町並み百選

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2021年10月21日

日本と半島を結ぶ架け橋 壱岐

プランニング事業本部 吉田義和

 先週、「九州・佐賀ガストロノミー 壱岐・唐津の旅」の添乗にて壱岐と唐津を訪れました。10月に入り緊急事態宣言も解除となった中での旅。壱岐には修学旅行の団体も3校きており、だんだんと地方にも活気が戻りつつあるかな、という印象をうけました。これまで島は甑島、隠岐、竹富などをご紹介してきましたが、今回は壱岐についてご案内いたします。

壱岐って何県?

 今回は壱岐まで福岡から高速船で訪れました。所要わずか1時間。壱岐は地理的には佐賀県の唐津市が最も近く約40キロメートルの距離にありますが、所属としては長崎県にあたります。これは、廃藩置県の際に平戸松浦藩と交流の深かった壱岐がそのまま平戸と共に長崎県に編入されたためと言われています。佐賀も一時長崎に編入され、その後独立したことから少し不思議な県境となりました。現在の人々は生活圏は完全に福岡県で、ガイドさん曰く「大都市は近いし自然も豊かなとても住みやすいところ」とのこと。全体的になだらかな平野の多い地形で、農産物、海産物も多く獲れる壱岐は、たしかに住み心地がよさそうな島でした。宿泊は壱岐の西の玄関口である郷ノ浦港に面した「ビューホテル壱岐」、壱岐でグループでの宿泊ができる数少ない宿のひとつです。ホテルの脇には「春一番発祥の地」という看板が目をひきます。実はこの壱岐、春の訪れを告げる南風「春一番」の語源の場所。もともと船乗りの間で使われていた言葉でしたが、1859年に、壱岐の漁師53人が春の強風による嵐で遭難したという悲劇が全国的に伝わり、以降全国的な認知度を得たという歴史があります。キャンディーズの「春一番」などで華やかなイメージのある言葉には、悲しい歴史が隠されていたのです。

郷ノ浦港に建つビューホテル壱岐
春一番の記念碑も残されています。

朝の勝本漁港

 朝、壱岐の北にある勝本漁港へ。壱岐最大の漁港で、近海漁業の一大基地となっています。春に水揚げされる近海マグロは、青森の大間と並び近海マグロの代表と言われることもあります。ちょうど訪れた10月14日は勝本の聖母宮にて大祭が行われる日。船には大漁旗が掲げられ、船競争の練習をする姿も見ることができました。

祭りにむけて大漁旗を掲げる漁船
壱岐で最大規模を誇る勝本漁港
素朴な勝本の朝市
壱岐で獲れた海産物が揃います。

壱岐の岬を訪ねて

 壱岐を訪れた日は再々にして天気がよく、絶景を求めていくつかの岬を訪れました。まずは壱岐東端の左京鼻へ。この地で雨ごいをした陰陽師、後藤左京に因んでつけられたという左京鼻は、柱状節理の岩肌が荒々しい景観を見せています。晴天のこの日は世界遺産である宗像の沖ノ島まで見渡すことができました。もうひとつの岬は猿岩。文字通り猿の後ろ姿にそっくりな岩が姿をみせています。猿岩には戦時中、対馬海峡の防備のため建設された黒崎砲台跡も残されていました。砲台は撤去されていましたが、戦艦土佐の手法を移設したという巨大な回転台の穴が当時の姿を偲ばせました。

壱岐の東を見渡す左京鼻
壱岐の西の岬に立つ猿岩
左京鼻の近くにある海女さんの海難供養地蔵「はらほげ地蔵」
猿岩の裏手にある黒崎砲台跡

古代一支国の舞台を訪ねて

 壱岐は、弥生時代には一支国(いきこく)が栄え、農業や漁業、そして半島と九州本土の流通を行っていたと言われています。中国の三国志の時代の文献「魏志倭人伝」にも「南に瀚海(かんかい)と呼ばれる一つの海を渡り、千余里を行くと一大國に至る。また長官を卑狗(ひこ)といい、副官を卑奴母離(ひなもり)という。広さは約三百里四方ばかり。竹や木のしげみが多い。三千ばかりの家がある。田畑が少しあり、農耕だけでは食料には足らず、また、南や北に海を渡って穀物を買い入れている。」という記載が残されています。魏志倭人伝といえば邪馬台国の卑弥呼の記載が有名ですが、この当時から壱岐にも海上交易を行う国家が残されていたのです。その舞台が原の辻遺跡といわれ、現在では王都復元公園として整備されています。また、その高台にある一支国博物館では出土物やその歴史を知ることができます。博物館は屋根に芝生が張られた不思議なつくりですが、これは晩年の黒川紀章の建築。その建築も見ごたえがあります。

黒川紀章設計の一支国博物館
弥生時代の原の辻遺跡の物見櫓。後方には一支国博物館の現在の展望台が。
壱岐から唐津へのフェリーは修学旅行生と乗り合いになりました。段々と観光再開への足音が近づいてきているようです。

次回は海を渡った唐津の街をご紹介します。

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