視察レポート
視察レポート
2021年02月17日
青森ランプの宿 青荷温泉 「不便さ」が「贅沢」に思える不思議な一日。
松本佳晴
「電気も、電波も使えない。灯りは灯油ランプのみ。部屋にはテレビも、何故か時計もありません。」のふれ込みにひかれて、気になり始めるともう、居ても立ってもいられない性格なのか、厳冬、豪雪も何のその、ちょっと向う見ずとは思いながらも朝イチのフライトで羽田から青森空港へと向かったのは1月下旬。
今冬は、いつもより大雪が早く、暮れからお正月にかけては、吹雪が続いて、それは大変だったとの地元のタクシーの運転手の説明に、雪国の暮らしって厳しいなあと改めて実感。
弘前は、昨夏、9日間の長期滞在の旅が全国から沢山のお客様のご参加で大好評いただいたが、その魅力を知りたくて初めて訪ねてみたが、明治初期からの洋館建築の数々と弘前城とその城下町エリアが共存していて、極めて個性的でしかも風格が漂う。住民に、「素敵な街ですね」と呼びかけると、地元の人たちは嬉しそうに、「ウンダ」と強くうなづき、自分の街に誇りを持っていることがよくわかる。我が身を振り返ると、そこ迄の自信がなく、この町の人々がうらやましく感じます。
青森といえば、リンゴですが、弘前では、津軽産のリンゴが大活躍。フレンチの名店には、冷たいクリームスープのみならずメイン、デザートにもリンゴを盛り込んだ「リンゴコース」というメニューすら登場する。もちろん、アップルパイは定番ですが、カフェによって各店自慢の数種のアップルパイを用意していて、お気に入りを選べるのもまた楽しい。珈琲も弘前自慢のようで、アチコチの喫茶店のレベルも相当に高い、とお見受けしました。
夕方、いよいよ、目的の「ランプの宿」へ向かう。山に向かって走行するほどに、次第に雪深くなってゆく。小一時間で、山の只中の道の駅「虹の湖」(にじのこ)に。冬期は施設は休業で、むなしく立派な建物だけが、、、。ここからランプの宿のシャトルバスに乗り換えて約7キロの細い山道をグングン登ってゆきます。
そして、ようやく、宿に到着。冬は日没が早い。16時すぎには「遠き山に日は落ちて」で、あっという間に暗くなってしまう。8畳間に、ランプがひとつ、石油ストーブが赤く燃えている。これだけ。本当に何もない。早速、浴衣に着替えて、4つの湯めぐりへ。「滝見の湯」は、やや熱目で、冷えた身体がジンと音を立てるようで、思わずハアと、ため息が。薄暮にやっと岩から流れ落ちる小滝の流れを目視できる。露天風呂の方はややぬる目なので、筋肉もゆるむ感覚で、こちらは夏場向きか。冬景色も新緑に変わり、きっと清々しい湯浴みが楽しめることでしょう。夕食会場の大広間も、もちろんランプのみで天井から幾つものランプがボンヤリと辺りを照らす光景は幻想的ですら。
イワナの塩焼、鴨鍋、山菜など山の宿らしい料理が並び、スタッフが津軽言葉で説明してくれた。湯上りも手伝って、旨いの一言に尽きます。テレビもラジオもなく、そして本が読めるような明るさではないので、もうひとっ風呂浴びてから早く寝ることに。渓流のせせらぎだけが、小守唄のように聞こえ、深い眠りに誘われました。
朝は、6時すぎには見上げる山々の稜線が白じんで、まだ日の出前なのに、雪の反射もあって明るくなるのは想外に早かった。貧乏性なせいか、長くじっとしていられず、4つの湯めぐりをひととおりもう一回楽しむことにした。コロナで、60人の予約が9人まで減ったとのことで、どの湯もひとり独占。あぁ、これぞ天国。
朝食にも、煮付けた鰊が登場してお箸が進む。山菜たっぷりの味噌汁も忘れられない旨さ。地元弘前からの若い男性は、去年2泊して良かったので、また、ひとりで来た、文明の利器が無いのが、最大の魅力と語った。
「我が意を得たり」とこちらも心からうなづく松本でした。
(2021年1月24日記)
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