町並み百選
町並み百選
2021年10月28日
玄界灘を望む城下町 唐津
プランニング事業本部 吉田義和
先週ご紹介した壱岐から玄界灘を隔てて30キロメートル。今週は佐賀県の港町唐津をご紹介いたします。唐津といえば唐津焼や唐津くんちで知られる城下町。街並みも小さいながら風情ある建築が並びます。また、玄界灘の豊富な海の幸を背景に、美食レストランが多い町でもあり、2019年のミシュランガイド福岡・佐賀・長崎では2つ星が1件、1つ星が5件選ばれるなど、和洋ともに質の高い食事が楽しめます。
秀吉の朝鮮出兵と唐津
唐津藩の誕生は、豊臣秀吉が天下統一後に行った朝鮮出兵に由来します。唐津から西へ30分。イカで知られる呼子の港近くに、朝鮮出兵時の渡海の足掛かりとして名護屋城が築かれ、豊臣秀吉が城を本陣とし、徳川家康、加藤清正、黒田長政、石田三成ら豊臣軍15万の軍が駐屯していたと言われています。現在の名護屋城は城郭のみが残されていますが、天守跡から見ると、玄界灘が一望でき、当時も軍の渡海をここから眺望していたことが伺えます。名護屋城跡には佐賀県立名護屋城博物館があり、朝鮮出兵を含め日本と朝鮮半島の交流の歴史を辿ることができます。さて、唐津藩はこの名護屋城の普請や出兵に貢献した寺沢広高がこの地に所領を与えられたことに始まります。玄界灘に面した浜辺に唐津城が築かれ、その南に城下町が形成されました。朝鮮出兵の際に朝鮮陶工の技術がこの地に渡ったことで、「一楽二萩三唐津」と言われる唐津焼も盛んに生産されるようになります。まさに唐津は半島との交流や海とのつながりによって発展した町といえるでしょう。
唐津の街並みと「くんち」
唐津の中心街は30分もあれば巡れてしまうほどコンパクトな街並みです。町の中心には唐津くんちが開催される唐津神社があります。ちょうど先日、再開未定だったくんちが規模を縮小して開催されるという発表がされました。祭りの開催で街に活気が戻ることが期待されます。唐津神社の創建は755年。神社創建の日を祝うお祭りとして、江戸時代に「くんち」の原型が始まりました。赤獅子、青獅子、浦島太郎、源義経、鯛、鳳凰丸、飛龍、金獅子、武田信玄の兜、上杉謙信の兜、源頼光の兜、珠取獅子、鯱、七宝丸と14の曳山が街を賑わせます。唐津ではアメリカ民謡の「10人のインディアン」の音楽にのせて曳山に替えて歌う「順番覚え歌」があり、市民は皆歌えるとのこと。唐津ゆかりの知り合いがいる方はぜひ聞いてみてください。曳山はお祭りの日以外は曳山展示館に常設展示されていますので、お祭り以外の時期に訪れても間近にご覧いただくことができます。
唐津神社からはさらに南に市街地が広がっています。駅前に伸びる呉服町には、唐津焼のギャラリーも並び、お店を覗きながら歩くのも楽しいです。市街でひときわ目立つ建築「辰野金吾記念館(旧唐津銀行)」もぜひ立ち寄っていただきたい場所です。明治45年に竣工した旧唐津銀行は、初代頭取である大島小太郎と同じ唐津藩英学校で学んだ同窓で佐賀出身の辰野金吾が設計。煉瓦と白御影石を織り交ぜた紅白が特徴的な外観に、王冠のようなドーム屋根を冠した辰野式で造られています。辰野金吾といえば東京駅の駅舎で知られる明治を代表する建築家です。平成9年まで現役で利用された銀行は、現在応接室や金庫などを当時のままの姿でご覧いただくことができます。
年末に向けて参拝必須!?の神社へ
唐津には「このために遠方から来る」というパワースポットがあります。それが唐津の沖に浮かぶ「高島」です。一見何の変哲もない小島ですが、ここには参拝すると宝くじが当たる!という「宝当神社」があるのです。唐津城の脇にある渡し場から船で10分。宝当神社の脇には「宝当乃館」という宝くじや開運グッズを販売している所もあり、特に年末には多くの宝くじ購入者が参拝に来るとのこと。今回添乗でご案内した皆様も多くの方が訪れていました。
唐津の食を堪能
ミシュラン星付きにも選出されたレストランも多い唐津。もちろんミシュランだけでなく、城下町に残る老舗も伝統の味を楽しむことができます。今回訪れたのは老舗の代表格「竹屋」と「ワイズキッチン」、そして「ひら田」です。ワイズキッチンとひら田はともにミシュランの星付きに選出。竹屋は国の登録有形文化財に指定された風情ある店内でいただく鰻の名店です。他にも「ざる豆腐」発祥の店と言われる豆腐屋「かわしま」が営む和食などもあり、和も洋も、一流の食事を楽しめるのが唐津の醍醐味です。
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