町並み百選

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2021年04月29日

知らないようで知っている町 北見

プランニング事業本部 吉田義和

先週ご案内した標津に続き、今回は北海道内陸部の北見をご紹介いたします。北見は道東の玄関口、女満別空港から南に1時間。ジャガイモや砂糖大根など北海道の広大な畑の中にある人口11万人の都市で、北海道では8番目に大きい町です。かつては網走や宗谷など広い範囲を「北見(樺太が見える地)」と言っており、現在の北見は野付牛町という名前でしたが、市になる際に「ノツケウシシ」という語呂もよくないため北見に改名したという経緯を持ちます。「北見」と聞くだけだとピンとこないかもしれませんが、「カーリング」や「ハッカ」と聞くと、「あぁ!」となるのではないでしょうか。そんな知らないようで知っている町「北見」です。

北見の名を全国区にした“カーリング”

北見の地名を一躍全国区に広めたのは、2018年に開催された平昌冬季オリンピックで銅メダルを獲得した日本代表チーム「ロコ・ソラーレ」の存在ではないでしょうか。カーリングは連携が必要なチーム戦の為、日本選手権の優勝チームが代表となりますが、平昌オリンピックの際は北見の常呂町に本拠地を置く「ロコ・ソラーレ」が代表となり、見事銅メダルを獲得。休憩の際の「もぐもぐタイム」や、その時に食べる北見名菓「赤いサイロ」も話題となりました。カーリングは15~16世紀のスコットランドか、北欧の地で始められたと伝えられ、フランドルの画家ブリューゲルの絵画「狩人」にもその姿が残されています。日本では1970年代に常呂町で初めてカーリング協会が発足し、以降常呂町ではカーリングが盛んに。ここから全国へと普及していきました。オリンピックの正式種目となったのは、1998年の長野オリンピックからですが、そこから20年経って日本でも全国的な知名度を得たことになります。先週、昨年10月に北見市にオープンしたカーリング施設「アルゴグラフィックス北見」をお客様と訪れる機会がありました。カーリングの練習風景を見学していると、スタッフの方から「ちょっとやってみますか?」と声をかけていただき、急遽カーリング体験。重量20キロという重量感のあるストーンですが、氷上で滑らせると意外と走り、ストーン同士が当たると爽快な音が響きます。聞くとカーリングはコツさえ掴めば体への負担は少なく、老若男女楽しめるスポーツとのこと。今回は施設側の好意でしたが、気軽に体験も受け付けているので北見を訪れた際はぜひ訪問をお勧めします。

ロコ・ソラーレも度々練習に訪れるというアルゴグラフィックス北見
お客様とカーリング体験を楽しみました。

シェア世界一を誇った薄荷の里

カーリングと並んで北見で知られているのが「薄荷(ハッカ)」です。薄荷には抗菌、覚醒、消臭、鎮痛、防腐、防虫など様々な効果があり、湿布薬など薬用としても重宝されていますが、原料はシソ科の植物です。北見は開拓時代から薄荷の生産が盛んで、昭和14年(1939年)には世界のシェアの70%を生産しており、海外輸出も盛んでした。太平洋戦争による減反や合成メントールの台頭によって現在はわずかな生産量となりましたが、「北見ハッカ」のブランドは全国区。お近くの商店でも「北見ハッカ飴」や「ハッカ油」などを見かける機会があるのではないでしょうか。特にマスク着用が基本となった昨今、夏の暑さを和らげるハッカ製品は人気となっています。そんな北見には、ハッカ生産量が世界一だった時代の産業遺産である「北見ハッカ記念館」があります。建物は当時ハッカ工場の事務所として利用された木造2階建ての建築。昭和天皇や上皇陛下も訪れ、貴賓室も残ります。訪れると、ハッカの効能から製作過程、蒸留の様子など詳しい解説も。ここでしか購入できない和製ハッカの製品もあり、お勧めです。

可愛らしい木造建築の北見ハッカ記念館
ハッカ栽培の歴史や製造法を知ることができます。

北見郊外の秘境の地にある世界的シェフのオーベルジュ

そんな北見の市街地から車を走らせること40分。殆どすれ違う車もない林道の先に、原生林に囲まれた自然豊かなチミケップ湖があります。ここにあるのが全7室しかないオーベルジュ「チミケップホテル」。道内の人でもなかなか訪れる機会の少ない知る人ぞ知る宿ですが、シェフの渡辺賢紀さんはフランス、リヨンのオーベルジュ ドゥ・リィルやスイス、ローザンヌのボーリヴァージュ・パレスなどで腕をふるった名シェフ。朝夕に地元の食材をつかった食を楽しめる、誠に贅沢な空間です。

チミケップ湖のほとりに佇むチミケップホテル
時計やテレビもないのんびりとした時間を過ごせます。
旬の北海道野菜や海の幸を使った料理
デザートまで最高に美味

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