町並み百選

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2021年06月17日

神々の住まう町 高千穂

プランニング事業本部 吉田義和

前回の美々津に続き、先週訪れました宮崎から「高千穂」をご紹介いたします。日本神話に描かれた天岩戸伝説の残る神秘の町、高千穂。最寄りの熊本空港から車で1時間半程度と交通の便は決してよくはありませんが、その分日本神話の原点の地として、神秘的な景観を保っているといえるでしょう。2018年には町の中心部に洗練されたホテル「ソレスト高千穂」もオープンし、滞在しやすくなりました。

日本神話を実感 天岩戸伝説の地へ

「高千穂」という名前は、天孫降臨という神話に基づく地名です。天照大神の孫にあたる瓊瓊杵尊 (ににぎのみこと)がこの地降り立った際、暗闇に包まれていた大地に稲穂の籾を撒いて明るく照らした。という伝説から名づけられました。(この神話に基づく地名はここ臼杵高千穂と霧島高千穂に残り、国学者の間で長く論争になっています。)高千穂と神話を直接結び付ける代表的な場所は「天岩戸神社」でしょう。日本神話でも最も有名な天岩戸伝説の舞台です。高千穂町の北郊外の「天岩戸神社」の奥には、実際の「天岩戸」が祀られており、神社でのお祓いを受けたのち、川の対岸から参拝。岩戸自体は立ち入ることのできない神域となっており、遠くからではありますが、神秘的な洞窟の姿を見ることができます。神社の脇の坂道をゆっくりと下っていくと、天安河原(あまのやすかわら)へと続きます。天照大神が天岩戸に隠れた際、八百万の神々が対策を練って会議を行った、と言われる場所。高千穂の中でも神聖な場所として信仰を集め、祈願を行う参拝者によって積まれた石が無数に並び、非常に神秘的。神話の時代を現在に感じる、日本でも稀有な場所です。

天岩戸神社に参拝。裏手にはご神体の天岩戸が。
神秘的な天安河原。祈願者の積み上げた石が無数に残る

高千穂の総社、高千穂神社と神楽

高千穂の町の中心に位置する神社が高千穂八十八社の総社である高千穂神社です。町の中心にありながら、境内には樹齢800年を越える巨木が茂り、荘厳な風情を醸し出しています。社の前に建つ特に大きな杉は秩父杉と呼ばれ、鎌倉時代、源頼朝が天下泰平祈願のために派遣した秩父出身の御家人、畠山重忠が植えたと言われています。

高千穂の総社、高千穂神社
樹齢800年を越える秩父

高千穂神社では、社の隣にある神楽殿にて毎晩「夜神楽」が行われています。もともとは祭りの日に夜を徹して三十三番の神楽が舞われる伝統芸能ですが、多くの人に高千穂の伝統を知ってもらえるよう、地元の人々が日替わりで神楽を披露しているのです。ここで見られるのは代表的な四番。天岩戸伝説の一場面や、建国神話のイザナギとイザナミの物語など、気軽に神話の世界に触れることができます。

手力雄命(たぢからおのみこと)が天岩戸を探す舞
天岩戸の前で舞う鈿女命(うずめのみこと)
神楽を舞う神庭(こうにわ)を囲む神楽彫り物(えりもの)。鳥居や五行、十二支などが描かれる。

絶景の高千穂峡を歩く

神社以外に高千穂で外せないポイントが高千穂峡です。阿蘇山が噴火した際、この地の五ヶ瀬川に溶岩が流れ込んで出来た柱状節理の渓谷です。高千穂の町から10分程の町はずれに位置し、ゆっくりと30分程渓谷を歩いてゆくと高千穂のシンボル真名井の滝へ。ここにもイザナギとイザナミが残したと言われるおのころ島など、神話の世界が広がります。

両岸の柱状節理が特徴的な高千穂峡
高千穂を代表する景勝、真名井の滝

はじめて出会った果物「へべす」

前回のコラムでは「なんじゃこらシュー」をご紹介しましたが、宮崎のスーパーで「なんじゃこら?」と思ったのが「へべす」です。アイス売り場でみかけた「へべすもなか」。食べてみるととても爽やかな柑橘の味がします。調べてみると、宮崎県の日向地方で獲れるかぼすやすだちの一種とのこと。江戸時代末期、現在の日向市に住んでいた長宗我部平兵衛(へいべえ)さんが山で香高い柑橘の木を見つけたことに由来するそう。平兵衛さんはその柑橘の普及に努め、「平兵衛さんの酢みかん」からへべす、と呼ばれるようになったそう。私はアイスしか見つけられませんでしたが、宮崎ではジュースや料理のソースなどで提供する店も多いとか。ぜひ地元の味覚として味わってみてはいかがでしょうか。(同じ日向市でも、日向夏製品は至る所で見ることができます。)

宮崎のローカルスイーツ「へべすモナカ」

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