京都の四条河原町は高島屋のある京都でも一番の繁華街。京都の中でも目まぐるしい発展を続けているエリアです。

そのすぐ近く、一本裏に入ったところにクラシックなフランソア喫茶室があります。私の大好きな落ち着ける喫茶店です。京都の町歩きに疲れた時や書き物をする時などに利用しています。

店内はモダンな雰囲気のするバロック調。タイタニック号の頃の客船のような感じで、クラシックが静かに流れています。昭和9年にオープンし、藤田嗣治や宇野重吉など進歩的な文化人たちに愛されていました。店内では大きな声で話す人もなく、静かに本を読んだり、物を書いたりしていて、いつ行っても変わらない雰囲気。昔と変わったのは店内が禁煙になったことぐらいです。この店でいつもオーダーするのはコーヒーゼリー。長居する時に冷めなくていいし、甘くなく、とてもおいしい。逸品です。男一人でもこれを楽しんでいる人は意外と多く、隠れた定番かと思います。

喫茶室として初めて国の有形文化財に指定されているフランソア喫茶室。近代化やオーバーツーリズムに負けずに、今の静かな時の流れも無形文化財としていつまでも残していってほしいものです。

（旧コラム「旅の3つ星」より）