佳景・名景・絶景

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2021年02月06日

世界遺産バガン遺跡(ミャンマー)

『旅のひろば』編集部 上釜一郎

バガン
時の流れを感じさせる夕暮れのバガン遺跡。

2月1日に届いたミャンマーからの突然のニュース。親しいガイドと連絡が取れたのは2月3日。インターネットと電話が通じなかったとか。
2019年7月、1995年の世界遺産登録プロジェクトから足かけ24年を経て、バガン遺跡が悲願だった世界遺産に登録されました。千年にもわたって現在まで受け継がれてきた人々の祈りの対象である「生き続ける遺産」バガン。多くの魅力的な東南アジアの訪問地の中でも、旅好きの間で「ラストフロンティア」とも呼ばれるミャンマーのバガン遺跡と最大都市ヤンゴンを2019年に訪ねました。

年配の日本人がミャンマーで真っ先に思い浮かぶのは竹山道雄の『ビルマの竪琴』の物語ではないでしょうか。映画化もされ、僧になった水島上等兵、肩に乗せたインコ、そして静かに流れる『埴生の宿』のメロディー。波瀾万丈の歴史をおくってきたミャンマー。2011年にテイン・セイン大統領が選出され民政移管が実現し、その後は著しい発展の道を……。

バガン遺跡
いくつかの遺跡はライトアップされます
バガン遺跡
祈りの姿 タピニュイ寺院にて

仏教国ともいえるミャンマーで、その中でもミャンマー人が一度は訪ねたいと願う聖地バガン。ここはミャンマー初の統一王朝であるバガン王朝の都として、11世紀~13世紀に栄えました。約40平方キロにわたる平原には、現在3000基ほどのパゴダ(仏塔)や寺院が立ち並びその姿は圧巻で、遺跡群は、カンボジアのアンコール・ワットやインドネシアのボロブドゥールとともに「世界三大仏教遺跡」に数えられています。

ミャンマー
バガン遺跡の代表格「アーナンダ寺院」
バガン
一部のパゴダには宗教画も残ります

バガンの歴史は、ミャンマーの南部タトンからやってきた僧侶が、バガン王朝最初の王アノーヤター王に仏教を布教したのが始まりといわれ、その後、仏教はバガンで深い信仰の対象となりました。人々は仏教が長く繁栄するようにと、王はもちろん地方の権力者までもがこぞって寄進しパゴダや寺院の建立に励みました。その結果、最盛期には5000基を超え、さらに一般の農民もその修復に宗教的価値を見出し積極的に取り組んだといわれています。
皆様の中には外観の風景は写真などでご覧いただいたことがあるかもしれませんが、一部のパゴダの内部には貴重な宗教画や当時の人々の生活をうかがい知ることのできるフレスコ画などが残り、とても興味深いものがありました。どこに入場しても熱心に祈りを捧げる人々がいて(ミャンマーでは寺院聖域の入場は裸足です)、バガン遺跡は現代でもミャンマー人の心と信仰のよりどころとして多くの参拝者を集める進行形の聖地であると実感しました。

バガン
人々は何を祈るのか
托鉢
朝の托鉢風景
遺跡観光は馬車で

一緒に撮影に付き合ってくれたガイドとは2月3日に連絡が取れました。2020年は観光ブレイク間違い無しで、アジアで一番ホットな「ラストフロンティア」になる予定だったミャンマー。当時「日本人が来てくれるのでガイドをするのが待ち遠しくて」と語っていた彼。「2020年はコロナ禍で仕事がなくなったけれど、ようやくワクチン注射も出来るようになり、さあこれから仕事がんばろう!」というところだったのに……。というメールでした。

追記:2月8日、再び情報交換にミャンマーにメール、SNSでの連絡を試みましたがつながっておりません。心配です。

ミャンマー
黄金に輝くシュエジゴンパゴダ

【上釜一郎】プロフィール
1964年奈良県生まれ。旅行誌(マガジンハウス/ガリバーほか)からファッション誌(集英社/ COSMOPOLITAN JAPANほか)、広告写真等のカメラマンとして活躍。また、『南オーストラリアのユートピア アデレード』(弊社菊間著・新潮社)『マカオ歴史散歩』『新モンゴル紀行」(ともに弊社菊間著・新潮社とんぼの本)の写真等も撮影。現『旅のひろば』編集部で、各地の視察も行っている。過去には紛争地や、対人地雷問題の取材などの取材経験も多数。1997年にノーベル平和賞を受賞した地雷廃絶国際キャンペーン(International Campaign To Ban Landmines=(ICBL))の日本キャンペーン(JCBL)元運営委員。
現在ワールド航空サービスの知求アカデミー講座で、写真講座の講師も務める。

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