町並み百選

町並み百選

2021年07月01日

加賀百万石の城下町 金沢 その①

プランニング事業本部 吉田義和

町並みの人気、という点では、日本でも京都に次ぐ人気を誇る金沢。前田利家を祖とする加賀藩前田家のもと加賀、能登、越中あわせて百二十万石と、日本最大の石高を誇る城下町として江戸期には江戸、京都と肩を並べる大都市でした。第二次大戦期も空襲を免れた金沢の町は、現在でも江戸の風情を色濃く残しています。訪れる方の参考に、私のお勧めの訪問地などを町並みとあわせてご紹介します。

金沢の朝はどう過ごす?

まず最初に、金沢の朝のおすすめの過ごし方をご紹介しましょう。いくつかおすすめのパターンがありますので、連泊される方はぜひ色々と試していただくと、より金沢の魅力を感じていただけるのではないでしょうか。ひとつめは定番、近江町市場です。朝8時すぎには店も開きはじめ、段々と賑わいを見せてきます。鮮魚店には今の時期旬の岩ガキがずらり。その場でもいただくことができます。市場の入口にある海鮮の名物店舗「いきいき亭」は朝7時からオープン。行列の絶えない店ですが、朝ならばそのまま朝食にありつけることも。早起きがお得に感じられるひとときです。

のどぐろはじめ鮮魚が並ぶ朝の近江市場
大ぶりの能登の岩ガキも並びます
旬の14種類のネタが並ぶいきいき亭名物「いきいき亭丼」

2つめは金沢市民に大人気のモーニングをご紹介しましょう。武家屋敷の並ぶ長町にほど近いせせらぎ通りに位置する「ひらみぱん」です。大正時代の商家を改装し、小さいながらもお洒落なフランスの街角のブーランジェリーのような風情。カフェスペースでモーニングのクロックマダムをいただくもよし、テイクアウトでパンを求めるもよしの名店です。

大正時代の建築を改装した「ひらみぱん」
朝からモーニングを求めて行列も
テイクアウトのパンも本格的

3つめは朝の兼六園と共に訪れていただきたい「見城亭」での朝食です。兼六園の桂坂門の脇に建つ2階建ての建築は、建築家、隈研吾さんの設計。木をふんだんに使いながらもモダンな設えのカフェ・レストランです。土日限定でで8時からオープン。名前の如く、2階から金沢城を眺めつつ、のんびりと朝食をいただくのも金沢ならではの楽しみです。兼六園は早朝から開園時間の15分前までは無料入場が可能。人の少ない朝の清々しい散策もいいものです。

隈研吾建築の見城亭
早朝の兼六園はとても爽やか

金沢芸妓の文化が残るひがし茶屋町

金沢の中心部から浅野川を渡ると、金沢を代表する古い町並み、重伝建に登録される「ひがし茶屋町」が現れます。約1.8haの地区内に144棟の建物があり、そのうちの94棟が伝統的建造物です。街並を特徴づける美しい出格子と、2階を高くして座敷を設けた独特の構造を持つ茶屋建築がいくつも立ち並んでいます。現在は古民居をカフェや商店に利用している所も少なくありませんが、未だ多くの茶屋が現役で残っている伝統文化の息づく町でもあります。先日、茶屋のひとつ「八の福(はのふく)」にお邪魔し、お座敷体験をさせていただく機会を得ました。金沢の芸妓は「一見さんお断り」で知られ、紹介がないとお座敷芸に触れることができないのですが、今回は金沢市観光協会のプログラム「金沢芸妓のほんものの芸にふれる旅」でその機会をいただきました。金沢芸妓

伝統茶屋建築が立ち並ぶ街並み。正面の茶屋同士で人が鉢合わせしないよう、入り口は交互に造られています
2階がせり上がり、お座敷が置かれた茶屋の建築。木虫籠(きむすこ)と呼ばれる窓枠も特徴的です
ハの福の女将、福太郎さん(左)と芸妓さんと共に
お座敷太鼓の体験なども楽しむことができます。

来週は「新しい金沢」を中心にその②をご案内いたします。

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