなどをいち早く商品化、製造技術の確立を図り、日本の乳業事業を牽引しました。この時、造られた牛舎やサイロが今に残り、国指定の重要文化財となっています。酪農に関する国の重要文化財はここと北海道大学農学部の台に農場の2か所だけ。驚きなのは、小岩井農場の牛舎は今も「現役」なのです。100年以上の建物もあります。これは日本で唯一ですし、歴史の息吹を感じることができる、とても貴重な建物群です。

一号牛舎見学
一号サイロと二号サイロ

小岩井農場は、戦後の様々な多角的な取り組みを経て、130年かけて築き上げた小岩井の豊かな森と大地を、そして農林畜産業を守り、環境と共生した事業を展開しています。それは創業者の井上勝の想いに繋がり、岩崎久彌の目指した未来を実現しているように思います。

乳牛の健康のため、農場で生産した牧草を主体に、ストレスを与えない飼い方を心掛けている

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