【国内】帰着しました。添乗員レポート

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2025年12月17日
【帰着レポート】「飛鳥・藤原の宮都」古墳文化隆盛の謎に迫る
<2025年12月17日(水)~12月19日(金) 添乗員:大阪支店 八百屋健太>
2026年の世界遺産登録を目指す「飛鳥・藤原の宮都」は、奈良県橿原市と明日香村、そして桜井市にまたがる地域に残る19の資産で構成されています。今からおよそ1400年前の6世紀の終わりから8世紀の初めの約100年あまりの短い期間に、日本は東アジアとの交流を通じてあらゆる制度や技術を取り入れ、律令国家が形成され、やがて天皇を頂点とした中央集権国家が誕生しました。今回は、語り部・古墳ライターの郡麻江(こおりまえ)さんと共に飛鳥・藤原の地から巨大古墳が築かれた河内平野へと巡り、古墳文化隆盛の謎に迫りました。
弥生時代の特徴的な高層建築がここにはあった!
「唐古・鍵遺跡」は今から約2000年前の弥生時代前期から古墳時代前期まで約700年間栄えた日本最大級の環濠集落跡です。甲子園球場10個分ほどの広大な面積に幾重もの環濠が巡らされ、楼閣が描かれた絵画土器や、青銅器の鋳型、多様な木製農耕具などが出土しています。遠隔地の土器なども見つかっていることから、当時の高度な技術や広域交流、生活の実態がわかる貴重な遺跡です。





大量の三角縁神獣鏡が出土した黒塚古墳!
3世紀後半に築造されたと考えられている「黒塚古墳」は、全長約130メートルの前方後円墳です。ほぼ未盗掘の石室からは1面の画文帯神獣鏡、33面の三角縁神獣鏡、武器や甲冑などが出土しており、箸墓古墳とも近いことから『魏志倭人伝』に記された卑弥呼に関係があるのではと話題になりました。



纏向遺跡から出土した纏向犬「こまき」がお出迎え!
大和王権発祥の地とも、卑弥呼の宮殿があったとも言われる纏向遺跡の出土品を保管展示する桜井市立埋蔵文化財センターで、センター長の橋本先生にお話を伺いました。なかでも興味深かったのは、3世紀前半の犬の骨格が出土したことです。全体の47%の骨が残っていたことにより、当時の纏向犬の姿が復元され、公募で「こまき」と名付けられました。


飛鳥の地を見わたす「王家の丘」に立つ!
7~8世紀の飛鳥では、天皇の陵(みささぎ)は丘の上に築かれました。今回訪れた牽牛子塚古墳(斉明天皇の墳墓と考えられている)、天武・持統天皇陵(檜隅大内陵)、中尾山古墳(文武天皇の墓ではないかとされる)はいずれも小高い丘の上に建ち、木々が覆っていなければそれぞれを視認できる距離にあります。周辺には高松塚古墳やキトラ古墳なども点在しているため、この地は「王家の丘」だったと考えられています。



飛鳥時代終末期に築造された「兄弟古墳」を訪ねる!
高松塚古墳とキトラ古墳はしばしば兄弟古墳として比較されます。7世紀末から8世紀初頭に築造され、石室の構造や描かれた壁画など類似点が多いためで、どちらも豪華な副葬品などから身分の高い人物(文武天皇の皇子かその側近などか?)が埋葬されていたとされます。この2つの古墳を見比べて、共通点や相違点に気付くのも面白い体験でした。




「石舞台古墳」で巨石から当時の姿を想像する!
6世紀に築造された石舞台古墳は日本最大級の方墳で、現在露出している巨大な石室を土が覆い、墳丘は1辺50m、周囲には幅8.4mの濠を巡らせていました。石室には30数個の巨石が使われ、その総重量は約2300トンにもなるとのこと。蘇我馬子の墓として有力視されており、飛鳥時代の権力者の巨大な墓制と当時の土木技術の高さを示す貴重な存在です。


ヤマト王権の強大な力を示す河内平野の巨大古墳!
百舌鳥・古市古墳群として先に世界遺産に登録された河内平野の巨大古墳群。今回は羽曳野の誉田御廟山古墳(応神天皇陵)とその陪塚の墓山古墳、堺の大仙陵古墳(仁徳天皇陵)を訪れました。いずれも飛鳥で見てきた古墳群より桁外れに大きく、ヤマト王権の強大な権力を想像できます。大和盆地から河内平野に権力の中心が移った理由は諸説あり、今も謎に包まれています。




これぞ大和の「食の恵み」、料理も充実していました
山に囲まれた奈良県、野菜やお肉はもちろんですが、流通が発達した今では海の幸もたっぷり味わうことができました。また古墳をあしらった一品や郷土色を出した料理など、見た目にも美しく毎日の食事が楽しみでした。




世界遺産登録を目指す「飛鳥・藤原の宮都」、その構成要素である遺跡群と周辺の古墳を、古墳ライターの郡麻江さんとひとつひとつ丁寧に巡りました。お客様も一度は訪れているものが多かったのですが、改めて郡さんや現地の先生方の解説を聞き、より理解を深められた様子でした。来年の今頃は世界遺産になっていることを期待しましょう。
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